クルマのトラブル「オーバーヒート」って何? どう対処すればいい?

クルマのトラブルのひとつに「オーバーヒート」があります。どのようなトラブルであり、どうすればよいのか、その対処方法なども紹介します。

エンジンが熱くなりすぎたのが「オーバーヒート」

クルマのエンジンは、ガソリンなどの燃料を燃やし、その力を走行に使います。つまり、熱エネルギーを運動エネルギーに変換して走っているのです。ところが、現在の技術では世界最高峰と言われるエンジンでも熱効率は40%ほど。つまり6割のエネルギーは熱として、空気中に廃棄されます。それをスムーズに行うのが、エンジンに備わっている冷却装置です。そして、現在のクルマは、液体を使う水冷方式と呼ばれる冷却装置を装備しています。その冷却水の温度を示すのが、メーター内に表示される水温計です。

メーター部分の水温計(イメージ)
メーター部分の水温計(イメージ)

ここで重要なのが、「エンジンの温度は、高すぎても低すぎてもダメ」ということ。つまり、適正温度であることが求められます。そのエンジンの温度を管理しているのが冷却装置であり、その状態を示しているのが「水温計」となります。

そして「オーバーヒート」というトラブルは、名前の通りに冷却水の温度が高くなりすぎた状態を指しているのです。

「オーバーヒート」を放っておくとエンジンが壊れる

エンジンの冷却水が「オーバーヒート」したままになると、どうなるのか。

端的に言えば、エンジンが壊れます。詳しく言えば、エンジン内で部品の潤滑に使われていたオイルが熱でおかしくなり、潤滑できなくなります。そのため金属の部品同士が潤滑なしで擦れあうことになり、どこかで焼き付いてしまうのです。

ちなみに「オーバークール」と呼ばれるトラブルも存在します。

こちらも文字通りに、冷却水の温度が低すぎるというトラブルです。走りだして、いつまでたっても水温計の表示があがらず、ずっと低いままという状態です。その場合もオイルの調子が悪くなり、抵抗が大きくなって燃費が悪くなるほか、やはり一部の潤滑悪化で部品が壊れる可能性もあります。

原因のほとんどが故障なので、すぐにエンジンを停止する

「オーバーヒート」の理由のほとんどが“故障”です。冷却水が漏れていたり、どこかの部品が壊れて動かなくなって、普段通りに冷却できなくなっていたりといったことが考えられます。

ですから、「水温計」の表示が異常に高くなっていたら、すぐにエンジンを停止してください。ボンネットフードを開けて、エンジンを冷やすようにするのもいいでしょう。そしてJAFやディーラー、自動車修理工場に連絡しましょう。その上で、自走して店舗に行くなり、積載車を手配してもらうなどして、クルマを修理してください。

また、自動車メーカーの想定外の使い方をしたために「オーバーヒート」になる場合もあります。

それはサーキット走行など、エンジンの高回転まで長時間回し続けた場合です。それ以外にも変速機の故障などで、低いギヤで走り続ける=エンジンの高回転の状態を長時間続けるといったケースでも「オーバーヒート」する可能性があります。そうした場合は、冷却装置が壊れているわけではないので、クルマを停止させてアイドリングに近い低いエンジン回転数のまま待っていると、徐々にエンジンの冷却水の温度が下がってくるはずです。

また、「オーバークール」の原因も、ほとんどが故障です。よくあるトラブルとしては、サーモスタットという部品が劣化して動かなくなるもの。サーモスタットの故障であれば交換費用はそれほど高くはないでしょう。

「オーバーヒート」も「オーバークール」も実際のところ、表示が出てすぐにクルマが動かなくなるものではありません。とはいえ故障は故障ですから、おかしいなと思ったら、なるべく早く、ディーラーや自動車修理工場に相談してみましょう。

(文:鈴木ケンイチ 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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