車のバッテリー上がり!対処法・やってはいけないことなど解説

バッテリーが上がってエンジンがかからなくなった経験はありませんか?突然のことだと、どう対処すればよいか焦ってしまいますよね。今回は、バッテリー上がりのサインや原因、復旧のためのつなぎ方など対処法をご紹介。バッテリー上がりの際にやってはいけないこと、その他の原因についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

【チェックリスト】バッテリーが上がりのサイン・症状

バッテリーが上がりのサイン・症状
エンジンがかからない はい いいえ
ライトやウインカーが点かない はい いいえ
ドアを開閉してもルームランプが点かない はい いいえ
車内の電気製品がすべて使用できない はい いいえ
ヒューズは切れていない はい いいえ
同じバッテリーを2年以上使用している はい いいえ

上記がすべて「はい」になる場合は、バッテリー上がりである可能性が高いです。エンジンをかけようとしてもセルモーターが回らない、または、セルモーターの音(カチカチ)だけが聞こえる場合は、バッテリーが上がっている可能性が高いでしょう。

また、ルームランプをドアの開閉に連動にしている場合、正常な状態であればドアを開閉するとルームランプが点灯します。点灯しない場合は、バッテリー上がりを起こしている可能性があります。

なお、ヒューズは、一般的にエンジンルームや運転席の近くにあるヒューズボックス内に入っています。一部の電気製品が使えない場合にはバッテリーが原因ではなく、ヒューズが切れているケースもあります。

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バッテリーが上がった状態とは

バッテリーが上がった状態とは、電気を使用してエンジンをスタートさせるセルモーター(スターターモーター)が起動せず、エンジンがかからなくなった状態です。バッテリーに蓄えられた電力量が減少することで起こります。

バッテリーは通常、車を走行させることでオルタネーター(発電装置)で発電しバッテリーを充電しますが、電力使用量が充電で蓄えられた量を上回ると、バッテリーが上がってしまいます。

エンジンがかからず車が動かない、キーを差してもライトやパワーウィンドウが作動しない場合は、バッテリー上がりと考えられるでしょう。

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バッテリー上がりの原因

  • ヘッドライトの消し忘れ
  • ルームランプが点いたまま放置
  • エアコン等の電気製品の使いすぎ
  • 長期間運転していなかったことによる自然放電
  • ドライブレコーダーの駐車監視機能
  • シガライターからスマホ充電など過剰な電力利用
  • バッテリーの経年劣化

バッテリー上がりの原因でとくに多いのは、車内での電気製品の使いすぎです。ヘッドライトやルームランプを消し忘れたり、半ドアの状態が長かったりするとバッテリーが上がる可能性があります。車の設備だけでなく、シガーソケットに差し込んで使うタイプのドライブレコーダーや、2A以上の大きな電流が流れるスマホ充電器などの使用は特に注意が必要です。

また、使用時以外も少しずつ電気を消費します。長期間運転していないと自然放電でバッテリー内の電力が減少することもあるため、定期的に車を走行させて充電しましょう。

さらに、3年前後使用したバッテリーは劣化し、電力を蓄えにくくなりバッテリー上がりを起こしやすくなります。劣化は避けられない問題ですので、定期的な点検と交換を行いましょう。

バッテリー上がりの防止策はこちら

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バッテリー上がりの対処法

バッテリー上がりは、しばらく待っても自然回復することはありません。そのため、何かしらの対処が必要です。バッテリーが上がってしまった場合の対処法についてご紹介します。

ロードサービスを呼ぶ
もっとも安全で確実な方法は、ロードサービスを呼ぶことです。自分でバッテリー上がりを対処するには専用の用品が必要であり、危険をともなう作業でもあるため対処方法について理解する必要もあります。そのため、不安だったり慣れていない場合は、現場まで駆けつけてくれるロードサービスを呼ぶのが安心です。

加入している自動車保険によっては、無料でロードサービスを呼ぶことも可能。交通状況や気象状況、場所にもよりますが、おおよそ1時間以内に駆けつけてくれます。もしものときに備え、普段からロードサービスの連絡先をメモしておきましょう。

