【試乗記】トヨタ・カローラ ツーリング“2000リミテッド”(FF/CVT)

トヨタ・カローラ ツーリング“2000リミテッド”(FF/CVT)
トヨタ・カローラ ツーリング“2000リミテッド”(FF/CVT)

幻よ もう一度

「トヨタ・カローラ ツーリング」の限定車“2000リミテッド”に試乗。ベーシックな実用車には過剰ともいえる2リッターエンジンを積む、ある意味で古典的な手法でつくられたスポーツワゴンの仕上がりをリポートする。

500台が瞬殺

2020年5月13日に発表された「トヨタ・カローラ ツーリング“2000リミテッド”」。限定500台は10日足らずのうちに完売となった。
2020年5月13日に発表された「トヨタ・カローラ ツーリング“2000リミテッド”」。限定500台は10日足らずのうちに完売となった。
インパネとセンターコンソールまわりにはレッドの加飾があしらわれている。
インパネとセンターコンソールまわりにはレッドの加飾があしらわれている。
ファブリック表皮のスポーツシートを標準装備。前席のみシートヒーターが備わっている。
ファブリック表皮のスポーツシートを標準装備。前席のみシートヒーターが備わっている。
前席ともどもファブリック表皮にははっ水加工が施されている。
前席ともどもファブリック表皮にははっ水加工が施されている。
トヨタ・カローラといえば、2019年秋の「セダン」とツーリングのフルモデルチェンジによって、息を吹き返した。新型の正式発売は9月だったが、2019年度(2019年4月~2020年3月)の登録乗用車の国内年間販売で早くも1位の座を奪還したのだ。先代ではトップ10圏外になることもあったことを考えると、見事な復権である。これは若者たちにとっては「だからなに?」かもしれないが、1969年から2002年=計9世代にわたる“国内乗用車販売33年連続1位!!”というカローラ全盛期を肌で知る中高年にとっては、やはり、ちょっと感慨深い出来事である。

そんな最新カローラのツーリングに、ひっそりと現れては消えた(笑)一台の限定車があったことを知っているだろうか。その名を2000リミテッドという。2020年5月13日に500台限定発売が発表されて、そこから10日も経たないうちに完売した幻の(?)カローラである。

まあ、トヨタとしても、これを幻にする意図などなかっただろう。ただ、それは例の新型感染症の緊急事態宣言まっただなかに発売されて、瞬殺で売り切れてしまったので、よほど目ざといカローラファンでもないと、その存在に気づくことすら困難だったはずである。まさに未曽有のコロナ禍が生んだ悲劇(?)のひとつといえるかもしれない。

それはともかく、2000リミテッドはまさに名称どおりに、2リッターエンジンを積む限定のカローラである。心臓部となる「MA20A-FKS」型エンジンは、トヨタが「ダイナミックフォース」と称する最新TNGA世代ユニットのひとつ。日本市場でいうと「RAV4」や「ハリアー」、さらに「レクサスUX」の2リッターと同じもの……というと分かりやすいかもしれない。

国内向けカローラ通常モデルのパワーユニットは、高価なほうから1.8リッターハイブリッド、1.2リッターターボ、1.8リッター自然吸気の3種類だが、ダイナミックフォース2リッターのカローラは、北米や中南米、中東、アフリカ向けなどで以前から存在していた。

2020年5月13日に発表された「トヨタ・カローラ ツーリング“2000リミテッド”」。限定500台は10日足らずのうちに完売となった。
2020年5月13日に発表された「トヨタ・カローラ ツーリング“2000リミテッド”」。限定500台は10日足らずのうちに完売となった。
インパネとセンターコンソールまわりにはレッドの加飾があしらわれている。
インパネとセンターコンソールまわりにはレッドの加飾があしらわれている。
ファブリック表皮のスポーツシートを標準装備。前席のみシートヒーターが備わっている。
ファブリック表皮のスポーツシートを標準装備。前席のみシートヒーターが備わっている。
前席ともどもファブリック表皮にははっ水加工が施されている。
前席ともどもファブリック表皮にははっ水加工が施されている。

