【マツダ ロードスター 990S 新型試乗】軽さだけが正義か? 究極のロードスターとは…中村孝仁

  • マツダ ロードスター 990S
まずはその外装色から。ジルコンサンドメタリックと呼ぶ色だそうである。これが『ロードスター』に採用された新色だ。かなり渋い大人の味わいともいえるカラーリングである。

さて、「ロードスター990S」については既に多くが語られている。私もデビュー時に伊豆の山中を駆け巡った。しかし、ドライブフィールを楽しむにはそれでよいのだろうが、では一体その使い勝手がどうかという点は、やはり数日お借りしてあれこれ試してみないとわからない。そんなわけで今回は8日間、このクルマをお借りしてみた。

◆都会でも俊敏さが光る
伊豆のワインディングロードを走った時はスタビが外されていることやブレイスを取り去っていることによる柔らかさが少し好みに合っていないと評した。しかし山を下りていざ都会を走り回って見ると、それの有る無しによる影響はほぼない。相変わらずのヒラリ感だけが妙に強調されて、実に楽しい。

周辺にある僅かなワインディングでそのヒラリ感を体感する。と言っても都会のワインディングで出せるスピードと言えば精々40~50km/h程度。しかし、それでも楽しいと感じるほどこのクルマの運動性能は素晴らしい。

勿論よりスピードの高いコーナリングを敢行すれば、テールはグイっと沈み込んでそれなりのロールが出るはずなのだが、それらをきちっと制御するKPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)が付くので、ある程度は抑え込むわけである。だが都会のワインディングではほぼロールもなしに狙ったラインを忠実にトレースする。何よりもその俊敏さが光る。

1.5リットルで大したパワーも持たないが、やはり軽さのせいか信号待ちからの発進なども、一気に他を引き離す(勿論周囲はその気になっているクルマなどないから当たり前だが)。

ここまでは間違いなく軽さは正義である。しかし軽さが犠牲にした部分もある。

◆「軽さ」のために犠牲にしたもの
一つはアイドリングストップをさせるためのiストップとi-ELOOPの設定がない。だから、信号で止まってもアイドリングストップはしない。そしてシートヒーターもない。正直、この季節(1月末)は我が家周辺は早朝常に気温がマイナスになる。まあ、本革シートのひんやり感はないから多少は救われているが、やはり乗り込んだ直後は深々と冷えている。

エアコンもオートではない。ただ、こいつに関しては、マニュアルだろうがオートだろうが温まり始めるまでの時間は変わらないだろうから、問題はない。それに1週間乗っている間に最良の調節方法を見つけたので、オーナーになれば温度設定に関しては大きな問題とはならないと思う。
 
実は990Sにはナビゲーションを映し出すディスプレイが付かない。ダッシュボードセンターに付くのはラジオのコントロールができる小さなディスプレイがあるのみ。まあ、軽さのために犠牲になったと言えば犠牲になったものだろう。ナビは携帯で…というわけだ。

グローブボックスが存在しないことと、シート背後はバルクヘッドで塞がれているから、ちょっとした荷物も置けず、そこに小さな収納ポケットとETC車載機が装備されるのも他のモデルと変わらないが、ND(ロードスターの型式)で最も不便をを感じるのがこの部分である。

まあ、たまたまだが、とある会合で友人が60年代のロータス『エラン』に乗ってきていたのでくしくも比較できたのだが、やはりシート背後にはそれなりのスペースがあって、脱いだジャケットや小型のバッグなどはそこに置ける。正直、この便利さは欲しいと思った。となるとNAからNCまでのロードスターに回帰したくなってしまうのだが、走りに徹したNDの方がエンドユーザーからは受けがよさそうなので、無いものねだりは単なる戯言に聞こえてしまう。

◆究極のロードスターとは
改めて軽量でそれに合わせたサスペンションチューンやECUチューンが施された990Sに試乗して、走りと乗り味という点では間違いなく軽さは正義であると感じた。

ロードスターが世に出たのは1990年のこと。あれからすでに30年以上の歳月が流れているから、今の技術をもってしてすれば、ドライバーズシート背後のちょっとしたスペースを作りつつ、且つ高い剛性を確保したモデルが作れそうな気がする。使い勝手を考慮しつつ、最高に楽しいハンドリングマシンが完成してくれたら、究極のロードスターになると思うのだが…。

それを考えると軽さだけが正義なのか、少し疑問も感じるのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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