【道にまつわる珍百景】メロディーラインは本当に聴こえる?確かめてみよう!in群馬
「メロディーライン(地域によってメロディーロードとも呼ばれる)」を走行したことはあるだろうか。車が走行すると、道路がメロディーを奏で曲が聴こえるというもの。全国におよそ30カ所存在し、そのうち群馬県内にはなんと10カ所もある。
設置の目的は?どんな曲が聴ける?どこにある?周辺はどんな風景?など、メロディーラインにまつわるあれこれを現地レポート!実際にどんなふうに聴こえるのかムービーでもお伝えする。
メロディーラインってどんな仕組み?
路面に溝が刻まれた道路の上を、車が一定の速度で走行することにより、走行音が溝の中で反響し音が出る「音響道路」の技術を用いている。路面で連続して発生する音が、車室内に反響して運転者や同乗者にメロディーとして聴こえる。
- 溝と溝との間隔が狭いと高音、間隔が広いと低音が出る仕組み。
- エンジンノイズをなるべく回避する狙いでHVプリウスにて出動。
メロディーライン区間を、一定の速度を維持し走行するのは意外に難しい。不安定な走行をすると音程が変わり、まるでオンチの人が歌っているようだ。
なぜメロディーラインが設置されているの?
群馬県では以下の目的で設置している。
- 【スピード抑制】
- 制限速度を守って走らないと曲として聞こえないので、自ずとスピードダウン。
- 【居眠り防止】
- メロディーラインがあることを知らずに道路を走っていると、突然路面から音楽が流れるので、えっナニコレ?とちょっとビックリ!
- 【観光地を演出】
- その地域にちなんだ選曲で、観光地をイメージアップ。
- 取材したメロディーラインには、数100m手前の予告地点、スタート地点、ゴール地点に、このような看板があった。予告の看板にはメロディーを楽しむことができる走行速度(=制限速度)が示されているので、「はじまり」の看板の前までにスピード調整をしよう。
都道府県別でメロディーラインの数が最多の群馬県!選曲にもそれぞれ理由があった
メロディーラインは全国にあるが、群馬県は数が最も多い。舗装の補修とあわせてメロディーラインを設置し、現在10カ所もある。最初にできたのは2008年に高崎市に設置された「静かな湖畔」のメロディーライン、一番新しいのは2012年に上野村に設置された「うれしいひなまつり」のメロディーラインだ。2011年の観光促進キャンペーン実施により、数年で10カ所の設置に至ったという。
メロディーラインの「選曲」にも理由がある。例えば、「静かな湖畔」のようなロケーションにまつわるものだったり、曲の作詞者や作曲者の出身地だったり。地域にちなんだ由来を知りながらメロディーラインをドライブするのも楽しい。
3つのメロディーラインを走ってみた
群馬県メロディーラインのなかでも、特徴的な3つをご紹介。取材日は2月末、天候は曇り。冬季は降雪により通行止めになる場合もあるため、春~秋のシーズンがドライブにおすすめ。
【1】高崎市榛名湖にあるメロディーライン ♪曲名「静かな湖畔」
- 榛名湖の近くの静かな場所に「静かな湖畔」の曲がマッチ♪
場所は渋川松井田線(県道33号)を伊香保温泉から榛名山に向かう途中。高崎市榛名湖町を渋川市境から車で走っていると榛名湖の手前に設置された路面から「静かな湖畔」の曲が流れる。榛名湖があるこの地にぴったりの選曲だ。
- DATA
- 場所:県道33号渋川松井田線
- 長さ:約290m
- 曲名:「静かな湖畔」
- 推奨速度(制限速度):時速50km
- 行き方:主要地方道渋川松井田線を伊香保温泉から榛名山へ向かい、榛名湖の手前にある。高崎市に入ったらすぐ先の直線道路にあり、走りやすい。
実際に聴いてみよう
本当に静かなロケーションで取材時には対向車も少なかったため、あたりにメロディー音が広がっていく感覚だ。。走行の様子を車内、および車外から撮影。
- メロディーライン(群馬県 高崎市)「静かな湖畔」 ※50秒あたりからスタート
- メロディーライン(群馬県 高崎市)「静かな湖畔」車外での聴こえ方
県道33号
周辺のおすすめスポット
湖畔の宿記念公園
メロディーラインの曲名のとおり、静かな湖畔の情緒が漂う公園。榛名湖をモデルとした高峰三枝子の名曲「湖畔の宿」にちなんで名づけられた。
