【動画】ホンダN-ONE RS 試乗インプレッション 試乗編
新型N-ONEのグレードは、大きく分けて「オリジナル」「プレミアム」「RS」の3タイプ。今回の試乗車はRSで、しかもこのグレードだけで選べる3ペダルの6段マニュアルトランスミッションを組み合わせていた。ターボエンジンを積む前輪駆動の6MTは、軽自動車ではこの新型N-ONEが初とのことだ。
最高出力は64PS/6000rpm、最大トルクは104N・m/2600rpmと、840kgの車体に対しては十分だし、後者の発生回転数が低いのもポイントである。
おそらくMTでなくても加速性能に不満は出ないだろう。むしろCVTは巡航時のエンジン回転数を低く抑えてくれるので静かになるはず。それでも新型N-ONEにMTを用意したことには価値があると思った。
スペックが示すとおり、エンジンは昔の軽自動車のターボと比べればかなり扱いやすくなっており、3000rpmも回せば必要なレスポンスやパンチ力が得られる。それでも左手と左足を連携させて変速を繰り返したくなる。インパネから生えたシフトレバーのフィールが優れていることが大きい。
ホンダのMTは昔から、操作が軽いけれど確実なタッチと短いストロークで、操る喜びを感じさせてくれるものが多かった。この新型N-ONEも例外ではない。ついつい左手を動かしたくなるタイプである。
それ以上に、自分の手足を使って必要な力を取り出し、路面に伝えるという行為が、あらゆる部分で自動化が進む今のクルマでは逆に新鮮に感じられて、のめり込んでしまうこともある。「ひと手間かけたモノ」が魅力的に見えるのに通じる。
足まわりは、プラットフォームを共有しボディーサイズや車重も近い「N-WGN」に比べると硬めだ。資料のうえでは「RS独自のチューニングが施されている」という記述はなく、タイヤサイズは他のターボモデルと共通なので、ターボのN-ONEは全車このフィーリングである可能性が高い。
ちょっと感動するほどにソフトな乗り心地だった、自然吸気エンジンのN-WGNとのキャラクターの違いは明らかだ。おかげでシフトレバーを操ってペースを上げても不安にはならず、小さなハッチバックらしい小気味よさを味わわせてくれた。
N-ONEがモチーフとした「N360」はデビュー当時、高性能な軽自動車としても名をはせた。あの時代の評価を知っている人であれば、この性格づけに納得するのではないだろうか。
(文:モータージャーナリスト・森口将之)
[ガズー編集部]
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