仕組みは? 性能は? ディスクブレーキとドラムブレーキは何が違う?

現代のクルマには、「ディスクブレーキ」と「ドラムブレーキ」という2種類のブレーキが使われています。前輪は、ほぼすべてのクルマがディスクブレーキを採用しますが、後輪は車種やグレートによって異なります。では、この2種類のブレーキにはどんな違いがあるのでしょうか?

構造の違いが名称に表れている

ディスクブレーキとドラムブレーキは、それぞれ異なった構造となっています。ディスクブレーキは、名称の通りに円盤状の部品が使われており、ドラムブレーキは本体が円筒のような形状をしています。まさに「名は体を表す」というものとなっているのです。

では、その仕組みを紹介しましょう。

ディスクブレーキは、車輪と一体となって回る円盤状のディスクローターという部品があり、それをブレーキパッドで挟み付けます。ディスクローターとブレーキパッドが擦れる抵抗が、ブレーキ力になる仕組み。そのとき回転する力は、そこで熱に変換されます。

ディスクブレーキ
ディスクブレーキ

そのため、ディスクローターをはじめ、ブレーキパッドはブレーキをかけるほどに温度が高まることになります。ただし、多くのブレーキパッドの大きさは、ディスクローターの4分の1以下なので、ディスクローターのほとんどが空気中にさらされているため、熱を発散させやすいという特徴があります。

一方、ドラムブレーキは、円筒状の本体(ブレーキドラム)が車輪と一体になって回っており、その内側にブレーキシューという摩擦材があります。そのブレーキシューを内側からブレーキドラムに押し付け、その摩擦力をブレーキ力とします。内側にブレーキシューがあるだけでなく、ブレーキドラムは閉じた構造のため、どうしても熱がこもりやすいという短所があります。

ドラムブレーキの内部構造
ドラムブレーキの内部構造

走行スピードが高まりディスクブレーキが主流に

1950年ごろまで、自動車のブレーキといえばドラムブレーキが一般的でした。ドラムブレーキは構造がシンプルであり、ブレーキを効かせるのに、それほど大きな力が必要ないという利点があったためです。また、ブレーキシューのサイズも大きいため、制動力も充分でした。

しかし、クルマの高性能化とともに走行速度が高まって、ブレーキをよりたくさん使うようになると、熱の問題が大きくなってきました。あまりに熱が高まりすぎると、ブレーキの摩擦材が溶けるフェード現象やブレーキフルードが沸騰するベーパーロック現象が発生します。そうなると、ブレーキの性能は一気に低下し、非常に危険な状態に陥ります。簡単に言えば、ブレーキが効かなくなるのです。そのため1960年代になると、ディスクブレーキの採用が一気に増えていきました。

1967年に登場したトヨタ2000GTもディスクブレーキを採用
1967年に登場したトヨタ2000GTもディスクブレーキを採用

ドラムブレーキよりも構造は複雑ですが、熱に強いためフェード現象やベーパーロック現象が起きにくいのが最大のメリット。気づけば、現在のクルマのほとんどがディスクブレーキを採用するようになりました。特に大きなブレーキ力を求められる前輪には、ほとんどディスクブレーキが使われています。後輪に関して言えば、比較的サイズの小さなクルマには、いまもドラムブレーキが使われていることがあります。

ちなみに、最近では「回生ブレーキ」という言葉を耳にすることが増えてきました。これはハイブリッドカーや電気自動車(EV)など、モーターを利用する車両で使われるもの。車輪ではなく、駆動用のモーターを逆に発電機として使うことで、そこで発生する抵抗力をブレーキに活用します。ただし、回生ブレーキはあくまでも補助的な存在です。クルマを止める力のほとんどは車輪に備え付けられるディスクブレーキ、もしくはドラムブレーキが発生させています。

(文:鈴木ケンイチ 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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