- 榛名湖を望む、まさに湖畔のイメージにピッタリの公園。
- 住所:群馬県高崎市榛名湖町849
- TEL:027-374-5111(榛名観光協会)
- アクセス:関越自動車道高崎ICから車で約50分
- 駐車場:あり
菓子処 おゝみや
マスコミでもたびたび紹介されている、日本一固いというかりんとうまんじゅうが人気。ほかにも生クリーム、餡、お餅の三層からなる生クリーム大福や開運ダルマをモチーフにした縁起のいい焼きチョコだるまなどが揃う。
- (左)群馬の本店がこちら。(右)さくっと固いかりんとう風味の皮で包んだ「かりんとうまんじゅう」は1個100円(税込)から。
- 住所:群馬県高崎市下室田町1068
- TEL:027-374-0075
- 定休日:水曜(ほかに臨時定休日あり)
- アクセス:関越自動車道高崎ICから車で約40分
- 駐車場:あり
- URL:http://www.wagashi-omiya.jp/
【2】桐生市~みどり市にあるメロディーライン ♪曲名「うさぎとかめ」
国道122号を桐生市からみどり市方面へ向かう途中に、童謡「うさぎとかめ」が聞こえてくるメロディーラインがある。この曲の作詞者・石原和三郎氏が、みどり市出身の童謡作詞家であることにちなんで選曲された。
- 「うさぎとかめ」の曲のように、制限速度でゆっくり走ろう。
- DATA
- 場所:国道122号線(東国文化歴史街道)
- 長さ:約400m
- 曲名:「うさぎとかめ」
- 推奨速度(制限速度):時速50km
- 行き方:桐生市からみどり市方面へ国道122号を走る。「道の駅くろほね・やまびこ」から童謡ふるさと館へ向かう途中の市境にメロディーラインはあり、曲が終わる地点「小黒川橋」から、みどり市に入る。
実際に聴いてみよう
メロディーラインがある場所は一部がカーブになっている区間なので、一定の速度をキープするのが難しいかも?対向車に注意しよう。
- メロディーライン(群馬県 桐生市~みどり市)「うさぎとかめ」
国道122号線
周辺のおすすめスポット
童謡ふるさと館
「うさぎとかめ」の作詞で知られるみどり市東町花輪出身の作詞家、石原和三郎氏の功績を称える記念館。「童謡ホール」(常設展示室)や「ファミリーホール」(多目的ホール)、喫茶「にんじんカフェ」などがある。
- (左)石原和三郎は1865年(慶応元年)生まれ、1922年(大正11年)没。旧花輪小学校(氏が卒業し校長も務めた)記念館にも資料が展示されている。(右上)1989年5月に開館した、みどり市の「童謡ふるさと館」。(右下)常設展示室では「うさぎとかめ」のほか、「金太郎」など多くの童謡を作詞した石原氏にまつわる資料や童謡のパネルを展示。
- 住所:群馬県みどり市東町座間367-1
- TEL:0277-97-3008
- 営業時間:9~17時(入館は~16時30分)
- 休館日:月曜(祝日の場合は営業、翌日休館)、冬期(12月1日~2月末日)
- 入館料:中学生以上200円、4歳以上小学生以下100円
- アクセス:北関東自動車道太田藪塚ICから車で約60分
- 駐車場:あり
かみ村六庵(かみむらろくあん)
メロディーラインがある国道122号線沿いにある人気店。看板メニューは、秘伝の製法で季節によって柚子などを練りこむ「変わりうどん」。
- (上)写真は、「変わりうどんとそばの合もり」800円。(左下)昼どきは込み合うことが多いので、できれば時間をずらして行こう。(右下)木の温かみが漂う落ち着いた店内で、ゆっくり食事できる。
- 住所:群馬県みどり市大間々町上神梅307-1
- TEL:0277-73-0278
- 営業時間:15~18時(土・日曜は~18時30分)
- 定休日:月曜
- アクセス:北関東自動車道太田藪塚ICから車で約40分
- 駐車場:あり
【3】前橋市にあるメロディーライン ♪曲名「チューリップ」
前橋市内、国道353号線にあるメロディーラインは「チューリップ」の曲が流れる。この曲を作曲した井上武士氏の出身が芳賀村(現在の前橋市)であったことにより選曲された。近くの赤城山裾野には「ぐんまフラワーパーク」があり、チューリップが見頃となる4月に「チューリップフェスタ」が開催される。
-
- 「メロディーラインはじまり」の看板がちょっとわかりにくいかも?
