帝王復活など、今季もGT300クラスはバラエティに富むラインナップ!富士テスト前に予習をどうぞ!

岡山公式テストの振り返りを少々。ふたたび目に新しい戦う仲間たちをご紹介。レポートの続きです。

本山哲選手現役復帰

すでにご存じの方も多いと思いますが、GT300クラス6号車Team LeMans Audi R8 LMSで、現役時代からその速さとレースの強さに、帝王、レジェンドと呼ばれていた本山哲選手が2018年ぶりにスーパーGTに復帰します。ちょっと休んだだけですね。フルシーズンその雄姿を見せてくださることは、ファンにとってはうれしいこと。わたしは、だいぶ昔の本山選手を未だに思い出してうれしいですね。

昨年、スーパーフォーミュラリージョナルなどにも参戦し、レーシングスーツ姿を拝むと、やっぱり本山さんには一番この姿が似合うなあと眺めていました。グリッドにもたくさんの方がお見えになって激励。さすがだなと思いましたよ。今季は、アウディジャパンをパートナーとし、カスタマーモータースポーツ(※)として参戦します。
※こちらについては後ほど説明しますね。

6号車のメンテナンスはチームルマン。ゼッケンは6です。相棒は、片山義章選手です。初参戦ですね。この「6」は、過去にGT500クラスで慣れ親しんだチームのゼッケンですね。2019年にはドライバー、大嶋和也選手と山下健太選手、脇阪寿一監督でLEXUS LC500を駆りタイトルを獲得しました。

昨年、セルモインギングの300クラスADVICS muta Racing INGINGがこのゼッケンを使用、ADVICS muta MC86を走らせました。一方、チャンピオンを獲得した6号車は、メンテナンスもルーキーレーシングとなり様変わり、14号車にゼッケンを変え新しいシーズンを迎えました。そして、今季は、またチームルマンにゼッケン6が戻って参りました。

6号車Team LeMans Audi R8 LMSとなります。そしてこれまでも参戦している21号車Hitotsuyama Audi R8 LMSも健在、メンテナンスは引き続きチームルマンとなりアウディR8の2台体制の参戦となります。複数台のエントリーは、メリットも大きいので、今後ますますこの体制が活かされていくことでしょう。

岡山テストの際、本山哲選手のお誕生日をチームが祝っていました。チームメイトの片山義章選手が大先輩を前にとても遠慮気味に祝っている姿が非常に微笑ましく、本山選手が現役バリバリのときは、現在27歳の片山選手は小学生か中学生くらいのお年頃だったのかもしれません。憧れのドライバーとコンビを組むのはうれしいに違いありません。スキルをたくさん盗んでいって欲しいですよね。チームルマンは、わたくし個人的によく知るスタッフがいるチーム。応援していますので頑張ってください!

片山選手の写真はブレブレでしたので…、またリベンジします。

ジャン・アレジさんのご子息参戦

ちょっとミーハー(今の世代のコわかります?)なネタに見えますが、そう取らないでね。アレジ(呼び捨て失礼、元F1ドライバーのジャン・アレジ選手)と聞くと、ゴクミ(女優の後藤久美子さん)…と私のような昭和生まれのおじさんとおばさんはきっと反応すると思っております。日本にもちょくちょく来日していたそのご夫妻のご長男ジュリアーノ・アレジ選手が、今季は日本に拠点を置きレース活動を開始します。昨年まで、F2というF1のすぐ下のカテゴリーで走っていらっしゃいました。富士24時間にも出ていましたね。今季は日本でスーパーフォーミュラライツにフル参戦です。

目元がご両親にそっくりですね。以前から3月に開催される鈴鹿サーキットのファン感謝デーのコンテンツに参加されていて、年に一度楽しみにしていました。今季はお顔を拝見する機会が増えそうです。彼がエントリーしたクルマは、GT300クラスの35号車arto RC F GT3。タイを母国とするチームのエントリーなのですが、ナタポン・ホートンカム選手(タイ)が不参加のため、テストに参加しました。

