愛車RVの性能を過酷なフィールドで体感すると、もっとクルマが好きになる・・・寺田昌弘連載コラム
ここ2年のコロナ禍で巣ごもり需要とともに盛り上がりを見せているのがキャンプ。ワークマンのアウトドアウェアや用品など、高機能で低価格のファスト化も広がりつつ、ゼインアーツのテントのように、発売前から予約が殺到するハイブランドもまた大人気です。
そして、気軽にアウトドアを楽しめるグランピング施設が、全国各地で新設ラッシュとなり、星空、海、富士山、湖畔など景観にこだわった個性的な施設がオープンしています。
キャンプをしていると、ウェアやテント、調理器具など使い勝手や性能をすぐ体感できますが、キャンプ場へ向かう愛車も言わばキャンプギアのひとつ。ランドクルーザーやハイラックス、ジープ、ディフェンダー、メルセデスGクラス、ジムニーなどに乗っていればなおさらです。ただ河川敷や山道で試すわけにもいきません。
そこで宮城トヨタグループでは、県内にあるスポーツランドSUGOの国際モトクロスコースで、お客様に愛車で試走してもらったり、試乗車を運転したり、ダカールラリーなど国際クロスカントリーラリーに参戦経験を持つドライバーによる同乗体験などを毎年開催しています。
私もそのドライバーの一人として参加したので、その模様をお届けします。
ランクルやハイラックスが泥まみれのジェットコースターに
海外ラリー参戦経験のあるオフロードのスペシャリストがドライバーとなり、モトクロスコースを疾走する「プロドライバー同乗」。
今回のドライバーは、ダカールラリー市販車部門で5度の優勝を誇る三橋淳選手、アジアクロスカントリーラリーやアメリカのデザートレースに参戦する能戸知徳選手、アフリカエコレースや今年のダカールラリーのSSV(軽量バギー)部門に参戦した梅田真佑選手、フォーミュラマシンから4WDまで乗りこなす藤田孝博選手そして私、寺田昌弘の5名。
4日前に降った大雨の影響が残り、路面はぬかるみ、一部が田んぼのようにぐちゃぐちゃでしたが、このコースの名物でもある斜度30度の大坂は登れる状態です。三橋選手、藤田選手はランドクルーザープラドのカスタムカー、能戸選手はハイラックス、梅田選手はFJクルーザーそして私はノーマルのプラドを担当しました。ディーラーの試乗車にMTタイヤだけ履いた状態です。
スライドなどアクセルでクルマの向きを変えたりしたいので、横滑り制御機能(VSC)やタイヤ空転抑制機能(TRC)はOFFにして、高速で走るならH4がベストですが、このコースではそこまでスピードが乗らないため、敢えてL4にして、トルクだけでなくエンジン回転数の高いまま意識的にタイヤを空転させやすいようにしました。またフロントタイヤだけ路面から離れてから着地して、前後輪の負荷が一気に変わることを考えて、センターデフロックはロックせずオープンのままです。プラドの場合、通常走行のトルク配分が前40:後60なので、泥で滑りやすいコーナーはフロントの駆動を残しながらリヤを滑らせて、アクセルでクルマの向きを変えられるので便利です。
私もこのプラドが愛車の1台ですが、同乗いただいたお客様のなかには、同じプラドにお乗りの方が4家族いました。このプラドはノーマルなのでその悪路走破性の高さがどのくらいかご体感いただくにはぴったりです。
まずはフラットダートで前後タイヤを滑らせ180度ターンしながらコーナーを曲がると、同乗しているお子さんやお母さんが特に大喜びです。そのままバンクで車速を上げて一気に斜度30度の大坂を駆け上がると、「ジェットコースターみたい!」と言ってさらにテンションが上がります。そのテンションは上がったままですが、「上がったら今度は?」と聞くと「下がる」とお客様が言う瞬間に一気に下ります。そこからコブを越えたり、リヤを滑らせてコーナーを小さく回ったり、登ったり下ったり、泥ねい路をできるだけボディアンダーを擦らないように轍を避けて走ったりと、お客様にとっては非日常の路面をたくましく走るプラドを体感していただきました。
2日目はあいにくの雨で路面状況が悪くなり、ドライバーも苦戦。私も一度スタックしました。スタッフがランドクルーザー70でレスキューしにきてくれ、ウインチを使ってすぐ脱出。すると同乗していたお客様が「ウインチ使って脱出するのを初めて見ました」と、これもオフロードの醍醐味と喜んでくれました。2日間で約150組約400名のお客様にレールのないオフロードのジェットコースターを楽しんでもらいました。
ランドクルーザー300の機能体感し、走破性の高さに驚く
「プロドライバー同乗」では制御をオフOFFにしていましたが、アスファルトの上でも制御機能を存分に体感できる「四駆モーグルキット体験同乗」もあります。
これは、さなげアドベンチャーフィールドが運営する丸太や鉄製モーグル、階段などを走りながらマルチテレインセレクトなど悪路での走破性、安全性を高める電子制御がよくわかるコンテンツです。ドライバーは宮城トヨタグループ社員が行っています。
まず片側だけ丸太に上り、最大30度の横方向への傾斜が体験できます。プラドは最大42度、ランドクルーザー300は最大44度まで大丈夫ですが、30度でも同乗者はみな驚きます。
次にモーグルは対角線上にコブに乗り上げ、乗り上げない側のタイヤが浮くと、そのタイヤが空転してスタックしますが、ブレーキ制御が入ることで、接地しているタイヤに駆動が伝わり走破できます。イベント前日にプラドとランドクルーザー300で比較試乗してみたのですが、プラドでモーグルを走ると対角線上にタイヤが浮き、設置していないタイヤにブレーキをかけ、設置しているタイヤに駆動が伝わり走破できるのですが、ランドクルーザー300は特にリヤサスペンションの伸びがよく、タイヤと路面の距離がプラドより格段に離れないすばらしいサスペンションになっているのがわかります。また制御が入るタイミングが速くとてもスムーズ。やはり制御も格段に進化しているのがわかります。
カスタマイズ相談や子ども向けコンテンツも充実
お客様が自分でステアリングを握って楽しめるコンテンツは2つあります。
まず愛車のランドクルーザーやハイラックスでコースを走ることができます。ここのモトクロスコースをクルマで走れるのは、このイベントぐらいのとても貴重な機会なので、毎年走るのを楽しみにしているお客様も多いです。
次にランドクルーザーやハイラックスのカスタマイズカーや試乗車でもコースを走れます。ふだん試乗するときは、オフロードは走れませんが、ここで試乗すれば自分が乗っている旧型と比較して、どれだけ悪路走破性がよくなっているかなどがわかるので人気があります。
走行コンテンツ以外にもカスタマイズメーカーやタイヤメーカーの相談ブースがあったり、ミニ四駆やキッズバイク講習などの子ども向けコンテンツ、食べ物の出店もあったりと、ファミリーで来場しても楽しめるコンテンツが沢山あります。
お客様のクルマの相談やメンテナンスはもちろん、こうしてクルマを楽しんでもっと好きになってもらえるイベントを開催することはとてもすばらしいと思います。
クルマに乗ったら家族が笑顔になる。このイベントを手伝いながら、私も笑顔になれて最高のイベントでした。
写真:茅原田哲郎/文:寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
[GAZOO編集部]
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