ウルフ・カウンタックの「ボディコーティング」施工現場に潜入!
ある日、「明日、ウルフ・カウンタックにボディコーティングするんだけど見にくる?」とお誘いがありました。カウンタック、しかも“ウルフ”と聞けば、元スーパーカー少年としては聞き捨てなりません。そこで、せっかくの機会なので、プロの手によるボディコーティングの手法やこだわりを取材させていただきました。
いざコーティング……の前に、ウルフ・カウンタックのエピソードを
ウルフ・カウンタックは、当時のスーパーカー少年の間ではよく知られた存在です。簡単に言うと、カウンタックLP400のパフォーマンスにご不満だった、F1チームオーナーでもある石油王、ウォルター・ウルフが特別に作らせたもので、3台しかないと言われています。今回、コーティングを施したランボルギーニ「ウルフ・カウンタック」はその1号車で、映画『蘇る金狼』で松田優作氏が運転したこともあるとのこと。それがこちらです。
なぜ、こんな古めかしい写真なのかと言いますと、今回取材したカウンタックがこの写真の個体そのものだということがわかったから。この写真は、スーパーカーブーム真っ只中の1970年代後半、「近鉄あやめ池遊園地」で行われたスーパーカーショーで筆者が撮影したもの。およそ40年の時を経ての、思わぬ再会となったのです。「大人になったらぜったい買うんだ」と思いながらシャッターを切った思い出が蘇りました。
新車でも3日。カウンタックは2週間。手間と時間をかけるこだわり
それでは本題、コーティングへ。今回、このウルフ・カウンタックにボディコーティングを行うのは、「JEEP CAFÉ TOKYO」の代表、和田裕之さん。「JEEP CAFÉ TOKYO」は、ちょっと変わったクルマの中古車販売を行っている自動車販売業者ですが、代表自らが行うボディコーティングも人気で、口コミで珍しいクルマが続々と入庫しています。
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- 主な道具。磨き用のポリッシャーと2種類のバフ、そしてナノメタルコーティングハイブリッド
工程は「洗車→磨き→コーティング」と、一般的なコーティング屋さんも同じようなものですが、ここはステップごとのこだわりがすごい。今回の古いウルフ・カウンタックを徹底的に仕上げるとあって、下記のような内容で作業を行ったと言います。
(1)洗車
洗車後にモールなどから水がしみ出してくるのでそれを待ち、しっかり拭き取り、自然乾燥させる。
(2)磨き
磨いたあと一晩おいて“エイジング”すると小傷が浮かび上がってくるので、その部分を磨いてさらにエイジング。これを磨き傷がなくなるまで繰り返す。FRPやアルミは、高熱になると塗装割れなどが発生するため、表面の熱具合を手で確かめながら、時間をかけて磨く。
(3)コーティング
コーティングは、一度塗って24時間乾燥させてまた塗って……という作業を3回繰り返して仕上げる。
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- 洗車のあとは磨きで拭き傷を徹底的になくす
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- ナノメタルコーティングを丁寧に塗りこむ。角の仕上げにはコツが要るとのこと
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- 磨く前。光が当たっている部分に小傷が見える
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- 磨いた後。上の写真で見えてきた小傷が消えているのがわかる
今回のウルフ・カウンタックでは、ボディ全体とホイール4本の磨きとコーティング、内装とガラスのコーティングのすべての作業を終えるまでに、2週間もの時間をかけたそう。ただし、新車なら2~3日、一般的なコンディションの中古車場合でも1週間程度。コーティング施工も1回で充分だと言います。
なお、使用するコーティング剤は、「Daiwa ProTech® (ダイワプロテック)」の「ナノメタルコーティング」という製品で、超撥水・超滑水ガラス被膜と帯電防止効果で、日常は水でざっと流すだけでよく、洗剤でごしごし洗うのは御法度だそうです。
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- 壁に貼られた定食屋みたいな価格表。今回のカウンタックのような特別なクルマは「SPECIAL」となり、塗装のコンディションやボディ素材によって処置内容が大幅に異なるため、コンディションを見て相談とのこと
ラリーの現場でギャラリーが驚くコーティングの効果
こうして仕上がるコーティングの効果は、ラリーの現場でも実証されています。取材当日は、レースクイーンでTOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge 2018年東シリーズにトヨタ・アクアで参戦している、クロエリこと黒澤恵里さんが、たまたま自身のクルマのメンテナンスのために来ていたので、お話を聞いてみました。
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- 自身のマシンとクロエリ。なお、ダイワプロテックはクロエリのパーソナルスポンサーのほか、竹岡圭さんの「圭rally project」のスポンサーをしたり、グループでディーラーを経営したりしているクルマ好きな会社だ
「走行が終わってパドックに戻ってきたときに、水をざーっとかけるだけで綺麗になるのでギャラリーが驚きます。また、コーティングをしたあとに、スポンサーさんのステッカーを貼っても競技中で剥がれちゃうんですよ。ゼッケンを貼るためのガムテープも剥がれるほどです」
手間暇かけて仕上げられたコーティングは、なかなかの効果があるようですね。その効果を見がてら応援に行くのもおもしろいかもしれません。40年ぶりのウルフ・カウンタックとの再会に感動すると同時に、「プロの手にかかるとこんなにも違うのか!」と驚くことしきりのコーティング現場取材でした。
(取材・写真・文:大田中秀一 編集:木谷宗義+ノオト)
[ガズー編集部]
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