-
- DATA
- 場所:国道353号(東国文化歴史街道)
- 長さ:約280m
- 曲名:「チューリップ」
- 推奨速度(制限速度):時速40km
- 行き方:「道の駅ふじみ」から国道353号線を「道の駅ぐりーんふらわー牧場・大胡」方面へ向かう。「畜産試験場」交差点を過ぎ、S字カーブを過ぎたあたりから、メロディーラインの予告看板が現れる。
実際に聴いてみよう
こちらのメロディーラインの制限速度は時速40km。比較的交通量が多い場所なので安全運転しよう。
- メロディーライン( 群馬県 前橋市)「チューリップ」
国道353号
周辺のおすすめスポット
ぐんまフラワーパーク
赤城山の南面に広がる花の楽園。2019年4月6日(土)~29日(月・祝)まで「チューリップフェスタ」が開催される。
- 早咲きから遅咲きまで、約70種20万球のチューリップが咲き誇る。奥に見えるのは高さ18mの展望台、パークタワー。
- 住所:群馬県前橋市柏倉町2471-7
- TEL:0120-1187-38/027-283-8189
- 営業時間:9~17時(11~2月は~16時) ※夜間特別イベント開催時は閉園時刻~21時、入園は閉園の30分前まで
- 定休日:無休
- 入園料:700円(4月1日~6月30日)それ以外の期間は600円、中学生以下無料
- アクセス:北関東自動車道伊勢崎ICから車で約30分
- 駐車場:あり
- URL:http://www.flower-park.jp/
道の駅「ふじみ」
前橋市街の夜景を望める露天風呂が好評の「富士見温泉見晴らしの湯ふれあい館」や、地元農産物を販売する「風ラインふじみ農産物直売所」、家族連れでにぎわう「ふれあい公園」がある。
- (上)露天風呂で温まった体を赤城おろしで冷ませば、気分も最高!写真は女性露天風呂。(左下)日本百名山のひとつ、赤城山の観光ルート近くに位置する道の駅。赤城山観光行き帰りの立ち寄りスポットとしてもおすすめ。(右下)露天風呂から見る前橋市街の夜景は美しいと評判だ。温泉と夜景の両方を楽しめる。
- 住所:群馬県前橋市富士見町石井1569-1
- TEL:027-230-5555
- 営業時間:10~21時(最終入館は~20時30分、食堂L.O.20時)
- 定休日:木曜(祝日の場合は営業)
- 料金:中学生以上510円、3歳~小学生250円、65歳以上300円
- アクセス:関越自動車道赤城ICから車で約20分
- 駐車場:あり
- URL:http://www.fujimi-onsen.com/
まだまだあるよ!群馬のメロディーライン
今回、現地取材した3カ所以外にも、走ってみたい&聴いてみたいメロディーロードがまだまだある。それぞれのロケーションに合った曲が流れるので、走り比べてみるのも楽しい。
- ■中之条町/国道353号 「いつも何度でも」
- 場所:中之条町の四万温泉に向かう国道353号に設置
- 選曲理由: 映画「千と千尋の神隠し」の主題歌が「いつも何度でも」。四万温泉には映画に出てくる油屋のイメージモデルの一つといわれる老舗旅館「積善館」があることからこの曲が選ばれた。
- ■ 高山村/主要地方道渋川下新田線 「星に願いを」
- 場所:県立ぐんま天文台に向かう主要地方道渋川下新田線に設置
- 選曲理由: 県立ぐんま天文台があり、「光環境条例」を制定してきれいな星空を守る高山村にちなんで「星に願いを」のメロディーラインを設置。映画「ピノキオ」の主題歌で知られる、美しい旋律が印象的な曲。
