CJPTの水素社会づくりのために水素需要を拡大する「原単位」という考え方

  • CJPTの中嶋祐樹代表取締役社長(トヨタ自動車 副社長) 

    オートポリスで行われたスーパー耐久で水素社会づくりの取り組みを説明

7月27日(土)スーパ耐久が行われている大分県オートポリスにて、CJPTの中嶋祐樹代表取締役社長(トヨタ自動車 副社長)が九州での水素活用の取り組みについて説明を行った。

CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)とは、いすゞ自動車、日野自動車、トヨタ自動車、スズキ自動車が、商用車、物流の領域で、CO₂の排出量を着実に減らしていくことを使命として運営している会社だ。2021年4月に設立されてから様々な活動を行ってきており、FCEVのゴミ収集車を東京都千代田区や福岡市に導入したり、FCEVの小型トラックを多くの企業(イオン、福岡市、佐川急便、西濃運輸など)に導入したりしてきている。

福岡市とCJPTは、2022年2月に「福岡市とトヨタ、CJPTが、水素社会のまちづくり実現に向けた幅広い取り組みに関する連携協定を締結」している関係だ。とういのも、福岡市は早い時期から水素エネルギーに着目していた都市で、生活排水から水素を製造し、燃料電池技術を用いたトラックやバイクなどの実証実験を日本で初めてチャレンジする「水素リーダー都市プロジェクト」なのだ。

福岡市は昨年以降にCJPTと連携し、FCEV車両を生活の中で活用をはじめ、給食配送車、マイクロバス、ごみ収集車、救急車を数台導入している。プロジェクトが開始され1年余りのため160万人都市の福岡市全体から見れば導入台数はまだまだ少ない気もするが、今後に期待するとこだ。

このように生活に根ざす・未来に必要な商用車の水素車両化を「BtoG」(Business to Government)で自治体に使ってもらうパッケージは、人口30万人都市での水素車両利用台数を原単位(げんたんい)とするのがベストだそうだ。

30万人都市に必要な生活基盤のクルマの数は、全国平均で救急車12台、給食配送車30台、ごみ収集車300台、コミュニティバス30台、これらの車が全てFCEVになると、1日に必要水素容量は約2000kgとなり、水素ステーションが安定的に稼働することができるようになる。現時点では、福岡、東京都、福島とFCEVの導入を進めているようだが、30万人以上の都市をネットで調べてみると約80都市ぐらいあるみたいだ。

CJPT中嶋社長によると「BtoG、コンビニエンスストアの配送モデル、バスのモデル、このような塊で今までの都市以外にトランスファーできれば、かけるn倍でどんどん増えていくのではないかと考えています」とのことだ。福岡市に多くの自治体が視察に訪れているそうなので、30万人以上の都市に原単位が導入されていくのかもしれない。

なお30万人都市を原単位とするのは日本でのことであり、アメリカ、ヨーロッパ、中国ではそれぞれ違う原単位になるそうだ。また、原単位とは、何かを製造や生産するときの一番小さな単位を指し、原単位を使うことによって生産計画、展開を効率的に行えるメリットがある。

このようにFCEVを展開するにはコストという課題があるが、「年間1万台のFCEVトラックを作れば、ディーゼルトラックと大差なくリースで使うことができる」とのことだ。福島市で実証実験しているFCEVの小型トラックは年間10万kmもの距離を走るそうで、商用車のFCEVが増えれば倍々で水素使用量が増えていくそうだ。「乗用車に安定的に心配なく水素を使っていただける環境をつくるために、商用車からはじめる」とのことだ。

CNのために水素を燃料とした車を増やすことは、まだ多くの課題があるかもしれないが、原単位により課題を少しづつ解決していくことが可能になるかもしれないと感じた。

(GAZOO編集部 岡本)

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