70スープラを学生がレストア。その極上の仕上がりに多くの来場者が感嘆･･･大阪オートメッセ2024

2月10日～12日まで、大阪府大阪市のインテックス大阪で開催されていた大阪オートメッセ2024。関西で開催される一大クルマイベントである大阪オートメッセには、大阪らしいド派手なカスタムを含む660台もの車両が所狭しと展示された。
その中で、“どノーマル”仕様でありながら来場者の注目を集めていたのが、トヨタ神戸自動車大学校のブースに展示されていたトヨタ・スープラ（GA70型）だ。

これは、トヨタ神戸自動車大学校の2年過程の自動車整備科のカリキュラムを終え、3年目で履修することができるボデークラフト科の学生20人で手掛けてきたレストア車両だ。
この3年生のみなさんは5期生ということで、今年で5年目の出展になるという。

今回レストアした車両は学校が用意した70スープラ。担当の石上先生がSNSで流れてきたという廃車予定の車体を見つけ譲っていただいたというが、その時の状態はかなりひどいものだったそうだ。
もともと水没車ということもありボディのいたるところが錆びて穴が空き、ルーフなどもかなりへこんでいた状態。さらに実際に話を伺った学生さんが一番苦労した箇所に挙げていたのがダッシュボードで、バリバリに割れてしまいガタガタになってしまっているような状態だったという。

そんな状態からスタートした今回のレストア。すべてのパーツを取り外し、すべての汚れや錆びを落とし、へこみをパテで盛り穴を板金で埋め、ボディ全体を外板と同色のカラーで塗装している。

ダッシュボードは、割れたことで飛び出しているところ削り、発泡ウレタンやパテなどを入れて成形して元々の形状を再現。質感も再現するようにボディ用の塗料で塗り、シボのような仕上げも行っている。
シートも染めQを調色して塗ることで新品に近いような仕上がりとなっており、インテリアも全く手を抜くことなく仕上げている。

そしてすべて駆動パーツも一度分解し洗浄、塗装などを施し、再度組み立ててクルマに組付けている。
エンジン自体は補器類を外しキレイにしてはいるが、故障個所の燃料ポンプを交換したらエンジンはかかるようになったため、再びそのエンジンを搭載している。

このレストアは、授業時間の9:00～16:00、さらにその後残れる学生が19:00頃まで作業を行い、約40日程度で仕上げてきたという。
その製作過程を、同校のショールームスタッフ科のみなさんが制作したパネルも展示されており、ベース車両のひどい状態や、車両全体に渡り行われている作業の様子が分かりやすくまとめられていた。

かなりのひどい状態からの復旧を手掛け、学生同士で協力し合い手掛けたレストア車両を展示した感想を学生の方に伺ってみると、「やっぱり自分たちがここまでキレイにしたのを見てもらえたり、『よくここまでキレイにしたね』って言われるのはすごく嬉しいですね」とその達成感を噛みしめていた。

こうしてレストアされた70スープラだが書類が不備となるため公道復帰はできないという。ただし、学校のイベントなどでは展示や走行などをさせたいということで、これからも動態保存のうえ活躍してもらう予定だという。

最初に話を聞いた時には、先生はどれだけヒドイ車両を用意したのかと学生のみなさんに少し同情してしまった。しかし、展示されている70スープラは、苦労を感じさせず、まるでプロが手掛けたような仕上がりになっているのを見ると、先生としてはこの学生たちであればやってくれるだろうという信頼をしていたかのように感じられた。

そして、学生たちも与えられた課題に取り組むという以上に、この70スープラをより完璧な状態に仕上げ、大阪オートメッセで見てもらいたい、そしてオープンキャンパスなどで展示することで後輩たちに何かを感じてほしい、といった熱い想いをもって取り組んでいたように感じる。

卒業を迎え4月からは多くの学生が自動車整備に関わる仕事に就くことになるわけだが、このレストアに懸けた想いと、実際に70スープラを見て笑顔になってくれた来場者のことを忘れず、一緒に自動車業界を盛り上げるべく活躍していってくれることを期待したい。

（GAZOO編集部）