- ■ みなかみ町/国道291号 「四季の歌」
- 場所:湯檜曽公園から谷川岳に向かう国道291号線
- 選曲理由: 夏はラフティング、冬はスキー。水上温泉をはじめとする温泉郷や、谷川岳など雄大な自然に恵まれたみなかみ町。四季折々の情緒あふれる町にふさわしいというのが、この歌が選ばれた理由。
- ■ 神流町/国道462号 「こいのぼり」
- 場所:神流川沿いに走る国道462号に設置
- 選曲理由: 町を流れる神流川と西上州の山々が織りなす景観が美し神流町。毎年5月の「鯉のぼり祭り」では、神流川の上空を800匹もの鯉のぼりが悠然と泳ぐ光景が全国的にも有名で、ぴったりの選曲。
- ■ 嬬恋村/主要地方道東御嬬恋線 「雪山讃歌」
- 場所:旧鹿沢温泉から新鹿沢温泉へ向かう主要地方道東御嬬恋線に設置
- 選曲理由:「雪山讃歌」の作詞は 第一次南極越冬隊長の探検家、西堀栄三郎氏。京大の学生たちとスキー合宿で訪れた鹿沢温泉で、山岳部の歌を作ろうとPercy Montross作曲の「クレメンタイン」の曲に合わせて詞をつけた。
- ■ 草津町/国道292号 「正調草津節」
- 場所:国道292号を大津から草津方面へ進み道の駅手前500mに設置
- 選曲理由: 草津といえばもちろん草津温泉。民謡「草津節」は’’草津よいとこ一度はおいで(ハドッコイショ)お湯の中にもコリャ花が咲くョ(チョイナチョイナ)”と、木の板で温泉をかき回す「湯もみ唄」としておなじみ。
- ■ 上野村/国道299号 「うれしいひなまつり」
- 場所:上野村の国道299号に設置
- 選曲理由: 上野村の乙父地区に伝わるひなまつりの風習「おひながゆ」にちなんだ選曲。おひながゆとは、神流川の河川敷に石を積み上げてお城を作り、おひな様を飾って鍋で炊いたおかゆを差し上げるというもの。
※記事内のデータは2019年3月現在のものです。掲載後に料金、営業時間、定休日、メニュー等の内容が変更になることや、臨時休業等で利用できない場合があります。
また、各種データを含めた掲載内容の正確性には万全を期しておりますが、おでかけの際には電話等で事前に確認・予約されることをお勧めいたします。
[ガズー編集部]
あわせて読みたい「道」の記事
道にまつわる珍百景
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-
-
-
楽しく学べる「防災ファミリーフェス」を茨城県の全トヨタディーラーが運営する「茨城ワクドキクラブ」が開催
2024.11.21
-
最新ニュース
-
-
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
2024.11.21
-
-
-
軍用ジープが最新モデルで蘇る…ドアなし&オリーブドラブが渋い「ラングラー ウィリス'41」発表
2024.11.21
-
-
-
EV好調のシトロエン『C3』新型、欧州カーオブザイヤー2025最終選考に
2024.11.21
-
-
-
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
2024.11.21
-
-
-
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
2024.11.21
-
-
-
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
2024.11.21
-