ハンドリングをグレードアップ!! 補強パーツでもっと良いクルマに仕立てる
ボディを補強するパーツは人気のあるチューニングのひとつ。手軽にリーズナブルに取り付けられるわりに意外と高い効果を発揮することも。
今回は補強パーツがどんな部位に対してどう効くのかについて説明していこう。
ボディ剛性が走りに対して重要なことは、新型車がデビューするたびに「ボディ剛性●●●%アップ」などとうたっていることからもわかる。
だが、ボディ剛性を高めるべく鉄板を多く使用すれば、それは車重が増え燃費の悪化にもつながる。ボディを強めながらも軽く仕上げなければならない。
そこで最近のクルマでは随所に高張力鋼板などが使われ、軽くても強いボディを目指している。
補強のチューニングは大まかに3種類
車両が完成後にユーザー側でできる補強は主に下記の3種類が挙げられる
①スポット増し
ボディを構成する鉄板は、雷のように高圧電流を流すことで内部を溶かしてくっつけられている。これはスポット溶接と呼ばれるもので、自動車の製造において多用されている。
そして、ドア周りやフロントガラスの周囲などもともとのスポット溶接の間に、さらにスポット溶接をすることを「スポット増し」と言う。これを行うことでクルマは重くならずにボディ剛性を高めることができる。
しかし、施工は結構大掛かりになる、出費も数十万円。溶接箇所は予め電気が流れるように塗装をはぎ、スポット溶接後に再度サビ止めと塗装などをしなければならずコストが高くなってしまう。
②ロールバー取り付け
次に、レーシングカーのようなロールバーを車内に張り巡らせる方法がある。
ロールバーの取り付けはナンバー付き車両の場合、フロアに開けた穴にねじ止めするのが一般的。こうなるとクラッシュ時にドライバーの生存スペース確保には効果的だが、実はボディ剛性アップにはあまり効果がない。
レーシングカーではフロアやピラーなどに溶接止めされるので剛性アップも期待できるが、ここまでやるとストリートカーとして使うのはかなり厳しくなってくる。
③補強パーツ取り付け
タワーバーなどねじ止めすることができる補強パーツを取り付けるのがこの方法。代表的なものはエンジンルームのタワーバーだが、そのほかにもフロアに取り付けるものなど各種がリリースされている。
手軽に取り付けられて価格も数万円から購入できるのだが、デメリットとしては追加で取り付けるものなので重量増は避けられない。少しでも重さを増やさないためにスチール製ではなくアルミ製の補強パーツなども存在している。
手軽に施工可能な補強パーツによる効果は?
おおまかに分けるとボディ補強は上記の3種類となるが、ユーザーが手軽に施工できるものとしては③の補強パーツ取り付けとなるのだ。では、どんなパーツがどんな効果を発揮するのだろうか。
体感しやすいのはフロアのステアリングまわりの補強。ステアリングを切るとステアリングラックがタイヤを左右に動かす。このときにステアリングラックは左右に動こうとするし、ステアリングラックが取り付けられているサブフレームも動こうとする。
そこでステアリングラックの取り付け部や、サブフレームとボディの取り付けを強化するパーツなどが比較的効果を感じやすい。ステアリングがグッと重くなったり、直進安定性が上がったりする。
実際にこれは自動車メーカー側としてもその効果を認識していると思われる。
先代86では、ベース車ではステアリングラックの固定ボルトがボルトのみだったが、86GRMNで長くなってボルト&ナットという仕様に変更となっている。
ほかにもハッチバック車の左右のピラーをつなぐバーも開口部が広いために効果が高いと言われている。
定番のエンジンルームのタワーバーもストラットタワーの左右をつなぐのである程度の効果が期待できる。ブレーキング時の安定感がアップする効果が高い。
スバルのカスタマイズブランドSTIでは、スプリングを使ったドロースティフナーをリリースしている。
こちらはサブフレームとボディの間を補強するのではなく、強力なスプリングで引っ張る機構。それによって予めサブフレームをガタが出にくいようにテンションを掛けておいて、入力が入ったときにサブフレームがグニャグニャと動かないようにしている。
補強するだけでなく、「遊び」をなくすという方向のパーツなのだ。
TRDからトヨタ車向けに発売されているパフォーマンスダンパーは、路面からの微振動を吸収することで乗り心地を改善するパーツ。
ヤマハ発動機の登録商標で各メーカーごとに異なる発売元から売られているが、いずれもボディの振動を吸収するダンパーが特徴。こういったボディを固めるのではなく、吸収する系の補強パーツも増えているのだ。
補強はボディを硬くすればいいわけではない
だが、補強パーツを取り付けていけばどんどん良くなるかというと、そうとも限らないのが難しいところ。昔からレースでは路面が滑りやすくなる雨の日は、タワーバーを外したほうがボディが適度にしなって曲がりやすくなると言われる。
必ずしもボディが硬ければ硬いほうが良いわけではないのだ。ある程度ボディのしなりや衝撃吸収効果なども必要なので、つけると必ず良くなるとも限らないのだ。
マイカーを仕上げていくなら少しずつ補強パーツをプラスして、その変化を感じていくのがオススメ。どこにパーツを足したらどんな挙動になるのかをイメージしながら、セルフプロデュースして仕上げていくのだ。
また、プロショップや補強パーツメーカーでは、どんな組み合わせで装着するとどうなるかをノウハウとして持っているところも多い。そういったところで施工していくと、効果を感じやすいだろう。
(文:加茂新 写真:宮越孝政、岩島浩樹、TOYOTA、SUBARU、TRD)
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