タイヤ選びで走りの楽しさが変わる!! 純正以外のタイヤを履く意味と理由とは

  • タイヤ選びで走りの楽しさが変わる!! 純正以外のタイヤを履く意味と理由とは

カスタマイズに合わせてタイヤのチューニングも重要な要素。サイズや太さはもちろん、コンセプトの異なるタイヤを選ぶことで、乗り心地も走りも大きく変わるのがタイヤ。その変化の大きさも魅力のひとつだ。

今回はタイヤを交換する際の注意すべきことやスポーツタイヤの特徴をお届けしていこう。

タイヤはクルマ全体の味付けの一部

タイヤは路面と接している唯一のパーツ。多くのクルマではサスペンションなどクルマ全体の味付けの中に、タイヤも含まれている。車種専用の味付けをしたタイヤが使われていることもある。
純正タイヤに純正サスペンションであれば、その状態でバランスが取れているもの。

しかし、そこでホイールを変えるだけでもバランスは崩れてくるし、ホイールの重さが変わるだけでもハンドリングは変わる。

リム幅を太くして純正タイヤを組み合わせれば、いわゆる「引っ張りタイヤ」状態になり、これでも大きくハンドリングは変わってくるし、タイヤの本来の性能をスポイルするだけでおすすめできない。

インチアップをして16インチホイールを17インチにすればもちろん純正タイヤは履けない。そこでタイヤ交換となる。そんなときはどんなタイヤを選ぶかが重要。

タイヤ外径を誤差範囲に合わせるのは必須

  • BRIDGESTONE RE71 RS

まずタイヤサイズ。基本的に純正タイヤに外径を合わせる必要がある。これは外径が大きく変わるとスピードメーターに誤差が生まれて違法状態になってしまう。

外径が大きくなるとタイヤがフェンダーやタイヤハウス内に接触してしまうこともある。とくに車高を下げると当たりやすくなるため気をつける必要がある。
逆に外径が小さくなると車高が下がるので、ハンドリングも変わる。最低地上高が足りなくなってしまう車種もある。

カスタマイズ時には純正タイヤからはインチアップすることが多い。そうなると扁平率を下げたサイズを装着することになる。例えばノーマルが205/55R16(外径630mm)だったとしたら、ホイールをちょっと太くしてタイヤも太くして215/45R17(外径626mm)あたりにするのが定番。外径の誤差も数ミリなので大きな問題は起きない。
一般的に外径誤差の許容範囲は、マイナス3%、プラス2%といわれている。

扁平率が変わるとハンドリングは大幅に変わる

ここで大きな影響が出るのが扁平率。タイヤの幅とサイドウォールの高さの比率のこと。扁平率の数字が大きいほどサイドウォールが高くなるので、クッション性が高くなる。良く言えば乗り心地が良くなる。悪く言えばフラフラしやすい。

扁平率が下がるとサイドウォールが低くなり、やや乗り心地は硬くなるがハンドリングはシャープになる。スポーツカーであれば、より切れ味あるハンドリングなる。

扁平率が高い方が快適性は高い傾向にあるが、例えばサスペンションは車高調に変えていてたりすると、タイヤだけがフワフワとして不安定に感じやすい。そういった場合はある程度扁平率を下げたほうがバランスが良かったりする。必ずしも扁平率が高い方が良いとも限らないのだ。

スポーツタイヤは剛性が高く硬いがハンドリングが良い

  • DUNLOP DIREZZA β02

サイズ以外にもフィーリングが変わるのがタイヤの銘柄だ。コンフォート系やエコタイヤは基本的に剛性が低く柔らかい。乗り心地はソフトだがフラフラとしやすい。
そこでスポーツタイヤの出番となる。スポーツタイヤは高い速度からのブレーキやコーナリングを考えて作っているので、基本的に剛性が高い。乗り心地はややハードになる傾向にある。

しかし、そういったデメリットを補完するほどのハンドリング性能がある。具体的にはステアリングを切り始めてからクルマが曲がり始めるまでの時間が短い。剛性が高いのでタイヤが大きく潰れず、クルマの向きが変わり始める。

クルマはこの操作してからのタイムラグをいかになくしていくかが重要。ステアリングを左右に切っても大きく遊びがあったらクルマは不安定に感じる。ブレーキを踏んでもなかなか効かなかったらそれは恐怖に感じる。

レーシングカーは素早く操作に反応してくれるからこそ、思い切って限界ギリギリの速度で走ることができるのだ。
そのためにレーシングカーでサスペンションを引き締めたり、足回りのゴムブッシュをピロボールというゴムのように潰れる「逃げ」が無いものにするのも、全ては操作に対してのタイムラグを縮めるためなのだ。

タイヤは適切な剛性があれば、この「操作からの応答遅れ」を極めて短くすることができる。その費用対効果でもっとも優れているのがタイヤの交換なのだ。だからこそ、ハンドリングを重視するなら、サーキット走行でなくてもスポーツ系のタイヤを履くメリットは十分にある。

サーキットで練習するならタイヤは何でもいいはウソ!!

  • BRIDGESTONE POTENZA RE09-D
  • シバタイヤ

サーキットでスポーツ走行を楽しむ人にはスポーツタイヤが多いが、そうでない人もいる。「練習なのでエコタイヤを履いている」という人もいる。「グリップの低いタイヤのほうが練習になる」という考えの人もいる。

だが、オススメはできない。サーキットでは高いグリップの路面で強い荷重が掛かってコーナリングするので、タイヤが傷みやすい。エコタイヤやコンフォートタイヤ系だと摩耗する前に、表面のゴムがちぎれてしまうことが多い。あっという間にタイヤはツルツルになってしまう。

対するスポーツタイヤは余程のハイパワー車で無い限り、普通にサーキット走行を楽しむなら20分の走行を1日に3回するとして、10回や20回のサーキット走行は可能。それ以上に走行を楽しんでいる人も多い。

エコタイヤ系ではサーキット走行1回で深刻なダメージを受けてしまい、結局高くつくことも多い。自走で帰れなくなるなんてこともあるから注意したい。

また、ローグリップなタイヤはタイヤがスリップしだすとなかなか止まらない。スピンして止まらないままクラッシュしてしまうこともある。そういったリスクを考えるとグリップの低いタイヤで練習するのもあまりオススメできることではない。

  • ` ADVAN FLEVA V701

最近ではスポーツ走行まで対応できるが、乗り心地もロードノイズも抑えられたカテゴリーのタイヤも増えている。サーキットでの絶対的なタイムはスポーツタイヤには及ばないものの、異常摩耗を起こしにくくグリップを失った際の回復も見込めるグリップがあり、それでいて普段使いの性能は高い。街乗りメインの使い方なら、そういったプレミアムなモデルを選ぶのも手だ。

(文:加茂新 写真:宮越孝政、平野陽、土屋勇人、岩島浩樹、西野キヨシ)