トヨタ ヴォクシー試乗 どれほど進化したのか走りと先進装備をチェック
背の高い箱型のクルマだからと侮るなかれ。ミニバン「ヴォクシー」の新型は、走りにかかわるメカニズムも刷新されている。そのポイントについて、試乗した自動車ライター清水草一がリポートする。
顔がホラーな新型ヴォクシーだけど、走りについては実に真面目につくり込まれていて、徹底的に優等生なのであります。
パワートレインは、2リッターガソリンエンジンと1.8リッターハイブリッドの2種類が用意されているが、今回試乗したのはハイブリッドのほう。先代ヴォクシーもハイブリッド車の内燃機関は1.8リッターだったけれど、中身はまったく変わっていて、断然力強くなった。
といってもパワフルというほどではなく「普通によく走る」くらいの感じですが、日常走行には十分。新世代ハイブリッドシステムだけに、燃費もかなり改善されている。以前行ったガソリン車との比較試乗では、都心部の一般道で、ハイブリッド車が20km/リッター、ガソリン車は10km/リッターくらい。燃費が約2倍も違いました。新世代ハイブリッド、すげえ!
カーマニア的にはボディーのしっかり感、つまり剛性にもこだわりたいのですが、新型はこれも合格点だ。両側スライドドアを持つミニバンは、基本的に剛性を高めるのが難しいものの、ヴォクシーは実にしっかりしている。これならカーマニアも納得だ。さすがはTNGA(Toyota New Global Architecture)。
運転していて一番感心したのは、運転支援装置の「プロアクティブドライビングアシスト」だった。ACCをONにしていなくても、コーナーの手前で自動的に減速してくれるんだからビックリ! 前走車が接近しても自動的に減速してくれる! なんだか夢のようにラクチンなのです。
どうやってこれを実現しているかと申しますと、超高精度な3Dマップと、GPS衛星からの位置情報を照らし合わせつつ、周囲の状況をカメラやレーダーで捕捉。それらの情報を統合して、減速が必要と判断すれば、エンジンブレーキだけでなくフットブレーキも作動させているのです。その時はブレーキランプも点灯するので、後続車に追突されるリスクも小さい。フットブレーキの作動時は、よく見ればメーター内のインジケーターも点灯する。スバラシイ!
ただし、この装置、前走車が急ブレーキを踏んだりした時は、ドライバーがブレーキペダルを踏んで減速しなければなりません。そのままノーブレーキでいれば、衝突直前に自動ブレーキが作動して急減速するけれど、それはあくまで「衝突被害軽減ブレーキ」で、ぶつからないことを保証するものじゃない。そこまで試す勇気はないのでやっていませんが(試しちゃダメ!)、ドライバーたるもの、ブレーキを自分で踏むことを忘れてはいけませんね! ラクチンだけど気をつけます!
(文:自動車ライター・清水草一)
[GAZOO編集部]
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