車好きは、ドライビングテクニックを向上させるべし・・・寺田昌弘連載コラム
クルマに長く乗り続けていると、自分なりのドライビングの“クセ”がついて、愛車の素性をうまく引き出せていないことがあります。
宮城トヨタグループ(MTG)が、スポーツランドSUGO西コースでドライビングスキルアップ講習会を昨年実施したところ、大変好評で、今年も開催することになりました。
さらにオフロードでも講習会を初開催。オンとオフ、それぞれのスキルアップ講習会にインストラクターとして参加してきましたのでレポートします。
Drive&Caféで大人の週末レッスン
オンロードの講習会の会場はスポーツランドSUGO Mパーク。普段は駐車場ですが、フラットの広場にパイロンを立て、オーバルや8の字に走れるようにして、減速から旋回そして加速、と反復練習をしながら愛車とコミュニケーションを取っていきます。
今回の参加車はGRヤリスとGR86、TOYOTA86そしてVW Golf。どれも走りがおもしろいクルマばかりです。
まずインストラクターがドライブするクルマに同乗して、ブレーキングやアクセルを踏むタイミングやライン取りを覚えます。そして愛車に乗ってトライ。
まず典型的なパターンとしては、直線で減速し過ぎて、旋回し始めにブレーキを放してしまい、フロントの荷重が抜けて曲がれなかったり、逆にオーバースピードで進入して曲がれず、ステアリングをこじってしまったりします。
コーナー進入時までブレーキをうまく使いながら、フロントに荷重を載せて曲がることを意識し、クルマが安定して旋回していく感覚をつかんでいくと、みるみるうちに上達していきます。
そして目線。最初は手前やパイロンを見てしまいますが、その目線が動くたびにクルマの挙動は変わってしまいます。いくつかのパイロンでできたコーナーを、「1つのコーナー」としてイメージし、目線を遠くにしながら、クリッピングポイント(※)を見据え、愛車に合った加速重視のラインをみつけていくことがコツです。
(※クリッピングポイント:コーナリング中に、クルマが最もイン側に寄った地点)
ドライバーがイン側になって走りやすい右旋回で感覚を掴んだら、今度は8の字にして左旋回も加えます。視界が変わってきますが、反復しながら感覚を掴んでいきます。
メインのインストラクターから無線でドライバーにリアルに指導が入り、私は走り終えた参加者に走行時の良いところ、改善点を伝えていきましたが、周回ごとに上達し、笑顔が増える参加者を見ているだけでやりがいを感じられます。
また、ただ走るだけでなく、座学でシートポジション、ステアリングの持ち方、回し方、アクセル、ブレーキの踏み方などスポーツ走行の基本も学びます。
ひとしきり走ると、今年4月にオープンしたSUGO CAFÉでランチタイム。地元名産の発酵食材を活かしたパスタやカレーを食べながら、参加者同士で会話も弾みます。
さらに今回は本コースで「GR86/BRZ Race」「Yaris Cup」が開催されているので、レース観戦やピット見学を行いました。そしてTOYOTA GAZOO Racingの協力で、これらの参戦マシンの解説、GOODYEARによるタイヤサポートの紹介など、サーキットレースの現場を観にいくツアーを実施。レース気分を堪能していただきました。
参加者からは、「ドライビングスキルが向上して、愛車をもっと好きになった」、「さらに速く走るレースが観られて、盛り沢山の一日だった」、と大好評でした。
泥んこになって楽しむオフロードの1日
毎年、国際モトクロスコースをフィールドに楽しむ「MTG四駆祭り」。ランドクルーザープラドやランドクルーザー70、ハイラックス、FJクルーザーなどMTGカスタマイズ試乗車に乗って走れたり、愛車の四駆で走れたりとオフロードを楽しめます。
また、私たちプロドライバーがドライブするプラドやFJクルーザーに同乗し、ジェットコースター感覚で楽しむ「プロドライバー同乗」も好評です。今回はさらに「オフロードスキルアップ研修会」を初開催。オンロード同様、オフロードでも愛車の悪路走破性を体感しながら、ドライビングテクニック向上を目指します。
座学と機能紹介は、トヨタSUVのスペシャリストである「さなげアドバンチャーフィールド」の藤岡さん、荒深さん、水野さんが担当。4WDの仕組みから、ランドクルーザーの悪路走破性の高さはどういった機構がサポートしているかなど、わかりやすく解説してくれます。
またRAV4やヤリスクロスなどSUVについても解説し、愛車の機能について学びます。
そして、いざ愛車でオフロードへ!と思ったのですが、雨の影響で路面がかなり滑りやすく、RAV4、ヤリスクロスは、同型のMTG試乗車を使って体験走行をします。
これらの車種でオフロードを楽しむ方は少ないですが、雪道や河川敷など未舗装路を走ることもあるので、機能体感することはとても重要です。
ランドクルーザーのチーフエンジニアがトークショー
トヨタの四駆オーナーが集まるので、オーナーの生の声を聞くために、ランドクルーザーシリーズのチーフエンジニアの森津圭太さんが現地視察に来られていて、せっかくの機会、とトークショーをお願いしたところ、快く受けていただき、サプライズトークショーを開催。
これには来場者はもちろん、MTG社員やカスタマイズメーカーの方々も興味津々で聴き入り大盛り上がりでした。ランドクルーザーはもちろん、タコマやタンドラ、4ランナーなど海外で大人気のトヨタSUVなどについて、貴重なお話をしていただきました。
ランドクルーザーやハイラックスオーナーのグループも、MTG試乗車を用意しましたが、愛車で挑戦してみたいという参加者もいて、その勇気に応えるためにも、私たちが助手席に乗ってドライビングレクチャーをしながら、泥だらけのコースを走ります。
4WDはアクセルを少しでも踏んでいれば機能しているので、滑るときこそアクセルを意識したり、アクセルでクルマの向きを変えたりと体感してもらうと、愛車の悪路走破性の高さに喜んでくれます。
そしてこちらも「プロドライバー同乗」を実施し、モトクロスコースをジャンプしたり、滑りっぱなしで曲がったり、フラットダートでドリフトしたりと、アミューズメントパークのアトラクションのように楽しんでいただきます。
こうして、オンロードもオフロードも愛車で走ってドライビングのスキルアップをし、愛車をより好きになるイベントは、参加者の笑顔と愛車を見る目がキラキラしていて、インストラクターとしてうれしいかぎりです。MTGがすすめるこのイベントが全国に広がって、愛車をもっと好きになる場が増えたらいいなと思います。
写真:MTG/文:寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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