中高年に刺さるネーミング

試乗車のボディーカラーは「レッドマイカメタリック」。「ブルーメタリック」とともにラインナップされた特別設定色だ。
試乗車のボディーカラーは「レッドマイカメタリック」。「ブルーメタリック」とともにラインナップされた特別設定色だ。
ステアリングヒーターも標準装備。スイッチはステアリングコラムの右下にレイアウトされる。
ステアリングヒーターも標準装備。スイッチはステアリングコラムの右下にレイアウトされる。
車内の空気汚れを検知してエアコンの風量を自動調節するエアクリーンモニターが備わる。
車内の空気汚れを検知してエアコンの風量を自動調節するエアクリーンモニターが備わる。
速度計とエンジン回転計、運転支援装備の作動状況などをウインドシールドに表示するヘッドアップディスプレイを装備する。
速度計とエンジン回転計、運転支援装備の作動状況などをウインドシールドに表示するヘッドアップディスプレイを装備する。
というわけで、今回の試乗車は、その幻のカローラ ツーリング“2000リミテッド”だ。繰り返すが、このクルマはすでに完売しており、残念ながら新規オーダーすることはできない。

この2リッターはハイブリッドよりも排気量が大きく、エンジン単体の出力とトルクは1.2リッターターボを上回る。つまり、カローラの2リッターは、多くの市場でスポーツグレード的な位置づけである。それは日本の2000リミテッドでも変わらず、17インチタイヤやハイバックシートなど、主要部分の仕立てはおなじみの「W×B」グレードに準じる。

2000リミテッドの外板色は全4色が用意されていて、うち2色が通常のカローラにはない特別設定色だった。今回の「レッドマイカメタリック」も特別設定色のひとつで、標準の赤メタよりも朱色がかった色合いが特徴だ。

さらに「トヨタセーフティセンス」の後方センサー、シートヒーターとステアリングヒーター、ルーフレール、ヘッドアップディスプレイ、9インチのディスプレイオーディオ、おくだけ充電……といったW×Bでのオプション装備が標準となって、価格は1.2ターボのツーリングW×Bの約14万円高となる。

ほかにも昔ながらの「3連サブメーター」を想起させる計器表示や古典的な内装のレッド加飾など、若かりし頃にカローラのスポーツモデルに憧れた系の中高年心をくすぐる特別装備がそこかしこにちりばめられる。変速機のちがい(このクルマは「ダイレクトシフトCVT」で1.2ターボは6段MT)も考慮すると、私を含む中高年マニアの心情としては、2000リミテッドに割安感を抱いてしまう。

そもそも、真正面から排気量をうたう「2000」や「リミテッド」という昭和~平成初期を思わせるグレード名の響きからして、中高年ねらいの確信犯であることは明白なのだ。しかし、しつこいようだが、すでに完売なのである(涙)。

試乗車のボディーカラーは「レッドマイカメタリック」。「ブルーメタリック」とともにラインナップされた特別設定色だ。
試乗車のボディーカラーは「レッドマイカメタリック」。「ブルーメタリック」とともにラインナップされた特別設定色だ。
ステアリングヒーターも標準装備。スイッチはステアリングコラムの右下にレイアウトされる。
ステアリングヒーターも標準装備。スイッチはステアリングコラムの右下にレイアウトされる。
車内の空気汚れを検知してエアコンの風量を自動調節するエアクリーンモニターが備わる。
車内の空気汚れを検知してエアコンの風量を自動調節するエアクリーンモニターが備わる。
速度計とエンジン回転計、運転支援装備の作動状況などをウインドシールドに表示するヘッドアップディスプレイを装備する。
速度計とエンジン回転計、運転支援装備の作動状況などをウインドシールドに表示するヘッドアップディスプレイを装備する。

