三菱がラリーで鍛えたAWD技術が生きている新型「アウトランダー」の走り 竹岡 圭

この走りには、モータースポーツで培ってきた三菱の技術が生きている! 乗ればわかる新型「三菱アウトランダー」(PHEV)の走りの特徴を、モータージャーナリスト竹岡 圭がリポートする。

アウトランダーのPHEVでなければできないこと。実はたくさんあります。まず急速充電器が使えるプラグインハイブリッドのSUVとして、まれな存在です。

チャージモードがあるPHEVも実は少なかったりするんですよね。セーブモード的な「いまのバッテリー残量をこれ以上減らさないように走るモード」が付いているモデルは意外と多いのですが、アウトランダーPHEVのように強制的にエンジンをかけてまで充電するチャージモードがあるものは、意外と少ない。

これができるとどうなるか? 走っていない状態で発電が可能になるわけです。それで、「ガソリン満タンなら家庭用の最低限の電源12日分が賄える」という話ができるんですよね。

これは本当にすごいことです。例えば(実際に起こってほしくはないですが)有事の際には、電気がつくだけでもありがたいものじゃないですか。さらに、家庭用の電化製品がそのまま使えますから、電気ポットでお湯を沸かして、ホットプレートで調理して、炊飯器でお米炊いて~なんてこともできちゃうわけですよ。そうやってなんとか12日間もしのげれば、きっと大きな助けになるはずです。

もちろんこれ、キャンプシーンでだって使えます。ちなみに私は、先代のアウトランダーPHEVで電動キャンプというのをやってみたことがあるのですが、タコ焼きとお好み焼きと、綿あめなんかもつくっちゃって、お祭り気分で楽しめました。火をおこさなくていいから、朝ゴハンの後片づけがメチャクチャ簡単なのがありがたかったんですよね。サッと遊びに出かけられますから。

そうそう、耐久レースに参戦した時も、ここから電源を取ってピットを照らし、炊飯器でお米を炊いて、IHヒーターでお湯を沸かしてそうめんをゆでて、なんてこともしましたねぇ……。

そんな感じで、いろいろな思い出とともにあるクルマなんですよ。それよりも、一緒に思い出づくりができるクルマといったほうがいいかもしれませんね。それって、まさにクルマ冥利(みょうり)に尽きるってことだと思います。

もうひとつアウトランダーPHEVにしかできないことは、あの三菱ならではのAWD制御だと思います。世界に誇れる制御だと個人的には思っているのですが、あくまでもドライバーに委ねる、ドライバー主体の制御なんですよね。それこそ、世界の名だたるモータースポーツシーンで勝てるレベルの技術が注がれているのだから、楽しいに決まってる。こんなに楽しいAWD制御はほかにないと思います。

そのクルマにしかできないものをたくさん持っている。そんなクルマってなかなかないですよね。

(文:モータージャーナリスト・竹岡 圭)

[GAZOO編集部]

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