ターセル/コルサ(1978) トヨタが未来に挑戦したクルマたち

トヨタの車両開発史上、「お客様の期待を超えたクルマづくり」に挑み、誕生した個性的なデザインや機能を持ったクルマたち。1970年代から1990年までの中から、そんなクルマを紹介します。

今へと続く“初物”

一部の例外を除き、今日では小型車の駆動方式といえばFF(前輪駆動)だが、1970年代の日本では、まだFFは少数派だった。トヨタは古く1950年代からFFの研究開発を重ねてきたが、特有の操縦性と信頼性の問題から製品化については慎重な構えをとっていた。そして1978年、満を持して登場したトヨタ初のFF車がターセル/コルサ。スターレットとカローラの間に位置する双子車である。

FF車の中では、既にエンジン横置き方式が主流となりつつあったが、ターセル/コルサが選んだのは、縦置き方式。FR(後輪駆動)のカローラとエンジンを共用でき、自動変速機の装着が容易というのが、採用の理由だった。もう一つの特徴は、2クラス上のカリーナと同サイズという超ロングホイールベース設計。これによって室内空間、とりわけ後席レッグスペースの広さは群を抜いていた。

そして話題を呼んだのが、トップアイドルの山口百恵をコルサのイメージキャラクターに起用し、大胆にも「百恵の、赤い靴。」とうたったセールスキャンペーン。「百恵セレクション」と名付けた限定車まで発売した手法は、以後、多くのメーカーが採用した。

ターセル/コルサが誕生した年 1978年

・新東京国際空港(成田空港)が開港
・トヨタ自動車 衣浦工場が操業を開始

ターセル3ドアSの価格 90.4万円(東京)
当時の大卒の初任給 約10.6万円

[ガズー編集部]