【動画】トヨタ・ミライZ“エグゼクティブパッケージ” 車両紹介編
フルモデルチェンジでガラリと印象が変わった「トヨタ・ミライ」。スタイリッシュな新型の、注目すべきポイントとは何か? 先代モデルのオーナーでもあった島下泰久が解説する。
2014年に登場した量産燃料電池自動車(FCV)のトヨタ・ミライを、筆者は発売と同時に購入して、そのあと丸4年間をともに過ごした。かつて未来の自動車の本命といわれながら、なかなか実現しなかったFCVを日本のトヨタが発売すると聞いて、すぐに購入を決めたのだ。
初代ミライで何よりインパクトがあったのが、その快適性だ。長距離を行くのが本当に疲れないのである。エンジンの振動や騒音が、実はそれほどまでに体を疲れさせているんだと知って、半ばがくぜんとしたのをよく覚えている。
そうした面はEVでも同じことなのだが、FCVのミライの場合は、一気に長時間、長距離を乗ることができるので、なおのことハッキリとそれを実感できたというのが本当のところである。東京から名古屋まで往復した後、「もう一回、名古屋まで行くのも余裕だな」と思えたのだから驚いた。
一方で不満もないわけではなかった。プラットフォームが旧型だったうえに、快適性に振りすぎていたが故に、フットワークは退屈で操る喜びは乏しかったし、先進装備、特に運転支援装備の類いも充実していなかった。何しろ、パーキングブレーキは足踏み式だったのだから!
実は一瞬、「テスラ・モデルS」も購入候補にしていた。モデルSはフットワークはそこそこだったが走りには面白さがあったし、操作系にも運転支援装備にも先進感があふれていた。しかも見た目だってスタイリッシュだったから、正直に言って、横目に見てはずっとうらやましく思っていたのだった。
おそらくは他の多くのオーナーも、そして購入に至らなかった人たちも、思いは同じようなところだったのではないかと思う。FCVやEVに興味を持つ層は、パワートレインだけでなくすべての面で最新の、最先端のものに触れたいと考える人たちだ。初代ミライが、そうした層に強くアピールできなかったのは、元オーナーとして十分に理解できる。
そうしたユーザーたちの思いは開発陣にもしっかり届いていた。新型ミライは、こうした不満のすべてを解消するべく生まれてきた。後輪駆動のプラットフォームに刷新され、内外装のデザイン、走りっぷり、そして先進装備など、すべてをアップデート。FCVだから欲しいという存在ではなく、魅力的に思えたクルマが、たまたまFCVだったというクルマを目指したという、その意気込みを、まさにあらゆる部分で実感できるモデルへと進化してきたのだ。
(文:モータージャーナリスト・島下泰久)
[ガズー編集部]
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