今月最終週の富士公式テストにも、第3ドライバーとしてエントリー。ピックアップした理由は、先般の鈴鹿で開催されたスーパーフォーミュラ公式テストにも、中嶋一貴選手の代わりに走っていました。スーパーフォーミュラライツにトムスからフル参戦の彼ですが、場合によっては、あちこち参戦しそうなので注目だからです。

コロナ禍でのレーススケジュールがまだまだ流動的。緊急事態宣言が解除になりますが、その後が明るい未来なのかはさだかではないし、F2に参戦していたというキャリアもありますし、期待したいですね。代役候補として名前が浮上してきそうです。

あ!そっか!と改めて思ったのが、日本語を話せるところ。当たり前ですよね、お母さんが日本人なのですから。すでに日本に住んでいるそうですが、きっと日本の生活も、これまで来日したドライバーさんたちと比べたら、日本語に日本食、心配する必要もないのかもね…。

CARGUY Racingフェラーリで復活!

こちらも取り上げたい。4年ぶりですね、CARGUY Racing。9号車PACIFIC CARGUY RacingでパシフィックレーシングとのコラボでスーパーGTに復活です。ドライバーは、木村武史選手とケイ・コッツォリーノ選手。ケイくんは、以前トヨタ自動車のメーカー育成ドライバーでした。ルックスと違って日本語バリバリに話せます。

CARGUY Racingは、WEC,アジアン・ル・マンと積極的にモータースポーツに参戦しています。パシフィックレーシングは、昨年はD’station Racingとコラボでアストンマーティンを走らせていました。今年はフェラーリ。中日本自動車短期大学(NAC)の学生がメカニックとして頑張っているチームです。テストでは近くのピットにいたのですが、まずはひさしぶりのフェラーリを眺めていましたよ。今回はチーム代表さんとレンタカー屋さんで会えただけ。頑張ってくださいな。

カスタマーレーシング、カスタマーモータースポーツって何?

上記の言葉が初耳な方に簡単に説明します。自動車メーカーがレースに参戦する車両を販売したり、メーカーがそのマシンのサポートを通して得られた技術を市販車へフィードバックすること。クルマを用意してレースに参戦するということは、プロも同じですが、メーカーと“お客様”という関係でもあります。カスタマー…意味はそのままですか。最近よく聞くなあなんて思われた方いないかなと思って。

プロフェッショナルなカテゴリー、F1など、国内のスーパーGTで説明するのが簡単でしょうか?GT500クラスのように、自動車メーカーのワークス参戦とは全く異なるカタチになります。説明、あまり難しくはなかったですね(笑)。

具体例でTOYOTA GAZOO Racingのモータースポーツ活動から説明いたしますと、全世界の各カテゴリーのモータースポーツに参戦するGRスープラGT4、LEXUS RC F GT3、がそのカスタマーレーシングのクルマになります。今季、GRスープラGT4でレースをスタートするクルマはだいぶ増えているようですね。リリースご参照。

〇TOYOTA GAZOO Racing、
2021年のモータースポーツ活動計画を発表
https://toyotagazooracing.com/jp/pressrelease/2021/0212-01.html

今後、ますますこのカスタマーモータースポーツが増えていくのかなと思います。また個人的な考えですが、プロフェッショナルなスーパーGT GT500クラスも、すべて車両をカスタマーモータースポーツのある意味ワンメイク(ちょっとあてはまらないかな…)にすれば、おもしろいのかなと。ガソリン車のレースの存続を考えると、近い未来がもう少し明るいものになるのかなと思っています。GT500クラスのプロの仕事もめちゃくちゃかっこいいので、そこは捨てがたいですけどね…。

GT富士公式テストは、もうすぐ。お時間ある方、ぜひどうぞ!

(写真:折原弘之 大谷幸子、テキスト:大谷幸子)

[ガズー編集部]

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