ジャンピングスタートをおこなう
ジャンピングスタートは、ほかの車から電力をもらってエンジンを始動させる対処方法です。ほかの車(救援車)とバッテリーが上がった車を、「ブースターケーブル」という赤黒2本の専用コードでつないで対応します。

ジャンピングスタートは、救援車がいれば自力でできる方法ですが、正しいやり方の知識と専用の用品が必要です。なお、ジャンピングスタートの詳しいやり方は後述しています。

【応急処置】ジャンピングスタートの手順はこちら

ジャンプスターターを使用する
ジャンプスターターは、救援車がいなくても自力で復旧できる、エンジン始動に対応した小型バッテリーです。価格は数千円~1万円程度ですので、万が一に備えて常備しておくと安心でしょう。

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【応急処置】ジャンピングスタートの手順

用意するもの
救援車・ブースターケーブル2本(赤・黒)
  1. ケーブルに異常がないか調べる
  2. バッテリー上がりを起こしている車と救援車の正面を向かい合わせに近づけてエンジンを停止する
  3. 両方の車のボンネットを開ける
  4. バッテリー上がりの車のプラス端子に赤のケーブルをつなぐ
  5. 救援車のプラス端子に赤のケーブルをつなぐ
  6. 救援車のマイナス端子に黒のケーブルをつなぐ
  7. バッテリー上がりの車のマイナス(端子ではなくエンジンなどの金属部分)に黒のケーブルをつなぐ
  8. 救援車のエンジンをかける
  9. 救援車がAT車ならP(パーキング)、MT車ならN(ニュートラル)に入れて、必ずサイドブレーキをかける
  10. 救援車アクセルを踏んで回転を高めに保ち、充電されるのを待つ
  11. バッテリー上がりの車のスターターを回してエンジンをかける
  12. 上記でエンジンがかかったら、つなぐのとは逆の順番でケーブルを外す

上記の手順に沿ってジャンピングスタートを行うことで、エンジンを始動できます。行う際は、ケーブルに異常がないか、端子につなぐ順番に間違いがないかなどを入念に確認しましょう。

ただし、ジャンピングスタートはあくまでもバッテリーが上がったときの応急措置です。バッテリーの経年劣化や破損が原因の場合、一度復旧できても、エンジンを止めると再始動できないこともあります。同じバッテリーを長く使用している場合は、早めに自動車販売店などでバッテリーの診断を受け、必要に応じて交換しましょう。

なお、ジャンピングスタートを行う際は故障や感電の危険性も伴いますので、不安な方はロードサービスを利用するのがおすすめです。

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バッテリー上がった際にやってはいけないこと

バッテリーが上がった際に、どう対処してよいかわからず慌ててしまうこともあるかもしれません。バッテリーが上がってしまったときに、やってはいけないことをご紹介します。

長時間放置する
バッテリー上がりを起こしたら、自然回復することはありません。長時間放置してしまうと、直るどころか自然放電が進んでさらに電圧が低下してしまいます。さらに状況が進み完全放電してしまうとバッテリーは充電できなくなってしまうケースもあり、交換が必要になりますので、長時間放置しないようにしましょう。

繰り返しエンジンをかけようとする
数回エンジンをかけてようとしても、カチカチ音がしたり、何も反応が無い場合は、無理に試さず原因を探しましょう。

セルモーターは、エンジンの動作時に多くの電力を消費するものです。バッテリーが上がっているにも関わらず何度もエンジンをかけようとすると、都度セルモーターが作動しバッテリー容量が減少してしまいます。

バッテリーは、一定の電圧まで下がってしまうと、新品でも急激に劣化が進んで交換が必要になることも。無理にエンジンをかけようとするのは控えましょう。

自己判断で直そうと試みる
車の知識がない状態で、無理に自力で直そうとすると、感電する危険があります。ジャンピングスタートを行なって自分で復旧させることも可能ですが、配線をつなぐ場所や手順を間違えると、車の故障を招く可能性も。

