【動画】トヨタ・ミライZ“エグゼクティブパッケージ”試乗インプレッション 試乗編

見た目だけではなく、メカニズムも装備も乗り味も変わった! 燃料電池車「トヨタ・ミライ」の新型に試乗したモータージャーナリスト島下泰久が、その印象を動画でリポートする。

待望の量産燃料電池自動車(FCV)として2014年にデビューしたトヨタ・ミライ。私もすぐにオーダーを入れて自分のクルマとして乗っていたのだが、少々厳しい言い方をすれば、その絶対的な価値はFCVだということであり、それ以外には、さほど大きな魅力のないクルマだった。

例えばデザインは、今でこそ見慣れてしまった感はあるが、やはりストレートにカッコいいといえるものではなかった。燃料電池スタックを前席下に置くレイアウトだけに、仕方のない部分があったのは分かるのだけれど……。走りっぷりも、快適性は高かったものの直進性、コーナリング性能などはそこそこというレベルだったし、運転支援装備なども最新のものはそろっていなかった。

しかも、それがモデルライフを通じてほとんどアップデートされなかったのが、また痛かった。FCVを世に出すということを優先するあまり、クルマとしての魅力、特にこうした新しいモノに関心を抱く層の考えにまで、思いが至っていなかったといったところだろう。

2020年に登場した新型ミライは、FCVとしての性能を高めるだけではなく、こうしたクルマとしてのピュアな魅力を引き上げることを念頭に置いて開発されたという。スタイリングは個性的であり、魅力的。後輪駆動レイアウトは走りのためともいわれるが、実はそれ以前に、FCVとしての高効率なパッケージングのために採用されたものである。

前席下に置かれていた燃料電池スタックがフロントコンパートメントに移動して、駆動用モーターは後輪側に。さらに高圧水素タンクをセンタートンネル内にまで積むことで、航続距離を延長できる大容量の水素の搭載と、スタイリッシュなエクステリアを両立させているのだ。

もちろん走りのポテンシャルも引き上げられている。先進装備もひと通り備わっているし、「エアピュリファイヤー」のようなFCVならではのアイテムもそろう。さらに先日、高度運転支援を実現する「Advanced Drive(アドバンストドライブ)」搭載車も設定された。

遅ればせながらではあるものの、足りなかったピースがほぼ埋まったと言っていい新型ミライ。これならまた乗りたいな……と思い始めてしまった。できれば今後は、大人っぽい魅力的な内外装色など用意してくれればうれしい。

(文:モータージャーナリスト・島下泰久)

[ガズー編集部]

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