スポーツカーを思わせる新型「トヨタ・プリウス」に乗ってみたら……? 走りの印象をリポート
新型プリウスの運転席に座ってみると、たしかにフロントウィンドウは強く傾いていて、しかも大きい。夏は暑く感じないか気になる。でもウィンドウ自体がドライバーから離れた場所にあるので、圧迫感はない。
フロントウィンドウとフードが一直線でつながったモノフォルムシルエットは、自分に関して言えば愛車も同様なので違和感はなく、誰でも慣れればノーズのボリュームなども把握できるようになる。新型プリウスについても、オーナーになればそういう印象を抱くのではないだろうか。
試乗車のエンジンは、1.8リッターと2リッターがあるうちの後者だった。プラス200ccの効果は、余裕に表れている。エンジンを高回転まで回さなくても必要な力が手に入るのだ。逆にアクセルペダルを大きく踏み込んでも、鋭いダッシュが得られるというわけではない。やはり余裕に振り向けているのだと実感する。音も抑えられているだけでなく、音質がトヨタのハイブリッドカーとしては澄んでいて、上質感を追い求めていることがわかる。
2リッターモデルは19インチの大径ホイール&タイヤが標準装備で、17インチがオプションになる。この19インチでも乗り心地は悪くはない。むしろ重厚という言葉が当てはまる。17インチを選べばもっとまろやかな感触になるだろうが、現状でも不満はない。
先代プリウスは、TNGA思想に基づく新世代プラットフォームを最初に採用したトヨタ車だった。その点もあったのだろう、低重心であることとキビキビ感を強調したようなハンドリングだったと記憶している。
新型はそれに比べると、落ち着きが増した。コーナーを回ってみると、たしかに低重心であることを感じるけれど、それを強烈にアピールするようなキャラクターではなく、操舵に対する反応も唐突ではなく自然だった。
つまり新型プリウスは、デザインこそかなり尖(とが)っているけれど、走りについても尖っているわけではなく、むしろ大人っぽくなったというのが個人的な印象だ。スポーティーなデザインをまとっても、中身はやはりトヨタ車らしく万人向けであることがわかったし、そのなかでプリウスとして、世代とともに成長していることが確認できた。
(文:モータージャーナリスト・森口将之)
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