バッテリーを復旧させるための正しい対処方法が分からない場合は、ロードサービスを呼びプロに任せましょう。

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バッテリー上がり以外でエンジンがかからないケース

バッテリー上がり以外の原因で、車のエンジンがかからないことも。起こりうるそれぞれのケースについて詳しくご紹介します。

バッテリーの寿命が尽きた

バッテリーの寿命はおよそ2~3年です。バッテリーの寿命が近づくと、次のような症状があらわれます。

  • エンジン始動時のセルモーターの回転が弱い
  • パワーウィンドウの動きが遅い
  • エンジン回転数によりルームランプやライトの明るさが異なる
  • バッテリー液の量が減りやすい
  • バッテリーの本体が膨らんでいる など

夜間の走行が多い、長い距離を走らないなどの場合は、寿命が短くなる傾向にあります。バッテリーは新品であっても、繰り返しバッテリー上がりを起こすと消耗が早くなるので注意しましょう。

対処法

  • 新しいバッテリーに交換する

各部品が故障している

以下に挙げたような車の各部品が故障している場合も、エンジンはかかりません。

  • セルモーター
  • オルタネーター(充電されていないため)
  • 燃料ポンプ
  • スパークプラグなど(点火系統)
  • スマートキー

上記に加え、漏電や過電流を防ぐヒューズが切れている場合もエンジンはかかりません。部品の故障によってエンジンがかからない場合は、その部分の交換や修理が必要です。

対処法

  • 原因となる部品の交換、修理

ガス欠を起こしている

燃料が入っていない場合、エンジンはかかりません。ガス欠が原因の場合、バッテリーは生きているため電気は使えます。よって、車内の電気は使えるにもかかわらず、エンジンがかからないというときはガス欠の可能性が高いでしょう。

燃料メーターで満タンを指していても、燃料メーター自体や燃料タンク内のセンサーが壊れているケースもあるため、注意が必要です。

対処法

  • 燃料を入れる
  • 燃料メーターや燃料センサーを修理する

シフトレバーがPに入っていない

車は、シフトレバーがP(パーキング)に入っていないと、エンジンがかからない仕組みになっています。バッテリーに問題がない場合でも、セルメーターが動かずにエンジンがかからなければ、正常にシフトレバーがパーキングに入っているか確認してみましょう。

ブレーキをしっかりと踏み直し、シフトレバーをPにしてからエンジンをかけると、正常に作動することもあります。

対処法

  • シフトレバーをPに入れる
  • ブレーキを踏み直してエンジンをかける

ハンドルロックがかかっている

ハンドルロック(ステアリングロック)とは、盗難防止装置のこと。近年の多くの車は、エンジンを切ったあとにハンドルを動かすと、ロックがかかる仕様になっています。

鍵を回す、またはエンジンスイッチを押しても反応がなく、ハンドルを左右に回そうとしても操作ができない場合は、ハンドルロックがかかっている可能性があるでしょう。

下記の手順でハンドルロックを解除すれば、正常にエンジンをかけられます。

対処法

  1. シフトレバーをPに入れる
  2. ハンドルを左右どちらかに回したままキーを回す(エンジンスイッチを押す)

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バッテリー上がりの対応にかかる相場

バッテリーが上がったときの各種対応にかかる費用相場について、サービス先ごとにご紹介します。

一般的なロードサービス
JAFを代表とする民間のロードサービスは、多くの場合会員制を採用しています。一定額の年会費を支払うことで、バッテリー上がりなど軽微なトラブルであれば無償で救援してもらえます。

金額は各サービスにより異なりますが、JAFの場合は下記のとおりです。

個人会員(1年) 6,000円
家族会員(1年) 2,000円

※入会金・年会費の合計

会員でない場合もロードサービスで対応してもらえますが、トラブルの程度に応じて都度費用がかかるため注意しましょう。

自動車保険についているロードサービス
加入している自動車保険によっては、ロードサービスが特約として付帯しているケースもあります。バッテリー上がりをはじめとして、軽微なトラブルは無償で救援してもらえることが多いでしょう。

ただし、サービスによっては、高速道路料金や部品代など実費が発生した場合には、その分を請求されることもあります。救援の費用や使用できる回数などに上限が設けられていることもあるため、サービスの範囲について確認しておくのがおすすめです。

カー用品店
カー用品店が提供しているロードサービスを使用するのもよいでしょう。サービスごとに多少違いはありますが、多くの場合、民間のロードサービスと同様のトラブルに対応してもらえます。年会費も年間数千円程度のものが多いです。

バッテリー上がりについてよくあるQ&A

バッテリー上がりに関するよくあるQ&Aをまとめました。防止策や直ったあとの対応などをしっかり押さえておきましょう。

Q.バッテリー上がりは自然回復する?

