マツダロードスター990S 軽快な走りを追求した特別仕様車の車両解説

日本が誇るオープントップのスポーツカー「マツダロードスター」に、走りの軽快さを追求したという「990S」が登場。その注目すべき装備について、ロードスターオーナーでもある伊藤 梓が解説する。

私が4代目のロードスターオーナーになって、約6年。走行距離は7万kmを超えたが、毎日乗ってもいまだに色あせない魅力を感じる。そんなロードスターが、2021年末に商品改良を受け、最も軽量な特別仕様車である990Sが設定された。もちろん自分の愛車である「NR-A」は大好きだし、手放す気はないが、この990Sに乗って、心底「欲しい!」と思ってしまった。現ロードスターオーナーをもとりこにしてしまう、990S。前編では、990Sが一体どんな仕様なのかを紹介しよう。

商品改良前は、ロードスターの最軽量モデルといえば最もベーシックな「S」だった。このSをベースにRAYS製のホイールを採用することで、さらなる軽量化を図ったのが990Sだ。ノーマルモデルと比較するとホイールが1本あたり約800g軽量で、4本合わせて約3.2kg軽くなっている。

ブレンボ製のブレーキも特別装備のひとつ。ブレーキローターは標準より径が大きくなるものの、ブレーキキャリパーがアルミ製になったことで、ブレーキシステム全体の重量増はほとんどない。車検証上の車重は、Sも990Sも990kgと記されているが、それは表記が10kg刻みであるため。実際に計量すると、990Sの方が軽いそうだ。

サスペンションも変更されており、スプリングレートが高められ、ダンパーは伸び側が少し緩められている。さらに、エンジンのECUとパワーステアリングの制御も専用にチューンされており、アクセル開度に対してややパワーが立ち上がりやすい特性になったほか、パワステは軽快感と上質さが得られる設定とされている。また、幌(ほろ)やエアコンルーバー、フロアマットのロゴなどはブルーになっていて、見た目にも爽やかな印象だ。

私は、特別仕様車に対しては「ちょっと見た目が変わる程度」という先入観があったのだが、990Sはロードスターらしい軽快で気持ちのいい走りを追求したモデルだった。そんな990Sの真価は、とにかく走ってみなければ分からない! ということで、後編ではその走行性能をたっぷり試してみたい。

(文:自動車ライター・伊藤 梓)

[GAZOO編集部]

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