スズキはジムニー祭り! インドネシア・インターナショナル・オートショー(GIIAS)
2018年8月2日(木)~12日(日)にかけて、インドネシア・ジャカルタ郊外のインターナショナルコンベンションセンター(ICE)にてガイキンド・インドネシア・インターナショナル・オートショー(以下、GIIAS)が開催されました。
ジャカルタでは毎年4月に、ディーラー主体のインドネシア・インターナショナル・モーターショー(IIMS)と、8月に自動車工業会(メーカー)主体のこのGIIASが開催されています。こちらの方がインドネシアのメインモーターショーとの位置づけではあるのですが、残念ながら来場者数ではIIMSの方が多いようで、メーカーとしてもIIMSの方も無視できないという、ややこしい状態になっています。GIIASの方が施設は大きくて立派なのですが、場所が遠くて不便なのが原因です。イメージ的には東京ビッグサイトや幕張メッセに近いかもしれません。
今回は、19の乗用車、6の商用車メーカーをはじめ250の会社の出展があったと発表されています。
沈黙のダイハツ/トヨタグループ
4月のIIMSではスズキが新型エルティガを発表した以外各社新車はなく、トップシェアのダイハツ・トヨタグループも沈黙していました。8月のこちらで何か大きなことをやるためだとの噂がありましたが、ふたを開けてみれば何もなく、ジャーナリスト達も肩すかしを食らったような雰囲気でした。ダイハツ/トヨタは、セニア/アヴァンサというAUV(7人乗りアジアン・ユーティリティー・ビークル)が、ホンダ・モビリオ、続いて三菱エクスパンダーにやられ続けて売り上げが落ちているため、起死回生の一発を見せるに違いないと思われていたことがその背景にありました。
- このクラスの3列7人乗りではトヨタ・アヴァンサ/ダイハツ・セニア、スズキ・エルティガも飲み込み月販8,000台をキープしている三菱唯一の売れるクルマ、エクスパンダー
ワールドプレミアは、わずか2車種
- 乗用車のワールドプレミアは第二世代ホンダ・ブリオ。フィットの弟分のアジア専用車
- 商用車のワールドプレミアはいすゞ・トラガ。誰も見たことがないビソン(三菱L300=古いデリカのOEM)の後継車。強くて男性的なデザインが好きなインドネシアにおいてとっぽくて弱々しい顔をどう評価するか?
ワールドプレミアは、ホンダ・ブリオ、いすゞ・トラガ、の二車、インドネシアプレミアが日産テラ、レクサス・ES、UX、ドイツ御三家から数台という結果に。
また、日系メーカーはツーリングカーレースで活躍するクルマやスポーティーなモデルを前面に出していました。
- そこそこのX-TRAILとセレナ以外売れるクルマがない日産は、量販が期待できるSUV市場にテラをデビューさせた。正面以外にもヘリテイジな展示で世間にブランドを思い出してもらいたいとの思惑が?
- ダイハツはアイラ・ターボを参考出品した。このクルマこそこんな奥ではなく一等地に展示すべき。売る気を感じられない、日本から持ち込んだだけの軽自動車を見せている場合ではない!?
ジムニー祭り状態の日系ブース
そんな中、プレスデイも一般公開日も来場者を釘付けにしていたのは、日本でも納期1年以上と絶好調のスズキ・ジムニー・シエラです。販売予定のない参考展示モデルですが、見る人触る人販売員に質問する人が後を絶たずクルマが見えない状態が続いていました。
近年販売が止まっているジムニーですが、古くからこちらの人々に親しまれています。ジョコウィ大統領の初めてのクルマもジムニーだったそうですが、同じような人がこちらには多いようです。車型も、オリジナルの4×4、4×2ロングホイールベース版、カロセリがオリジナルボディを架装したタイプなどが様々な用途に使われていました。なぜしばらく販売が止まっていたのか不思議なくらいです。
報道関係者からスズキへの質問も、ほぼジムニー一色。他のクルマの質問もして欲しいと司会者はがんばっていましたが、その努力の甲斐なく……それほどジムニーへの注目度は高いのです。客寄せという点では抜群の作戦でしたが、それ以外のクルマに全く目が向かないという皮肉な結末を生んでいました。
ちなみにスズキは、インドネシア拠点が日本、インドに並ぶ第三の柱と位置づけており、インドネシアからの輸出にも積極的です。いっそのこと、インドネシアをジムニー第2の拠点としてじゃんじゃん生産・輸出もすれば地元ユーザー、スズキ、政府“三方一両得”になると思うのですが、いかがでしょうか?
- ジムニーの前は常にこの状態。もはやジムニー以外目に入らず
- 参考出品の福祉車エルティガ・サポート。これは驚いた。インドネシアにこのようなクルマを企画する人がいるなんて
- 一番売りたいエルティガ。スポーツ。しかしこの国の人たちは見かけだけのスポーツ興味はない。向こう側は参考出品の、民族衣装バティック模様のエルティガ。ラッピング代上乗せすれば売るよとセールス氏は言うけど……
<写真でチェック>その他メーカーの動向は?
- インドネシア工場を閉鎖し、上海通用五菱の工場を建てたので売るのもやめるのかと思いきや意外にやる気のシボレーは新型スパークをデビューさせた
- 日本では廃版になったシロッコもここではまだまだ現役。カッコいいから好きな人は多く根強い人気。800万円もするから台数はそんなに多くないけど
- 五菱DFSK(東風)の中国対決は戦いが始まったばかり。後発のDFSKは7年15万キロ保証というとってもチャレンジングな施策で追う。両車とも末永くここにいられるかどうかは、中古車が出回る3年後以降にわかるはず
- マツダは新型6とCX-9を披露。カッコいいとどちらも人気。CX-9も日本にはない日本車の一台。右ハンドル車があるんだから日本でも売ればいいと思うものの5m×2mのサイズでは厳しいか
インドネシアは日本車シェアが世界第2位の国(第1位はパキスタン)で、日本にはない日本車がたくさん走っている国です。日イ国交樹立60周年の今年、日本車がこんなに活躍している世界を見に来てはいかがでしょうか。
(取材・写真・文:大田中秀一 編集:ミノシマタカコ+ノオト)
[ガズー編集部]
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