A.自然回復はしないため、適切な対処が必要です。

バッテリー上がりは、しばらく待っても自然回復することはほとんどありません。反対に、長期間放置することで放電が進み、バッテリー容量が減ってしまう可能性があります。

バッテリー上がりは放置せず、適切かつ早めに対処しましょう。

バッテリー上がりの対処法はこちら

Q.バッテリー上がりの防止策は?

A.①定期的な走行 ②バッテリーの点検・交換 ③車内の電気製品の使いすぎに注意 の3点を心がけましょう。

①定期的な走行
定期的な走行やアイドリングを行うことでバッテリーが充電されるため、バッテリー上がりを防止できます。5〜10分ほどの短時間の走行ではなく、1週間に1度、1回あたり20〜30分ほどとある程度長い時間の走行を心がけましょう。

②バッテリーの点検・交換
バッテリーの寿命はおよそ2〜3年であるため、バッテリーの点検を適切に行うことが重要です。点検では、次のような点を確認しましょう。

【点検のポイント】

  • バッテリー液の量は最高液面線〜最低液面線の間で充足しているか
  • バッテリー本体に膨らみや割れ、ヒビなどがないか
  • 端子や金具に腐食・緩みがないか
  • キャップの通気口に腐食物やゴミが付着していないか

③車内の電気製品の使いすぎに注意
車のライトやエアコン、オーディオなど電気製品の使いすぎは控えましょう。車の設備以外にも、シガーソケットに差し込むタイプのドライブレコーダーや、2A以上の大きな電流が流れるスマホ充電器の使いすぎも要注意です。

Q.バッテリーが上がる前兆の症状は?

A.本体の膨らみやバッテリー液の急な減少、セルモーターの回転の弱さなどがあります。

経年劣化によりバッテリーの本体が膨らんだり、バッテリー液が急に減ったりなど、見た目でわかる前兆がある場合もあります。

また、エンジン始動時のセルモーターの回転が弱いなど、普段との違いにも気づけるとよいでしょう。

Q.バッテリー上がりが直ればもう安心?

A.自動車販売店など専門店でチェックしてもらいましょう。

バッテリー上がりから復旧した場合でも、すぐにエンジンを切ってしまうと、状態によっては再びエンジンがかからなくなることもあります。

バッテリー上がりが直ったからといって安心せず、自動車販売店などの専門店でバッテリーチェッカーでバッテリー状態を診断してもらいましょう。バッテリーが寿命の場合は、交換も必要です。

Q.ハイブリットカーのバッテリーが上がったら?

A.ロードサービスに依頼しましょう。

ハイブリッドカーもガソリン車と同様、ロードサービスに依頼するのが賢明です。ジャンピングスタートはできますが、ガソリン車と比べるとケーブルを接続する位置が特殊です。知識がない場合には、無理せずロードサービスへ連絡しましょう。

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ハイブリッド車でも「バッテリーあがり」は起こる?

バッテリー上がりでも、あわてずに適切に対処しよう

バッテリー上がりは、ヘッドライトの消し忘れ、電気製品の使いすぎ、バッテリーの経年劣化などさまざまな原因で起こります。バッテリーが上がってしまったときは、焦らずロードサービスを呼ぶことが一番おすすめですが、ジャンピングスタートで対処することもできます。必ず正しい手順で行うことを心がけてください。

また、バッテリー上がり以外の原因でエンジンがかからないケースもありますので、自動車販売店など専門スタッフにしっかりと診断しもらうと安心です。

ご紹介したバッテリー上がりの原因や対処法を参考に、万が一の際も落ち着いて適切な対応を行いましょう。

(GAZOO編集部)