「負け」の立場に思いを馳せるスーパーフォーミュラ第6戦と、新プロジェクトNEXT50

SFもてぎただいま~、そしてスーパーGTへ出発~。熊本に入り原稿を書いたものの終わって帰宅、原稿を全部書き直しております(笑)。久しぶりの飛行機、5か月ぶりでしょうか。進化していく空港のチェックイン(セルフでやる)に昨年から毎回戸惑います。搭乗する回数が減ったのですぐ忘れちゃうんですよ。年取ったなと笑いながら、携帯のQRコードをかざすもそこじゃない…。この繰り返し。

先般のスーパーフォーミュラ第6戦を振り返ります。

今季のHondaさん、手ごわかったですね。参りました。そして、野尻智紀選手の強さ。シリーズチャンピオン、おめでとうございました。トヨタ勢も束になってかかったのですが、野尻選手の圧勝ですね。

今回の第6戦は、雨が降り路面が刻々と変わりましたので、予選は単純にタイムで比べられない戦いが繰り広げられました。クルマは同じですので、セッティングはチームの英知の集約。そして、どのカテゴリーもタイヤ選択は、レースを左右する大きな要因。自分たちが選んだタイヤで戦う訳ですから、タイヤのせいにはできません。それがとても良くわかったレースウィークでした。

同じ作戦でも戦績につながらないことも当然ありますが、今回は本当に難しいラウンド。レース中は、雨のためスピンも多発、展開が早くてさあ大変。中継のカメラでも追いきれていません。レース後、状況を整理しました。自宅で録画を何度も見直しました。でも、抜きどころのないツインリンクもてぎのレースは、OTS(オーバーテイクシステム)も手伝っておもしろく、今回も頭を悩ませるほどいろいろなことがありました。

レース展開などはレースレポートやTGRコラムなどを見ていただくとして…。今回は、戦績の出せなかったドライバーについて、少しエンジニアさんと話してきました。。自分の中のキーワードは「チームメイト」。チームメイトとは、最大のライバル。

ざっと見まわした感じ仲良く過ごしているように見えるので、実はそこまで考えたことがなかったのです。スタッフの方に、「チームメイトには影響されるよ」と言われ、確かにそんなシーンがこれまであったなと考え直しました。

私は、戦いありきで仲良くする訳がないというと浪花節的な考え方も持っていて、その発想は、もしや古いのでは?と自分なりに何か少し理解があるふりというか、若ぶるというかそんな考えもしてみたり。でも時代の変化はドライバーの心境とは無関係で、毎回勝負と思う自分もいたり。えっとそれは置いといて…。

チームメイトの戦績の差がある場合の心境を考えてみたんです。プロだからそんなこと考えてもしょうがないんだけど、考えてみた(笑)。自分の方が優勢の場合は前進あるのみ。自分が「負け」の立場にいる場合は、わたしならシーズンが進むにつれ腐っていきそう(笑)。勝ちたいけど、負けている原因は冷静に分析、そしてその他に負けている理由(言い訳)探しをしちゃうかもしれない。ちっさいなあ私(笑)。

そして、凹むのを表に出す人、出さない人。ドライバーさん、元気がないなあと思うのはシーズンが佳境に入ると見る光景。心配になってしまうと話したんです、エンジニアさんに。そうしたら、「がんばって!なんて甘い言葉かけたらダメだよ」と開口一番に言われました。母性しかない私からそれを取ったら何が残る?だけど、「何やってんだ!とケツを叩くくらいで良い」と言われ、うわー出来ない…と切なくなりました。

そんなのずっと見て来たよと話すエンジニアさん。俺だって負けは辛いし、ドライバーと一緒に乗り越えていくしかないんだよと。目の前でチームメイトの勝ちを見てきているのは、ドライバーだけじゃなかった。そうだよね、そうなんだよねと、おバカな私は何度も勝者は一人しかいないことを自分に言い聞かせました。

でもね、表に見せないほうがいいんだよプロだから…とエンジニアさん。確かにいつでもかっこいいままでいて欲しいですよね。プロ野球選手に罵声を浴びせるようなスタンドのファンの声は、最大の応援だったりもします。ちゃぶ台返し(昭和…)は、愛の証だと思っています。プロだからこそ、それに応えるメンタルの強さも必要。まあ、SNSの罵倒などはまた「質」が違って、ちょっと良くないけどね。この違いわかって欲しい…。

あるドライバーさんには図々しく行って!と、そう声かけするのが精いっぱいでした。すっかり凹んでしまっているドライバーさんの復活をまた隅っこから見届けよう、そう思ってもてぎから帰ってきました。いろんな業界関係者といつも話していますが、わたしはただの甘ちゃんのお母ちゃんなんだよなー。でも、頑張れを言い続けさせていただこう!おぉ!って感じです。

今回は、なかなかレアなシーンがありました。Hondaのチーム無限さんは、第6戦のラウンドの優勝とタイトル獲得が同時やって来ました。勝者2台が同じチームという大団円は、あまりないですね。あるメカさんがだいぶ前にあったなあと話してくれたけど、10年くらい前だった。いたけど記憶が曖昧…。無限さん、とても良い雰囲気で最終戦に臨むことができると思いますね。

またトヨタのチームインパルの2台は、お二人ともタイトルの可能性をギリギリ残しておりましたが、決まってしまったので残念の悲しみが深かったかな。しかし、まだチームタイトルの可能性は残っておりますね。

チームランキングが、来季のピット割りになるんです。今季は、昨年のチャンピオンの山本尚貴選手がチームを移籍したので、事情が異なりましたけどね。ピットの順番は、大きな役割を果たしますので、今週末の最終戦!最後ひとふんばりしてもらいましょう!

スーパーフォーミュラNEXT50 (ネクストゴーと読むそう)
発表になりました。

具体的なことはこれから詰めていくようですが、オーガナイザーも2メーカーもこのカテゴリーに「変化」を加えてくださる模様。SUPER FORMULA、レースがおもしろいので、たくさんの方に見ていただきたい。大きな期待を込めておきますね!では、また!

(写真 折原弘之 大谷幸子、テキスト 大谷幸子)

[ガズー編集部]

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