ヤリスが欧州でスゴいことに! 販売台数トップ、そしてカー・オブ・ザ・イヤー受賞

2020年度(2020年4月~2021年3月)の日本での新車販売において、もっとも売れた車種となったクルマがトヨタヤリス」。昨今は軽自動車人気もあり、もっとも販売台数の多いクルマが軽自動車という状況が、何年も続いていました。

そんな中、軽自動車ではないヤリス(ハッチバックに加えてSUVの「ヤリスクロス」やスポーツカーの「GRヤリス」を合計したヤリスファミリーの合計)が、年度を通じた新車販売のトップとなったのは大きなニュースといえるでしょう。

2021年1月には、欧州新車販売のトップに

しかし、ヤリスの人気は日本だけでありません。実は、欧州でも大人気なのです。

まずは、販売台数。2021年1月に、欧州(EU27の国と地域)の新車販売で、トップになりました。フォルクスワーゲンやプジョーといったライバルを超えての首位は、なんという快挙!

  • ヤリス欧州仕様(写真:トヨタ自動車)

これがいかにすごいことかは、「もしも、日本で輸入車がトップになったら?」と考えれば、どれだけ大きなニュースとなるかイメージできるのではないでしょうか。月間とはいえ、欧州の販売台数でトップに立つのは、トヨタ車として初めて。そして日本車としても初のこと。ヤリスは、それだけ欧州に根ざし、欧州で認められたクルマということです。

ちなみに、同月のヤリスの欧州内での販売台数は1万8094台。2位はプジョー「208」で1万7310台、3位はダチア「サンデロ」で1万5922台、4位は1万5227台のフォルクスワーゲン「ゴルフ」でした。ダチアは、日本ではなじみがありませんが、ルノーグループのルーマニアのメーカーです。

  • ヤリス欧州仕様(写真:トヨタ自動車)

ところで、ヤリスといえば、日本での販売開始は2020年2月。それまで「ヴィッツ」と呼ばれていたモデルが、フルモデルチェンジを機にヤリスへとネーミングチェンジしました。

しかし、欧州では1999年の日本で初代ヴィッツに相当するモデルから、ヤリスの名前で売られています。日本では新しい車名ですが、実は20年以上の歴史のある名前なのです。

そしてヤリスは、日本だけでなく、フランスの工場でも生産され、それが欧州で販売されています。先代では日本で展開していなかった3ドアも用意するなど、欧州の自動車市場に溶け込んでいる存在です。

欧州カー・オブ・ザ・イヤー2021も受賞

「カー・オブ・ザ・イヤー」は、自動車ジャーナリストなどが“その年を代表する1台”を選ぶ章典です。昨年末、日本ではスバル「レヴォーグ」が受賞しましたが、欧州ではなんと「ヤリス」がその栄冠に輝きました。

「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」は、欧州7カ国(イタリア、イギリス、スペイン、オランダ、フランス、ドイツ、スウェーデン)の自動車雑誌社が主催するもので、過去12カ月の間に欧州の5カ国以上で発売され、年間5000台以上の販売が見込めるクルマの中から「その年の1台」を決めるもの。2021年3月に発表された「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー2021」では、ヤリスが最高得点で1位となったのでした。

  • 運転する楽しさも高い評価を得た(写真:トヨタ自動車)

「クラス最高の安全性を備えた、このセグメントでは非常に優れたオールラウンダー」

「重要なセグメントの重要な車。トヨタは、この3気筒ハイブリッドでクルマとしての性能に妥協することなく排出ガスを減らす努力を続けている」

「このセグメントで最高のフルハイブリッドシステムを手に入れただけでは満足できず、トヨタはさらに改良を加えた。より効率的で、使いやすく、運転するのが楽しくなった」

「ハイブリッド化と効率化の大きな質的飛躍により、ほとんど信じられないような燃費数値を実現した」

「新しいヤリスは、運転するのが楽しく、乗っていて気持ちがよく、しかも低燃費で信頼性が高い」

欧州カー・オブ・ザ・イヤーの公式ウェブサイトに掲載されている審査員のコメントからは、トータルバランスの高さ、環境性能の高さ、そして走りの楽しさが大いに評価されていることが理解できます。また、「スポーツモデルである『GRヤリス』の存在も、ヤリスのイメージアップに貢献した」と評されています。

同カー・オブ・ザ・イヤーは、過去にも1993年に日産「マイクラ(日本名:マーチ)」、2000年の初代「ヤリス」、2005年のトヨタ「プリウス」、そして2011年には日産「リーフ」が受賞。その年を象徴するクルマというよりは、一般消費者に対して「これを買っておけば間違いない」というオススメ車が選ばれる傾向が強いようです。

イギリスでは「GRヤリス」がカー・オブ・ザ・イヤーを受賞

そしてイギリスでも、ヤリスはカー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。こちらは、イギリス国内の自動車ジャーナリスト29名が審査して「最高の1台」を選ぶもの。その総合ランキングで頂点に輝いたのだから、喜ばしい限りですね。

  • GRヤリスはひときわ高い運動性能を誇る(写真:トヨタ自動車)

同賞で高評価を得たのは、GRヤリスのほかにランドローバー「ディフェンダー」、フォード「プーマ」そしてフォルクスワーゲンの電気自動車「ID.3」など。

「速くて、安くて、とんでもなく楽しい」(ジョニー・スミス氏)や「今年運転した中で最高のパフォーマンスカーというだけでなく、今世紀に運転した中で最高のパフォーマンスカーかもしれない」(マット・ロビンソン氏)といった審査員のコメントからもわかるように、GRヤリスは運転の楽しさが評価されたようです。

ちなみに「UKカー・オブ・ザ・イヤー2021」で、GRヤリスは総合に加えて部門賞のひとつ「ベストパフォーマンス賞」も受賞しました。

もうひとつ、ヤリスといえばWRC(世界ラリー選手権)での大健闘も忘れてはいけません。2021年も、第3戦が終了した時点でマニュファクチャラーズ(製造者)ランキングのトップに立っています。

  • 世界ラリー選手権で活躍するヤリス(写真:トヨタ自動車)

欧州では「ラリーで速いクルマは人気が盛り上がる」といわれています。欧州におけるヤリスの高評価は、市販車のポテンシャルの高さに加えて、ラリーでの活躍も影響しているのかもしれませんね。

(文:工藤貴宏 写真:トヨタ自動車 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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