扱いやすいパワートレイン

パワーユニットは最高出力170PS、最大トルク202N・mを発生する2リッター直4自然吸気のダイナミックフォースエンジン。「RAV4」と「ハリアー」(同171PS/同207N・m)、「レクサスUX」(同174PS/同209N・m)よりもスペックが抑えられている。
パワーユニットは最高出力170PS、最大トルク202N・mを発生する2リッター直4自然吸気のダイナミックフォースエンジン。「RAV4」と「ハリアー」(同171PS/同207N・m)、「レクサスUX」(同174PS/同209N・m)よりもスペックが抑えられている。
メーターパネルはオプティトロン3眼メーターと7インチのマルチインフォメーションディスプレイで構成される。写真のようにディスプレイには3連計器盤風の情報表示ができる。
メーターパネルはオプティトロン3眼メーターと7インチのマルチインフォメーションディスプレイで構成される。写真のようにディスプレイには3連計器盤風の情報表示ができる。
後席使用時のラゲッジスペースの容量は329リッター。側面に張り出しがなく、四角いスペースとして使えるのがうれしい。
後席使用時のラゲッジスペースの容量は329リッター。側面に張り出しがなく、四角いスペースとして使えるのがうれしい。
後席の背もたれをすべて倒すと、ラゲッジスペースの容量を802リッターにまで拡大できる。フラットな床面はさすがトヨタの実用車だ。
後席の背もたれをすべて倒すと、ラゲッジスペースの容量を802リッターにまで拡大できる。フラットな床面はさすがトヨタの実用車だ。
さて、トヨタのダイナミックフォース2リッターは、このクルマより250kg前後も重いRAV4(の4WD)をも活発に走らせるエンジンだけに、カローラでは掛け値なしにパワフルというほかない。このトヨタ最新の高熱効率エンジンは、自然吸気らしからぬ太い中低速トルクと瞬発力のあるレスポンスが売りで、発進用ギアをもつダイレクトシフトCVTも、走行モードを問わずに積極的な制御をする。あらゆる回転域で活発、かつスロットルオフでのリニアな減速感も好印象で、総合的にとても扱いやすくて、単純に気持ちいいパワートレインだ。

コンソールにはドライブモードセレクターが備わるが、可変ダンパーは備わらず、エンジンも自然吸気である。だから「スポーツモード」にしても、スロットルがわずかに“早開け”になる感はあるが、豹変するわけではない。シフトレバーをマニュアル側に倒すと10段変速となり、そうするとさすがに、エンジン反応や変速にスポーツモード特有のキレを明確に体感できるようになる。ただ、トップの10速は車速が110km/h前後にならないと受け付けてもらえないほどハイギアードな設定なので、今現在の日本では、原則的に一部高速の特別制限速度区間専用ということになりそうだ。

また、昨今のトヨタ(の純エンジン車)の例にもれず、2000リミテッドにもアイドリングストップは備わらない。新しいWLTCモードではアイドリングストップによる燃費改善効果も限定的だそうだし、それによるわずかな省エネ&CO2排出量低減効果と、振動騒音の悪化やバッテリー寿命の短縮を天秤にかけると、デメリットのほうが大きいとの判断だろう。この点は賛否両論があろうが、私もトヨタの態度に賛成である。

パワーユニットは最高出力170PS、最大トルク202N・mを発生する2リッター直4自然吸気のダイナミックフォースエンジン。「RAV4」と「ハリアー」(同171PS/同207N・m)、「レクサスUX」(同174PS/同209N・m)よりもスペックが抑えられている。
パワーユニットは最高出力170PS、最大トルク202N・mを発生する2リッター直4自然吸気のダイナミックフォースエンジン。「RAV4」と「ハリアー」(同171PS/同207N・m)、「レクサスUX」(同174PS/同209N・m)よりもスペックが抑えられている。
メーターパネルはオプティトロン3眼メーターと7インチのマルチインフォメーションディスプレイで構成される。写真のようにディスプレイには3連計器盤風の情報表示ができる。
メーターパネルはオプティトロン3眼メーターと7インチのマルチインフォメーションディスプレイで構成される。写真のようにディスプレイには3連計器盤風の情報表示ができる。
後席使用時のラゲッジスペースの容量は329リッター。側面に張り出しがなく、四角いスペースとして使えるのがうれしい。
後席使用時のラゲッジスペースの容量は329リッター。側面に張り出しがなく、四角いスペースとして使えるのがうれしい。
後席の背もたれをすべて倒すと、ラゲッジスペースの容量を802リッターにまで拡大できる。フラットな床面はさすがトヨタの実用車だ。
後席の背もたれをすべて倒すと、ラゲッジスペースの容量を802リッターにまで拡大できる。フラットな床面はさすがトヨタの実用車だ。

