キッチンカーで本格ピッツァが食べられる「MAPS」＜キッチンカー探訪＞

2021.02.04 10:00

石川県をはじめ北陸3県を中心に走るトラベリングキッチンカー「MAPS（マップス）」は、旅が大好きな夫婦がその土地の食材を使いながらピッツァを焼いています。「本格ピッツァ」といえば、大きくて堅牢な石窯で焼くイメージがありますが、なんとキッチンカーで焼いてその場で食べることができるというから驚きです。

旅をしながらピッツァを焼く夫婦

MAPSを切り盛りする長谷川知大さん・明里さん夫妻は、二人とも旅が大好き。学生時代はさまざまな国へ旅をし、かけがえのない経験をしてきました。結婚後、当時のお互いの仕事の都合で別居生活が続いたこともあり、「夫婦で一緒に頑張っていきたい！」という思いが募りMAPSの開店へとつながります。

「自分たちの意思でさまざまな土地を訪ねることができるキッチンカーを選びました。また学生時代に私が石焼き芋の移動販売を経験していたこともあり、お客様との距離が近くて販売する喜びや楽しい思い出が残っていることもきっかけでした」（知大さん）

長谷川知大さん（右）、明里さん（左）夫妻

MAPSは「石窯を積んだ旅するキッチン」をコンセプトに、2019年5月にオープンしました。イタリア産と北海道産の小麦粉をブレンドした生地や、半日かけて煮込み旨みを凝縮させたトマトソース、岐阜県飛騨高山産のモッツァレラチーズを使用したこだわりのピッツアを提供。それらをベースに、その土地の市場や直売所、生産者から直接仕入れた魚介や野菜を素材にしてトッピングしています。生地、ソース、トッピングはすべて手作り。無添加で体にやさしいピッツァです。

自家製燻製ベーコンときのこのソテーが乗った「おすすめPizza」（1,000円）

大きめのウォークスルーバンを見つけ即決！

MAPS号のベースはトヨタ「クイックデリバリー」（平成9年式）です。

「『動くキッチン』をイメージして、使い勝手の良いものにしたかったので効率的な動線を確保できるクルマを探しました。クイックデリバリーは荷台がフラットで、かつウォークスルーバンのため、スペースを有効活用できます。この車種は車体が大きく、生産数の少ない型式ですが、運よくとても状態の良い物に巡り会えて、現車を見に行った時に即決しました」（知大さん）

MAPS号の車内

長谷川さん夫妻は、今まで訪れた場所の知見を生かし、追求したのは「幅広い世代に愛される、ちょうどいいおしゃれ」。ピッツァ窯をはじめ、重い機材を積んであらゆる場所へ移動するキッチンカー。クルマへの負担も大きく、安全性やメンテナンスのことも考え、車内の設計図は長谷川さん夫妻で作成したものの、看板も含め、製作はそれぞれのプロに依頼しました。

存在感のあるキャリア。看板も取り付けてある

「おしゃれで目を引く色がいいと思い、ヨーロッパのヴィンテージカーをイメージしました。またホイールや屋根を白にして清潔感を出しました。屋根の上のキャリアは、看板やオーニングを取り付ける実用性もありますが、かわいらしい色合いに格好良さを織り交ぜる意味もあります。なかなかの大きいキャリアで、結構な存在感です」（長谷川知大さん）。

MAPS号が完成するまでのおよそ半年間、車体や小物などのデザインや試作に専念。特にデッドスペースが無くなるよう、設計した通りのサイズの厨房機材を探すのが大変だったそうです。