【動画】スバル・レヴォーグ 試乗インプレッション 車両紹介編
いいクルマは数十m走らせただけで分かるとはよく言われるけれど、この新型「レヴォーグ」は、間違いなくそれが当てはまるクルマだ。本当の話、タイヤがひと転がりするころには「コレ、いいな」と確信したのだった。
率直な印象を言おう。従来のレヴォーグは、アクセルを踏み込むとまずわずかな間があって、さらにどこかに力がたまる感覚があり、そのあとでようやくタイヤが転がり始め、その瞬間にはやや唐突感があった。念のため言っておくと、ほんの一瞬の間の、コンマ数秒の間の出来事である。
明確な理由は分からず、「ダイレクト感がないのはCVTのせいかな」と思っていたりもしたのだけれど、新型レヴォーグはやはりCVTを使っているにもかかわらず、そんな印象はまったくない。それどころか、走りだしは極めてスムーズで、すぐにいいクルマだと実感させる。
その違いの一番の要因は、どうやらボディーらしい。新型レヴォーグはフルインナーフレーム構造を国内向けスバル車では初採用。外板は剛性を受け持たないので造形の自由度が高まり、インナーフレームは剛性確保に集中できる。それを含めてボディー剛性はなんと40%も上がっているという。
実は先代は、発進の時にボディーにねじれが生じていたのだ。せっかくのエンジンパワーが路面に伝わる前にボディーをよじらせ、サスペンション取り付け部をよじらせ、次の瞬間に発散する。一瞬のためがあり、発散する感覚は、まさにコレ。新型の高剛性ボディーは、エンジンパワーを逃がすことなく、タイヤに、路面にそのまま伝達する。だからスムーズなのである。
もちろん、それはいろいろな要素の相乗効果なのだが、一番の主役がこのボディーであることは間違いない。言ってみれば、高剛性ボディーという最後のピースを手にして、SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)の目指す走りが、ようやく実現できたということではないかと思う。
実際に新型レヴォーグに乗ったら、特に先代を知っている人ならば、私が言っていることを「おおっ、このことか!」と、実感できると思う。あまりに上質な走りに「スバルらしくない」という人もいるなんて話も耳にするが、この走りこそが、スバルが目指す「スバルらしさ」の最新型なのだ。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[ガズー編集部]
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