TOMAKOMAI MIRAI FEST 2024で今年もミライで給電サポート・・・寺田昌弘連載コラム
9月7日(土)・8日(日)に北海道苫小牧市で、今年で3回目となる複合型エンターテイメントイベント「TOMAKOMAI MIRAI FEST 2024(トマコマイ ミライ フェスト 2024)」が開催され、2日間でのべ23,000人が来場して大いに盛り上がりました。
私は前回からステージ用電源としてトヨタ・ミライから可搬型給電器を介して電力供給サポートをしたり、水素調理に関わっていましたが、今年もステージの楽器電源サポートなどをしながら、GX(グリーントランスフォーメーション)へ向けた取り組みを観てきました。
メインステージを支えるミライ
今年のライブは、メインとなる「とまチョップステージ」では、初日がFRUITS ZIPPER、ヤングスキニー、PUFFY、にしな、川崎鷹也、nobodyknows+、2日目がゴールデンボンバー、氣志團、手越祐也、SUGIZO、Novelbright、湘南乃風と、豪華なアーティストが苫小牧に集結。
このステージの楽器用電源をミライから給電します。今回、北海道庁、トヨタ自動車北海道、トヨタカローラ苫小牧より、合計5台のミライ貸与のご協力をいただき、ステージでは2台のミライから電源供給します。ミライに可搬型外部給電器(ホンダPower Exporter 9000)をつなぐことで最大9,000Wの電力が供給できます。
私はアーティストのSUGIZOの「エンターテインメントでもカーボンニュートラルへ向けた活動をしていきたい」という思いで2017年から実施している活動に賛同し、2年前にミライを購入。
LUNA SEAやTHE LAST ROCKSTARSの楽器電源サポートをしていますが、GXに向けた取り組みであるのと同時に、素人の私でもわかるくらい音がよくなるのを体感しています。オフグリッドの独立電源となることが大きく寄与しているようです。
またDJブースの「タルマエステージ」の電気もミライでサポート。
昨年開催されたジャパンモビリティショーの「H₂ Energy Festival」でもミライで同様に給電サポートしたのですが、プログラミングされた音楽を流すPCに電源供給したところ、あるマニピュレーターから「音がダマにならずきれいに流れる」とコメントをいただいたことがありました。だからDJブースのPCにも、GXとともに音のよさもサポートできました。
GXパークでは水素利活用のコンテンツを見て食べて遊ぶ
北海道の再生可能エネルギーの潜在力は国内随一で、環境省が運営する「REPOS(再生可能エネルギー情報提供システム)」では、都道府県別で風力発電、太陽光発電、中小水力発電では北海道が1位、地熱発電では2位となっています。
さらに北海道では、畜産バイオマスや木質バイオマスを含め、地域の資源を生かしたさまざまな再エネの導入に挑み、洋上風力など地域との共生しながら再エネ導入の可能性が広がっています。
そして北海道内で作られる豊富な再エネをベースに、エネルギー効率が高く高性能な次世代半導体の量産製造を目指すラピダスや、冷涼な気候を活かせるデータセンターなど、これからさらに日本のデジタル分野を支える重要なエリアになります。
だから、このイベントで北海道のGXを知っていただくことはとても有意義で、各社、行政などブース展示や実際水素を活用したコンテンツを紹介しています。
まずトヨタエナジーソリューションズは、エア・ウォーターとともに定置型FC発電機から十数台のキッチンカーへ電力供給をしています。通常キッチンカーは小型エンジン発電機を車外に置いて使用していますが、エンジン音が気になるところ。比べて、定置型FC発電機は静かなので、キッチンカーエリアが静かになります。すぐそばのステージではキッズダンスバトルが開催されていたので、なおさら良い環境が作れています。
そして誰でもGXや水素活用を身近に感じることができる「GXパーク」では、北海道初となるトヨタの水素ファクトリーとリンナイが手掛ける水素石窯、水素グリラーで焼いたピザやグリルチキンが大人気。
水素燃焼の火力でピザやチキンを焼くのですが、水素は燃焼してもCO2が出ない。そして食材をうっすらと水蒸気のような膜でくるむ感じで焼くので、中はしっとりジューシーで外はカリっと焼けておいしい。さらに都市ガスやLPガスと違い、無味無臭なので素材の味がそのまま味わえるメリットがあります。食べたかたがみな、そのおいしさに驚いていたのが印象深かったです。
来場者のなかには家族連れも多く、子供たちにも楽しみながらGXを知ってもらうために、トヨタのRCカークラブに協力していただき、ミライの電気で充電したRCカーで遊べるコンテンツも実施。ちょうど同じ週末にラリー北海道が開催されていたので、GRヤリスのRCカーを持ち込んでいただき、TOYOTA GAZOO Racingの活動にも触れてもらいました。
トヨタ紡織は、FCアシスト自転車の試乗会を実施。電動アシスト自転車のような乗り心地なのですが、元々開発者がFCをどれだけ小さく作れるかに挑んでいたら、自転車に搭載できるサイズまでになったとのこと。技術者のあくなき挑戦が未来を切り拓いてくれるのだと、FCアシスト自転車に乗りながら思いました。
清水建設は、建物内で水素を「つくる」「ためる」「つかう」建物付帯型水素システム「Hydro Q-BiC」を紹介。太陽光発電などの再エネの余剰電力を水電解タイプの製造装置で水素に変換し、水素吸蔵合金を充填したタンクに貯蔵。必要時に燃料電池で電力に変換し、そのときに出る熱も利用する仕組みです。
水素が不足した場合はグリーン水素を輸送して水素吸蔵合金を充填したタンクに貯蔵します。再エネはグリッドにのせてしまうと、天候により電力が変化してしまい、火力発電で調整しなければならないため、私も再エネはコンパクトなオフグリッドで余剰時に貯蔵して使用することがいいと思いますが、「Hydro Q-BiC」はそれを具現化したシステムです。
とても華やかな音楽フェスですが、GXに向けた取り組みを観て食べて遊ぶことができ、エネルギーや水素利活用について体感でき、これからのイベントのひとつのスタイルとして確立されていると思いました。
次回は2025年9月13日(土)・14日(日)に開催決定しているのでぜひ参加してみてください。
文:寺田昌弘 写真:『TOMAKOMAI MIRAI FEST 2024』、寺田昌弘
ダカールラリー参戦をはじめアフリカ、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアと5大陸、50カ国以上をクルマで走り、クルマのある生活を現場で観てきたコラムニスト。愛車は2台のランドクルーザーに初代ミライを加え、FCEVに乗りながらモビリティーの未来を模索している。自身が日々、モビリティーを体感しながら思ったことを綴るコラム。
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