70年以上走り続けるトラックがクレープを届ける「calulu truck」<キッチンカー探訪>

1940年代に造られたクラシックトラックでクレープを販売する「calulu truck(カルルトラック)」は、愛媛県を中心に京阪神や広島市などにも出店しています。ブルー系のニュアンスカラーと目が覚める白色。フロントサイドのぽてっとした姿がかわいらしいキッチンカー。クルーの宇高信吾さんがやっとの思いで見つけたクルマはお客さんからも人気が高く、走っているとつい目で追ってしまう存在です。

アメリカから直輸入したフォード「COE」

  • 今治にある「CALULU CAFE」と「calulu truck」

    今治にある「CALULU CAFE」と「calulu truck」

愛媛県今治市内にある「CALULU CAFE」のキッチンカーとして2019年11月から営業を開始した「calulu truck」。「移動できる」という強みが実店舗の広告としても機能しています。

  • フォード「COE」のフロントサイド

    フォード「COE」のフロントサイド

「イベントや人の集まる場所へ移動できる強みを生かして、その場所に合わせたメニューが提供できると思い、『ドキドキ、ワクワクをお届けする』をコンセプトに始めました。私自身も外へ出かけることが好きなので、それもきっかけの一つです」(宇高さん)

  • 宇高信吾さん

    宇高信吾さん

宇高さんが相棒に選んだのは、ピックアップトラックのフォード「COE」(1941年製)。クルマに詳しい会社の同僚と探し、アメリカの中古屋のサイトで見つけたそうです。アメリカ車特有の「いかつさ」と丸みを帯びた「かわいらしさ」を兼ね備えていて、宇高さんはこのクルマが「男の子か女の子か、どちらにもとらえられる絶妙なかわいらしさがある」と感じたのだとか。

苦労して見つけた車体だから改造はプロにお任せ

やっと見つけたフォード「COE」。宇高さんは「せっかく良いクルマに巡り合えたから……」と、デザインも含め、キッチンカーへの改造はすべてプロに任せたそう。

  • フォード「COE」の内部

    フォード「COE」の内部

「車体購入後、現地での整備におよそ2か月かかり、この間はかなり不安でした。輸入後の車検に合格するために、アメリカ現地の業者にもかなり苦労をかけました」(宇高さん)

  • プロに製作を依頼したキッチンカーの内部

    プロに製作を依頼したキッチンカーの内部

日本輸入後は、福岡県の業者で整備とキッチン部分の制作を依頼。calulu truckのコンセプトに基づき、デザイン、塗装の色、ロゴマークなどを決めました。また同時に、メニューやオペレーションの練習、出店場所へ営業活動なども行い、「この時期は追いかける事案が多くて大変だった」と宇高さんは振り返ります。作業遅れや施工の確認などもあり、何度も愛媛から福岡へ足を運んだそうです。

  • 焼いているところが見えるようにクレープの焼き台も配置

    焼いているところが見えるようにクレープの焼き台も配置

特に工夫したのは、クレープを焼いているところが見えるようにしたこと。焼き置きはせず、オーダーが入ってから一枚ずつ作っているところをちゃんとお客さんに見てみてもらえるようにしたそうです。またワンオペレーションなので、あまり動かなくとも必要なものが取れるような配置にこだわりました。

  • 人気ナンバーワンの「クリームアイスブリュレ」(税込み650円)

    人気ナンバーワンの「クリームアイスブリュレ」(税込み650円)

「お客さんの目に触れていいもの、見えてはいけないものなど、収納部分にも気を配りましたが、もし次にキッチンカーを造るとなった場合、『絶対こうしよう』と思うものが多くあります。これもノウハウと思い、経験や想いを蓄積しているところです」(宇高さん)

かわいいけれど、ちょっとワガママなクルマ

かわいらしいトラックの姿ですが、車両としてはなかなかワガママだというcalulu truck。

「肝心のクルマはあまり言うことを聞いてくれません。十分整備したつもりでしたが、当初は都市部の高速道路でエンジンが止まり渋滞を引き起こしてしまったこともありました。とてもデリケートなトラックで、毎朝出かける前に「今日の調子はどうですか?」とか、長距離走行した後は「よく頑張ってくれたね」とか、会話しています」(宇高さん)

calulu truckは「大事な相棒」と話し、人と同様、やさしく丁寧に接しているという宇高さん。

かわいらしいcalulu truckは公道でもとても目立つこともあり、お客さんから「昨日どこどこで走っていましたよね」と声をかけられることもしばしば。そのため、宇高さんはcalulu truckに乗ると自然と姿勢よく運転しているそうです。

  • Calulu Truck営業中のイメージ

    Calulu Truck営業中のイメージ

もう70年も現役で走るクラシックトラックで男性が焼くかわいらしいクレープ。さまざまな要素が共存して独特の世界観を構成しています。出店場所はInstagramなどで発信しているので、ぜひ確認してみてください。

<取材協力>
calulu truck
https://www.instagram.com/calulu.truck/

(取材・文:別役ちひろ/写真:calulu truck/編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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