WEC開幕、ハイパーカー戦国時代の初戦はトヨタの1-2圧勝
世界耐久選手権(WEC)の2023年シーズンが現地17日決勝のセブリング1000マイルレースで開幕。盛況期を迎えた「ハイパーカー・クラス」でトヨタが圧勝の1-2フィニッシュを飾った。優勝は小林可夢偉らの7号車GR010、僅差の2位に平川亮らの8号車GR010が続いている。
◆ハイパーカー・クラスにトヨタへの挑戦者が続々
WECの2023年シーズン開幕戦、米国フロリダ州の「セブリング・インターナショナル・レースウェイ」にて開催のセブリング1000マイルレースの決勝には、全クラス総計で36台のマシンが出走した。その内訳は、ハイパーカー・クラスが11台、LMP2クラスが12台、LMGTE-Amクラスが13台である(今季、GTカテゴリーにはProクラスがなく、Amクラスのみに)。タイヤはハイパーカーとLMGTE-Amがミシュランで、LMP2がグッドイヤー。
レースの総合優勝を争う最高峰クラス、ルマン・ハイパーカー(LMH)規定のマシンを主軸とするハイパーカー・クラスの11台出走という数字は、昨季までの状況からは大幅増といえるものだ。その内訳は「トヨタGR010ハイブリッド」、「プジョー9X8」、「フェラーリ499P」、「ポルシェ963」が各2台に、「グリッケンハウス007」、「ヴァンウォール・ヴァンダーヴェル680」、「キャデラックV-Series.R」が各1台となっている。
(*グリッケンハウスとヴァンウォール以外はハイブリッド。ポルシェとキャデラックは米国のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権との共用トップクラス規定「LMDh」の車両)
トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing=TGR)は2018年からWECおよびルマン24時間レース(WECの一戦)の制覇を継続中。WECのトップクラス対象となる世界タイトルは、2018/2019シーズン、2019/2020シーズン、2021年、2022年と4季連続で独占してきた。ルマン24時間レースでも5年連続で総合優勝を成している。そうした覇道の継続に向けて、今季2023年はメジャーブランドの大挙参戦という新たなハードルが加わった格好になる。
トヨタ(TGR)は今季も小林可夢偉がチーム代表兼7号車GR010のドライバーとして陣営を率い、7号車、8号車とも昨季同様のドライバー布陣でシーズンに挑む。7号車は可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ-マリア・ロペスで、8号車は平川亮、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーだ(昨季ドライバー部門王者は8号車トリオ)。
また、2021年限りでWECレギュラードライバーを“勇退”し、現在はTGRヨーロッパの副会長職にある中嶋一貴がリザーブドライバーに名を連ねている。
◆フェラーリ499Pがポール獲得。しかしレースはトヨタの完勝
開幕戦の予選、ポールポジションを獲得したのはフェラーリ499Pだった。トヨタの1-2で決まるのかと思われたところで、#50 フェラーリのアントニオ・フオコが見事にポールポジションを奪取。フェラーリ499Pは素晴らしいデビューを飾ったのである。
しかし決勝レースはトヨタの2台が1-2で支配する流れとなった。
レース開始まもなくのセーフティカー出動時、フェラーリはトップだった50号車と4番手だった51号車をピットストップさせる判断を下し、2-3だったトヨタ勢がここで1-2に。以降、トヨタ勢最初のピットストップのタイミングで順位降下があった以外には、1-2が崩れることはなかったのである。長いレースを走るという意味での総合的な速さでは、やはり制覇を継続中のトヨタが圧倒的に勝っていたようだ。
セーフティカー導入やフルコースイエローが少なくはない展開だったこともあり、レースは1000マイル(約1600km、268周)到達より先に8時間のタイム制限が来ての決着となって、#7 トヨタ(可夢偉、コンウェイ、ロペス)が優勝。約2秒差の2位に#8 トヨタ(平川、ブエミ、ハートレー)が続き、トヨタGR010が1-2で開幕戦を圧勝した。