濁点多めのエキゾーストノート

WLTCモードの燃費値は16.6km/リッター。ハイブリッドモデルには遠く及ばないものの、1.8リッターモデル(14.8km/リッター)と1.2リッターターボモデル(15.8km/リッター)を抑えている。
WLTCモードの燃費値は16.6km/リッター。ハイブリッドモデルには遠く及ばないものの、1.8リッターモデル(14.8km/リッター)と1.2リッターターボモデル(15.8km/リッター)を抑えている。
フロントフード下に収まる2リッターダイナミックフォースエンジン。エンジンカバーが備わらないところが「RAV4」や「ハリアー」、そして「レクサスUX」との車格の差かもしれない。
フロントフード下に収まる2リッターダイナミックフォースエンジン。エンジンカバーが備わらないところが「RAV4」や「ハリアー」、そして「レクサスUX」との車格の差かもしれない。
トランスミッションは発進用のギアと10段の疑似有段変速機能を備えたダイレクトシフトCVTを採用。ステアリングポストにはシフトパドルも装備する。
トランスミッションは発進用のギアと10段の疑似有段変速機能を備えたダイレクトシフトCVTを採用。ステアリングポストにはシフトパドルも装備する。
切削加工+ブラック塗装の17インチアルミホイールを装備。タイヤはブリヂストンの「トランザT002」を履いていた。
切削加工+ブラック塗装の17インチアルミホイールを装備。タイヤはブリヂストンの「トランザT002」を履いていた。
最近は新型車の大半がハイブリッドかターボエンジンということもあって、このように車体に対して大きめの自然吸気エンジンによる走りは、逆に新鮮ですらある。そして素直に心地よい。同じカローラでも市街地での加減速ではハイブリッドにパンチを感じるケースは多いものの、1.2ターボや1.8リッターよりは明らかにパワフルだ。そして、スロットル開度が大きくなって、エンジンの地力を試すような高速での伸びは1.2ターボを明確に上回り、さすが2リッターの器量をうかがわせる。

低速から力強いフラットなトルク特性はいかにも最新エンジンらしい。それでも、3000rpmくらいからトルクが積み増されながら、5000rpmでさらに元気がよくなり、リミットの6500rpmまできれいに回りきる起承転結は自然吸気ならでは。どちらかというとガービー系(?)のエンジン音はお世辞にも美声とはいえない。ただ、思い返してみれば、こういう濁点多めサウンドはトヨタスポーツエンジンの伝統でもあり、「3S-Gもこんなだったっけ……」と中高年は郷愁にひたる。

今回の試乗車の車検証記載の重量は1370kgだった。カローラ ツーリングW×Bのハイブリッドと比較すると20kg軽いだけで、1.8リッター(CVT)比で40kg、1.2ターボ(6段MT)比で50kg重い。つまり2リッターは意外と重いのだが、それはこの2リッターがひとつ上の2.5リッターと同系列の基本設計だからだろう。なので、カローラのような「GA-C」プラットフォーム車にはよくも悪くも贅沢なエンジンであり、本来はひとつ上の「GA-K」プラットフォームでちょうどバランスするエンジンっぽい。

WLTCモードの燃費値は16.6km/リッター。ハイブリッドモデルには遠く及ばないものの、1.8リッターモデル(14.8km/リッター)と1.2リッターターボモデル(15.8km/リッター)を抑えている。
WLTCモードの燃費値は16.6km/リッター。ハイブリッドモデルには遠く及ばないものの、1.8リッターモデル(14.8km/リッター)と1.2リッターターボモデル(15.8km/リッター)を抑えている。
フロントフード下に収まる2リッターダイナミックフォースエンジン。エンジンカバーが備わらないところが「RAV4」や「ハリアー」、そして「レクサスUX」との車格の差かもしれない。
フロントフード下に収まる2リッターダイナミックフォースエンジン。エンジンカバーが備わらないところが「RAV4」や「ハリアー」、そして「レクサスUX」との車格の差かもしれない。
トランスミッションは発進用のギアと10段の疑似有段変速機能を備えたダイレクトシフトCVTを採用。ステアリングポストにはシフトパドルも装備する。
トランスミッションは発進用のギアと10段の疑似有段変速機能を備えたダイレクトシフトCVTを採用。ステアリングポストにはシフトパドルも装備する。
切削加工+ブラック塗装の17インチアルミホイールを装備。タイヤはブリヂストンの「トランザT002」を履いていた。
切削加工+ブラック塗装の17インチアルミホイールを装備。タイヤはブリヂストンの「トランザT002」を履いていた。

