【動画】「ロータス・エリーゼ スポーツ220」試乗インプレッション 試乗編
「ロータス・エリーゼ」は、なぜ世界のスポーツカーファンに愛され続けてきたのか? 楽しくてたまらない走りの要素について、モータージャーナリスト山田弘樹が動画でリポートする。
ロータス・エリーゼがデビューしてから25年もの歳月が流れたわけだから、当時は頑固だった少年も、少しは物わかりのいい大人になっていた。それどころかボクはここ数年、エリーゼが最も理想的なスポーツカーの一台だと思うようになっていた。
新型「アルピーヌA110」が登場したこともあって、一時は、エリーゼのあまりにも日常性のないつくりを“手抜き”とすら感じたこともあった。でもだからこそ、何もないことこそが、エリーゼのかけがえのない魅力だと気づくことができたのだ。
走るために必要なもの以外は、極力付けない。その頑固さを貫いて、エリーゼは“スポーツカーの文化遺産”にまでなったと思う。こんなに小さくて、軽くて、楽しいスポーツカーは、時代の流れを考えると、今後はもうつくれないだろう。
そしてボクがこだわり続けていた「横置きミドシップ」というアーキテクチャーにも、自分なりの決着がついた。エリーゼは横置きミドシップだからこそ、そのホイールベースを短くとることができ、クイックに旋回する能力が得られたのだと、25年たってやっと心から納得できたのだ。
それは自分が、軽さとともにロータスの財産となっている「シャシーセッティングの懐の深さ」を体で理解できるようになったから。
汎用(はんよう)ウエットサンプ式エンジンの、重心の高さをも巧みに利用してクルッ! と向きを変える身のこなし。そのとき、接地性に優れたサスペンションはエリーゼをゆっくりとロールさせ、クローズドコースであれば車体のスライドを楽しくコントロールさせてくれる。
過給機にターボではなくスーパーチャージャーを選んだのも、その豊かなトルクをリニアに右足で操れるようにするため。そういう意味で言うと、最終型となる「エリーゼ スポーツ220」は、歴代エリーゼのなかでもベストチョイスな一台である。
そんなエリーゼはしかし、2021年9月の生産終了が決まってしまった。
その魅力に気づいた……というより、ずっと憧れつつもその価格に二の足を踏んでいた潜在的なオーナーたちも、どうやら生産終了の知らせを聞いて意を決したようだ。メーカー在庫はアッという間になくなり、あとは各店舗が保有している在庫のみだという。そして中古車市場価格も、確実に上がっている。
当のボクは結局最後まで手に入れるタイミングが合わなかったけれど、なんだか、すがすがしい気分である。最後の最後で、心から彼女と分かり合えたような気がする。
ロータス・エリーゼは、最高に楽しいスポーツカーである。
(文:モータージャーナリスト・山田弘樹)
[ガズー編集部]
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