3位はポール発進だった#50 フェラーリ(フオコ組)。4位は#2 キャデラック(E. バンバー組)で、5~6位にポルシェ勢が#5(F. マコヴィッキ組)、#6(A. ロッテラー組)の順で続いている。3位と4位はトヨタ勢から2周遅れ、5~6位のポルシェ勢はさらに2周遅れだった。
総合7位はLMP2クラス優勝車で、ハイパーカー11台のうちの残り5台は“順当”な位置を占めることができなかった。昨季途中からのWEC登場で通算4戦目だったプジョー9X8は、1台が完走最下位の総合31位でもう1台は完走不認定。トヨタに挑むメジャーブランド製LMH規定車という“同じ立ち位置”にいるフェラーリ499Pがデビュー戦でポール&決勝3位という一定の成果を得たのとは対照的な結果になっている。
◆勝って兜の緒を締める可夢偉、「敵を過小評価してはいけない」
優勝した#7 トヨタの小林可夢偉は以下のようにコメント。勝って兜の緒を締めよ、といった心境のようである。
「このレースで勝つことができて最高の気分ですし、TGRチームオーナーである豊田次期会長、また佐藤次期社長を含む日本で支えてくれたみなさまをはじめとして、サポートしてくれた全ての方に感謝します。TGRファミリーは今シーズンに向けた準備のために本当に一生懸命、努力をしてくれました」
「昨日の予選はとても大変でしたが、(決勝レースで)力強く復帰することができ、全員の努力によるワンチームという我々の哲学を示せました。1-2フィニッシュは望み得る最高の結果ではありますが、激戦が予想されるシーズンは始まったばかりです。今日の決勝で我々は勝つことができましたが、ライバル勢を過小評価してはなりません」
「今日は経験が助けてくれましたが、今季はライバルからの挑戦に立ち向かうことになるでしょう。我々もさらに強くならなくてはなりませんし、戦いは激しさを増すことになります。チャンピオン争いは本当に面白いものになるでしょうし、そのなかにいられるのはとても嬉しいことです」
2023年のWECは全7戦のスケジュール。100周年大会となるルマン24時間レース(第4戦)は6月10~11日に、日本ラウンドである富士6時間レース(第6戦)は9月10日に、それぞれ決勝が実施される予定になっている。
(*本稿のリザルト等は日本時間18日19時の段階での情報等に基づく)
◆ハイパーカー・クラスにトヨタへの挑戦者が続々
WECの2023年シーズン開幕戦、米国フロリダ州の「セブリング・インターナショナル・レースウェイ」にて開催のセブリング1000マイルレースの決勝には、全クラス総計で36台のマシンが出走した。その内訳は、ハイパーカー・クラスが11台、LMP2クラスが12台、LMGTE-Amクラスが13台である(今季、GTカテゴリーにはProクラスがなく、Amクラスのみに)。タイヤはハイパーカーとLMGTE-Amがミシュランで、LMP2がグッドイヤー。
レースの総合優勝を争う最高峰クラス、ルマン・ハイパーカー(LMH)規定のマシンを主軸とするハイパーカー・クラスの11台出走という数字は、昨季までの状況からは大幅増といえるものだ。その内訳は「トヨタGR010ハイブリッド」、「プジョー9X8」、「フェラーリ499P」、「ポルシェ963」が各2台に、「グリッケンハウス007」、「ヴァンウォール・ヴァンダーヴェル680」、「キャデラックV-Series.R」が各1台となっている。
(*グリッケンハウスとヴァンウォール以外はハイブリッド。ポルシェとキャデラックは米国のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権との共用トップクラス規定「LMDh」の車両)
トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing=TGR)は2018年からWECおよびルマン24時間レース(WECの一戦)の制覇を継続中。WECのトップクラス対象となる世界タイトルは、2018/2019シーズン、2019/2020シーズン、2021年、2022年と4季連続で独占してきた。ルマン24時間レースでも5年連続で総合優勝を成している。そうした覇道の継続に向けて、今季2023年はメジャーブランドの大挙参戦という新たなハードルが加わった格好になる。