浮かんだのは「足のいいやつ」

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式でリアがダブルウイッシュボーン式。現行の「カローラ」シリーズで減衰力可変ダンパーを選べるのは「カローラ スポーツ」のみとなっている。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式でリアがダブルウイッシュボーン式。現行の「カローラ」シリーズで減衰力可変ダンパーを選べるのは「カローラ スポーツ」のみとなっている。
シルバーメタリック塗装のルーフレールが標準装備される。
シルバーメタリック塗装のルーフレールが標準装備される。
厚みのないドアハンドルは全幅を抑えた“ニッポンのカローラ”ならではの装備だ。
厚みのないドアハンドルは全幅を抑えた“ニッポンのカローラ”ならではの装備だ。
“2000リミテッド”の追加販売の予定はないということだが、筆者は第2弾がきっとあるとにらんでいる。
“2000リミテッド”の追加販売の予定はないということだが、筆者は第2弾がきっとあるとにらんでいる。
ただ、実際の乗り味は、数値以上に軽快だ。それにしても、このGA-Cプラットフォームが初めて世に出た4年半前の「プリウス」発売時はもちろん、半年前のカローラ ツーリング発売時より、シャシーにさらなる熟成感が出ているのは、率直に評価すべきと思う。

高速ではわずかに上下動が出るが、それでも濃厚な接地感とフワピタ系の快適な乗り心地の両立は、お世辞ぬきでいい感じである。動き出しからスルッと滑らかにストロークするアシはけっして硬くないのだが、無駄な動きが本当に少ない。中高年の私の脳裏には思わず「足のいいやつ」なんて名キャッチフレーズが浮かんでしまったが、これはカローラではなく、初代から4代目(1970~1988年)の「カリーナ」に使われたものだった。

さらに、ダイナミックフォース2リッター+ダイレクトシフトCVTの組み合わせは、その反応は加速と減速の両側ともリニアに反応して、右足のわずかな操作でもきっちりと荷重移動してくれるのがいい。そういえば、このシャシーの熟成感について、今回は具体的にどこが変わったかを調べることができなかった。もしかしたらこのパワートレインとのマッチング効果でそう思わされているだけの可能性もある。

いずれにしても、しなやかなのに上屋が動きすぎない……というシャシー特性には、GA-Cならではの低重心パッケージが効いているのは明らかだ。ただ、そのために前席ヒップポイントやルーフまでがあからさまに低いのは、カローラを実用乗用車として見るのなら欠点にもなりえる。いっぽうで、この2000リミテッドをスポーツワゴンとして受け止めるマニア筋には、スポーツカーばりに低くかまえたドラポジも、琴線に触れる美点となるだろう。

こと走りの爽快感だけでいえば、今回の2リッターが、現行カローラでもっとも魅力的に思えたのは事実である。現時点では「追加販売の予定はありません」という2リッターカローラだが、あの瞬殺ぶりを考えると、遠からず第2弾がありそうな気がする。今回買い逃した向きは、中高年ならずともカローラ情報には敏感になっておこう。

(文=佐野弘宗/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式でリアがダブルウイッシュボーン式。現行の「カローラ」シリーズで減衰力可変ダンパーを選べるのは「カローラ スポーツ」のみとなっている。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式でリアがダブルウイッシュボーン式。現行の「カローラ」シリーズで減衰力可変ダンパーを選べるのは「カローラ スポーツ」のみとなっている。
シルバーメタリック塗装のルーフレールが標準装備される。
シルバーメタリック塗装のルーフレールが標準装備される。
厚みのないドアハンドルは全幅を抑えた“ニッポンのカローラ”ならではの装備だ。
厚みのないドアハンドルは全幅を抑えた“ニッポンのカローラ”ならではの装備だ。
“2000リミテッド”の追加販売の予定はないということだが、筆者は第2弾がきっとあるとにらんでいる。
“2000リミテッド”の追加販売の予定はないということだが、筆者は第2弾がきっとあるとにらんでいる。

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