【動画】ホンダN-ONE RS 試乗インプレッション 車両紹介編

先代で評判のよかったエクステリアデザインはそのままに、中身が一新されたホンダの軽乗用車「N-ONE」。どこがどのように進化したのか、モータージャーナリストの森口将之がポイントを解説する。

ホンダN-ONEのモデルチェンジでなんといっても注目すべきは、スタイリングがほとんど変わっていないことだ。具体的にはドアやルーフ、リアゲートなど、鉄板でつくった外板はすべて旧型と同じで、樹脂成形のパーツのみ新しくしたとのことだ。

先代N-ONEの初期型と比べると、エンジンフードとルーフの形状は異なる。とはいえ新型は、2017年のマイナーチェンジで歩行者保護対策のためにリデザインしたものを継承しており、さらにその2年前に追加されたローダウン仕様そのもの。モデルチェンジ直前の車両とほぼ同じなのだ。

でもそれは、新しいアイデアが出なかったとか、お金がなかったとかいう理由ではもちろんない。意図的にこういうモデルチェンジを選んだのである。

8年前にデビューしたN-ONEは、ホンダの軽乗用車の原点である「N360」をモチーフにして生まれた。当時ホンダはレトロという言葉は使わず“タイムレスデザイン”と表現した。

新型はこのタイムレスデザインの継承と進化を目指し、さまざまなデザインが提案されたという。しかしどれもN-ONEらしさが見えなかったことから、「変えない」という結論になったそうだ。

しかも軽自動車は外寸と排気量に制約があり、N-ONEを含めてほとんどの車種は、全長と全幅はすでに上限に達している。それなら変えないでいこうという決断だったのかもしれない。

筆者自身、良いデザインは無理に変える必要がないと思っている。第2次世界大戦後の時代を代表する大衆車である「フォルクスワーゲン・タイプ1(通称:ビートル)」や「BMCミニ」、「シトロエン2 CV」は、40年以上同じ形を保ち続けていた。なのに今なお根強い支持を得ているのだから。

実は新型N-ONE、プラットフォームは現行「N-BOX」で初採用した新世代に切り替わっている。だからモデルチェンジと呼んでいるのだ。しかし新しいプラットフォームと従来のボディーを組み合わせるという作業は、それほど簡単ではない。モノコック構造の場合、衝突試験をクリアするためには、ボディーとプラットフォームが連携して衝撃を吸収しなければならない。その点、ボディーもゼロからデザインしたほうが、むしろ楽なのかもしれない。

にもかかわらず「変えないモデルチェンジ」を選んだところに、筆者はホンダならではのチャレンジングスピリットを感じた。

(文:モータージャーナリスト・森口将之)

[ガズー編集部]

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