トヨタ(TGR)は今季も小林可夢偉がチーム代表兼7号車GR010のドライバーとして陣営を率い、7号車、8号車とも昨季同様のドライバー布陣でシーズンに挑む。7号車は可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ-マリア・ロペスで、8号車は平川亮、セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーだ(昨季ドライバー部門王者は8号車トリオ)。
また、2021年限りでWECレギュラードライバーを“勇退”し、現在はTGRヨーロッパの副会長職にある中嶋一貴がリザーブドライバーに名を連ねている。
◆フェラーリ499Pがポール獲得。しかしレースはトヨタの完勝
開幕戦の予選、ポールポジションを獲得したのはフェラーリ499Pだった。トヨタの1-2で決まるのかと思われたところで、#50 フェラーリのアントニオ・フオコが見事にポールポジションを奪取。フェラーリ499Pは素晴らしいデビューを飾ったのである。
しかし決勝レースはトヨタの2台が1-2で支配する流れとなった。
レース開始まもなくのセーフティカー出動時、フェラーリはトップだった50号車と4番手だった51号車をピットストップさせる判断を下し、2-3だったトヨタ勢がここで1-2に。以降、トヨタ勢最初のピットストップのタイミングで順位降下があった以外には、1-2が崩れることはなかったのである。長いレースを走るという意味での総合的な速さでは、やはり制覇を継続中のトヨタが圧倒的に勝っていたようだ。
セーフティカー導入やフルコースイエローが少なくはない展開だったこともあり、レースは1000マイル(約1600km、268周)到達より先に8時間のタイム制限が来ての決着となって、#7 トヨタ(可夢偉、コンウェイ、ロペス)が優勝。約2秒差の2位に#8 トヨタ(平川、ブエミ、ハートレー)が続き、トヨタGR010が1-2で開幕戦を圧勝した。
3位はポール発進だった#50 フェラーリ(フオコ組)。4位は#2 キャデラック(E. バンバー組)で、5~6位にポルシェ勢が#5(F. マコヴィッキ組)、#6(A. ロッテラー組)の順で続いている。3位と4位はトヨタ勢から2周遅れ、5~6位のポルシェ勢はさらに2周遅れだった。
総合7位はLMP2クラス優勝車で、ハイパーカー11台のうちの残り5台は“順当”な位置を占めることができなかった。昨季途中からのWEC登場で通算4戦目だったプジョー9X8は、1台が完走最下位の総合31位でもう1台は完走不認定。トヨタに挑むメジャーブランド製LMH規定車という“同じ立ち位置”にいるフェラーリ499Pがデビュー戦でポール&決勝3位という一定の成果を得たのとは対照的な結果になっている。
◆勝って兜の緒を締める可夢偉、「敵を過小評価してはいけない」
優勝した#7 トヨタの小林可夢偉は以下のようにコメント。勝って兜の緒を締めよ、といった心境のようである。
「このレースで勝つことができて最高の気分ですし、TGRチームオーナーである豊田次期会長、また佐藤次期社長を含む日本で支えてくれたみなさまをはじめとして、サポートしてくれた全ての方に感謝します。TGRファミリーは今シーズンに向けた準備のために本当に一生懸命、努力をしてくれました」
「昨日の予選はとても大変でしたが、(決勝レースで)力強く復帰することができ、全員の努力によるワンチームという我々の哲学を示せました。1-2フィニッシュは望み得る最高の結果ではありますが、激戦が予想されるシーズンは始まったばかりです。今日の決勝で我々は勝つことができましたが、ライバル勢を過小評価してはなりません」
「今日は経験が助けてくれましたが、今季はライバルからの挑戦に立ち向かうことになるでしょう。我々もさらに強くならなくてはなりませんし、戦いは激しさを増すことになります。チャンピオン争いは本当に面白いものになるでしょうし、そのなかにいられるのはとても嬉しいことです」
2023年のWECは全7戦のスケジュール。100周年大会となるルマン24時間レース(第4戦)は6月10~11日に、日本ラウンドである富士6時間レース(第6戦)は9月10日に、それぞれ決勝が実施される予定になっている。
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