昔はよく見たクルマの「お正月飾り」を最近見なくなったのはなぜ?

新年を迎えるにあたり門松や松飾り、しめ縄、鏡餅などを自宅に飾った人も多いのではないでしょうか。そこで思い出してみてください。昔はクルマのフロントグリルに「お正月飾り」をつける人もいましたが、最近はめっきり見なくなりましたよね。一体、なぜでしょうか?

理由1:クルマのデザインに合わなくなってきたから

近年のクルマは、丸みを帯びていてスタイリッシュ。フロントグリルもバンパーやヘッドライトを連続した段差のないデザインとなっているため、和風のお正月飾りが似合わなくなってきていると言えます。格子状のフロントグリルを持たないクルマもあり、取り付けるための紐をかける場所がないクルマも。ボンネットを開ける習慣のある人が少なくなったことも、お正月飾りをつけなくなった理由のひとつだと言えそうです。

理由2:クルマに傷がつくから

お正月飾りをクルマのフロントグリルなどにつけるときの無視できない弊害が、「傷」です。モータージャーナリストの工藤貴宏さんによると「フロントグリルなどに装着する際は、しっかりとつけないと、走行風や振動でクルマを傷つけてしまうことがあります。大きな傷にはならなくても、傷を避けるためにつけない人も増えているでしょうね」とのこと。たしかにお正月飾りには、クルマを傷つけやすい素材も使われているため、取り扱いに気を使いそうです。

理由3:クルマが「特別なもの」ではなくなった

交通安全祈祷をしている神社の宮司さんは、「昔はクルマが特別なものだったので、今以上に大事に扱っていました。そのため、クルマにも縁起のいいものをつける習慣がありました」という話を聞きました。そういえば昔は、マイカーに対して「今日は機嫌が悪い」と言ったり修理する際に「工場に連れて行く」と言ったりしたものです。

今のクルマは、エンジンを始動すればすぐにアイドリングも安定しますし、故障することも滅多になくなりました。「クルマの家電化」などと言われますが、誰にでも簡単に扱えるようになったことで、特別感が薄れたのかもしれません。

理由4:生活習慣とお守りの変化

門松を始めとしたお正月の飾りは、29日や31日に飾るのは縁起が悪いため「30日に飾るのが好ましい」とされています。この風習が現在の年末の過ごし方に合わなくなっていることも、クルマのお正月飾りが減った要因のひとつ。また、交通安全系の「お守り」が多くなったことも、理由に挙げられます。最近の神社では、吸盤付きやステッカータイプなど、さまざまなタイプのお守りが用意されるようになりました。初詣のときにお守りを購入して、ガラスなどに付ける人も多く、より気軽なお守りが人気となっています。

正月用に飾りをつけることは減りましたが、お守りを持つ人が今も多いことを考えると、クルマを運転する際に重要な交通安全祈願の意識はそれほど昔と比べて薄れている訳ではないのかもしれません。みなさんはクルマのお正月飾り、つけますか?

(取材・文:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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