【連載全10話】第5話 フォルクスワーゲン・ゴルフR32・・・小さなボディーに大きなエンジンを積んだクルマ
エネルギー効率を追求しダウンサイジングが進む自動車業界ですが、過去を振り返れば、小さな車体に不釣り合いなほどの大排気量・高出力エンジンを搭載したクルマもありました。注目すべき名車をピックアップし、週替わりで紹介します。
フォルクスワーゲン・ゴルフR32
1997年に3度目のフルモデルチェンジを受けて4代目、通称ゴルフIVとなったフォルクスワーゲン・ゴルフ。3ドア/5ドアハッチバックボディーは先代よりひと回り大きくなり、全幅は1735mmと1.7mを超えて日本では3ナンバーサイズとなったが、それでも全長は4155mmと依然としてコンパクトなハッチバックであることに変わりはなかった。だが2002年に追加されたR32は、ゴルフのみならず既存のCセグメントのハッチバックの範疇(はんちゅう)におさまらないモデルだった。
ボディーはフロントのエアダムバンパーにサイドスカート、リアスポイラーなどエアロパーツをまとい、リアエンドには左右2本出しのレムス社製大口径マフラーがのぞく。足まわりは、リアサスペンションをトーションビームからマルチリンクに変更してローダウンし、OZ製アルミホイールに225/40ZR18タイヤを装着していた。
そうしたスポーティーないでたちで、既存のグレードでは最大でも2リッターの直4 DOHCユニットが収まっていたエンジンルームには、フラッグシップのフェートンのベーシックグレードから移植した最高出力241PS、最大トルク32.6kgf・mを発生する3.2リッターの狭角V6 SOHCエンジンが鎮座した。ドライブトレインは6段MTとフルタイム4WDの組み合わせで、最高速度247km/h、0-100km/h加速 6.6秒というパフォーマンスを発揮した。
性能だけを見ればホットハッチを超えたモンスターハッチと呼びたいところだが、オートエアコンや本革シートなど装備も充実しており、フォルクスワーゲンではゴルフの最上位となるプレミアムなモデルと位置づけられていた。初代に設定されたGTIでホットハッチの先鞭(せんべん)をつけたゴルフだったが、R32によって今度はプレミアムハッチという新たな市場を開拓したのである。
[GAZOO編集部]
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