「沖縄の道路は滑りやすい」ってホント!? 沖縄モーターショーでタイヤのプロに聞いてみた

  • 沖縄モーターショーのTOYO TIRE(トーヨータイヤ)ブースに展示されたタイヤ

    沖縄モーターショーのTOYO TIRE(トーヨータイヤ)ブースに展示されたタイヤ

沖縄県に行ってレンタカーを借りる際、最初に「沖縄の路面は滑りやすいので、ブレーキや車間距離などに気をつけてください」と注意を受けるという話を聞いたことはないだろうか?
そう言われてみれば、確かに見た目やフィーリングがいつものアスファルトとは違うような気もするが…というわけで、真相を調査するべく沖縄モーターショーのタイヤメーカー出店ブースでお話を伺ってみることにした。
路面のグリップ力が異なるならば、きっとタイヤ選びなどにも影響があるに違いない!?

沖縄には専用タイヤが存在した!!

  • 沖縄モーターショーの沖縄ヨコハマタイヤ株式会社の比嘉章人さんとアドバンスープラ(JZA80)

    沖縄ヨコハマタイヤ株式会社の比嘉章人さんとアドバンスープラ(JZA80)

かつてJGTCで活躍したアドバンスープラ(JZA80)やアルミホイールなどを展示していた沖縄ヨコハマタイヤ株式会社の比嘉章人さんにお話を伺ってみると、いきなり衝撃の事実が!!
「今は無くなってしまいましたが、昔はタクシー向けに沖縄専売モデルのタイヤが存在したんですよ」とのこと。

「アスファルトを敷くときには砕いた石を混ぜるわけですが、その石を島外からわざわざ運んでくるにはコストがかかるので、島内で調達するんです。でも沖縄の地盤にはサンゴの石灰成分が多く含まれているため、本州の路面よりも滑りやすいと言われています」
その傾向は雨が降るとさらに強くなるうえに、集中豪雨や台風も多いため、かつては溝を深くして排水性能を高めたタクシー用の沖縄専用タイヤが発売されていたのだという。

  • 沖縄モーターショーの沖縄ヨコハマタイヤの出展ブース

    沖縄モーターショーの沖縄ヨコハマタイヤの出展ブース

また、紫外線や高温の影響で通常よりもゴムの劣化が早いのも特徴。「タイヤ開発担当部署の方も、過酷な状況下でのテストデータとして沖縄の情報は頻繁に調べにくるほどです。他と比較すると、製造からの経過年数に対して、サイドウォールのひび割れなどの劣化が起こりやすい傾向だそうですよ」とのこと。

エコ性能やグリップ力より『ウェットグリップ』で選ぶ!?

  • 沖縄モーターショーに展示された2023年チャンピオンTEAM TOYO TIRES DRIFTのGR86

    沖縄モーターショーに展示された2023年チャンピオンTEAM TOYO TIRES DRIFTのGR86

続いて、ドリフト競技のチャンピオンマシンを展示し、ステージでドライバートークショーなども行っていたトーヨータイヤにもお話を伺ってみた。
「もちろんブレーキ時もそうなんですが、発進加速時に空転したり、雨が降ると上り坂で滑ってしまったりするのが特徴ですね。そういうシチュエーションでしっかり走れると『いいタイヤだね』と評価していただけるんです」と教えてくれたのはトーヨータイヤ沖縄総代理店をつとめる沖縄ユアサ電池販売株式会社の神村盛康さん。

「お客さまにオススメする際にわかりやすいのが、タイヤの性能を表すラベリング表示の中の『ウェットグリップ性能』です。4静粛性やエコ性能などと両立するのは簡単ではないのはわかっていますが、全国から販売店や代理店が集まる会議などで『頑張っていちばん上のAランクのラインアップを増やして欲しいと』お願いするんです。でも、ほかの地域からそういった意見は聞いたことがないので、沖縄特有なんだなぁといつも感じますね」
また、バッテリーの代理店でもある神村さんによると、電池は熱の影響を受けやすいため、北海道や沖縄での耐久テストを行うメーカーが多いのはタイヤと同様だと教えてくれた。

  • タイヤのウェットグリップ性能表示

    タイヤのウェットグリップ性能表示

さらに、最近は沖縄でも電気自動車やハイブリッドカーが増えてきた影響で、静粛性能を重視してタイヤ選びをするユーザーが増えてきたとのこと。こうして、タイヤに求められる性能は環境や使い方によってどんどん変化し、進化を遂げているということがわかった。

結論。「沖縄の道路は滑りやすい」は本当の話。みなさんも沖縄旅行の際には車間距離に注意して、優しい運転操作を心がけましょう!

取材協力:沖縄モーターショー
[GAZOO編集部]