クルマ選びの参考になるカタログ「主要諸元表」の見方

クルマのカタログには「主要諸元表」が掲載されています。これは「カタログスペック」などとも呼ばれるもの。そこには、車体寸法や重量、エンジンの性能や燃費など、そのクルマの内容を詳細に記した数値が示されています。

一見すると難しそうに見えますが、これらの数値の意味がわかると、そのクルマがどんなクルマなのかを知る手がかりとなり、クルマ選びの指針にもなるのです。

大きさや性能を客観的に知る手がかりに

主要諸元表に記載される項目は、メーカーによらず、だいたい同じです。大雑把に言えば、「車両の型式」「大きさと重さ」「パワートレイン(エンジンとトランスミッション)」「性能」「走行装置」といったものとなります。
もちろん、詳細は自動車メーカーごとに異なり、より詳しい項目があったり、逆に省かれる項目があったりもします。

ただし、そこに記載される数値は厳密に測定されたものであることは、同じです。つまり、その数値は、クルマを客観的に見る指針となります。
ライバル車と比較したいときや旧型/新型を比較したいときは、諸元表の各項目を比較することで違いを見つけることができるのです。

  • 一見同じように見えても、数値を見るとサイズの違いなどが見えてくる(写真:トヨタ自動車)

また、大きさや価格帯などが似ているクルマ同士を比較すれば、チェックしたいクルマのライバルの中での立ち位置を推測することも。

例えば、トヨタ「ノア」や「ヴォクシー」には、日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」がライバル車種として挙げられますが、各モデルの諸元表を見比べることで、「このクルマは燃費がよさそうだ」「このモデルは室内高がある」「もっとも小回りの利くクルマはこれだ」といったことがわかるのです。

ボディサイズや重さが意味するもの

主要諸元で、クルマの大きさ(ボディサイズ/車体寸法)は、主に「全長」「全幅(ぜんぷく)」「全高」の3つで示されます。

全長の大きな長いクルマほど、車格が高く、価格が高くなるのが一般的。また、全幅が大きい(幅が広い)と堂々として格好よく見えますが、その分、狭い道や駐車場での取り回しが不利になります。
ちなみに全幅は、ボディ自体の左右寸法で、ドアミラーは含まれていないことを覚えておきましょう。

  • 全幅にドアミラーは含まれない。純粋に車体の幅を表す(写真:トヨタ自動車)

全高は、立体式駐車場に入れるときに重要な項目です。日本の場合、車高が1550mmより大きくなると入れない立体駐車場が多く、1550mm以下かどうかが重要になります。
自宅や職場、よく行く施設の駐車場が立体式である場合は、全高をよくチェックしておきましょう。

「最低地上高」は、地面から車体の床面までの高さ。いわゆる「車高の高さ」を表しています。当然、この数値が大きいほど、車高は高く、大きなデコボコを超える能力が高いことを意味します。
雪の深い地域に住んでいる人や、アウトドアなどで未舗装路を走ることの多い人は注目すべき数値です。目安として、セダンやミニバンは160mm前後、SUVでは180~200mm程度となっています。

  • 最低地上高が高ければ悪路で車体床面を傷つけるリスクを減らせる(写真:トヨタ自動車)

「車両重量」は、クルマの重さを意味します。軽いほど、加速や減速が楽になり、燃費性能も高まります。さらにクルマの動き全体も軽快になります。
逆に車両重量が重くなると、加速が悪くなり、燃費も悪化してしまいます。ただし、重さが乗り心地のよさに表れることもあります。走行性能や乗り心地を考えるときに重要な項目となります。

車両重量の項目のすぐ下に、「車両総重量」という項目があることに気づくでしょう。こちらは車両重量に乗車定員分を加えたもの。5人乗りのクルマなら、5人分の体重が加味された重量となります。
乗員1人を55kgで計算することになっていため、5人乗車のクルマであれば55×5=275kgだけ重くなります。
機械式立体駐車場の重量制限などでは、この車両総重量が使われることがあります。

燃費性能はランニングコストの目安になる

クルマの性能は搭載されるエンジンに大きく左右されます。そのため主要諸元には、「総排気量」「種類」「使用燃料」「最高出力」「最大トルク」など、エンジンの内容を知る手がかりとなる項目が数多く記されています。

また、ハイブリッド車(HEV)の場合は、エンジンだけでなくモーターも搭載されているので、モーターの性能を知るための項目も記載されています。

この中で特に注目したいのが最高出力と最大トルクです。最高出力が大きいほど速度を高めやすく、トルクの数値が大きいほど加速力に優れます。

  • 車種によってはエンジン回転数と最高出力/最大トルクの関係がわかる図表も(写真:トヨタ自動車)

もう1つチェックしたい項目が、「燃料消費率」。これは、いわゆる「燃費」を表し、走行時にどれだけの燃料を使うのかを見る指標となります。
日本で主に使われる単位は「km/L」。「1リットルの燃料で、何kmの距離を走れるのか」を示し、「17.5km/L」と書かれたクルマなら、1リットルの燃料で17.5kmの距離を走れることができるわけです。

この燃費の数値を知っておけば、毎月に必要な燃料コストの目安を計算することができます。
毎月1000km走るのであれば、20km/Lの燃費のクルマなら使う燃料は50リットル、10km/Lなら100リットル。ガソリン価格が170円/Lであれば、それぞれ月の燃料代は8500円、17000円と計算できます。

  • 燃費数値から燃料コストの目安がわかる

しかし、これはあくまでも測定時の数値で、実際の走行環境や運転の仕方により大きく変わってきますから、あくまでも目安として考えておきましょう。

なお、測定方法は「10モード」「10・15モード」「JC08モード」と変化しており、現在は「WLTCモード」が使われています。
これは、測定時の燃費の実走行での燃費の差が大きかったことを考慮して、よりリアルな使い方に近くなるよう、計測方法が厳しくなっているためです。

そのため、同じクルマでも測定モードが新しくなるほど数値が悪化します。中古車を購入するときに、そのクルマの燃費数値をチェックするときは、どの測定モードでの数値なのかを気にしておくといいでしょう。

最後にもう1つ、見落とされがちだけど注目してほしい数値を紹介します。それは「最小回転半径」です。
クルマをUターンさせるときに、どれだけ小回りが利くかを示す数値で、数値が小さいほど小回り性能に優れます。狭い道を走ることの多い人は、ぜひともチェックしてほしい数値です。

  • 最小回転半径は同じ車種でもグレードにより異なる場合がある(写真:ダイハツ工業)

クルマ選びをより簡単に、楽しくするために

クルマを購入するとき、「このクルマは車体が大きそう」「小回りが利きそうだ」などと、見た目から思ってしまいがちですが、カタログの主要諸元表を見てみると、実際にはそうでないこともあるものです。

今、乗っているクルマと購入検討しているクルマ、あるいは比較検討している車種同士の諸元表を見比べてみることで、クルマ選びの参考になります。そうすると、きっとクルマ選びはより簡単で、そして楽しいものなるでしょう。

(文:鈴木ケンイチ 編集:木谷 宗義type-e+ノオト)

[GAZOO編集部]

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