【連載全16話】第1話 スズキ スズライトSF・・・日本生まれのFF車特集


現在、エンジンを搭載するクルマではFF(フロントエンジン・フロントドライブ)という駆動方式が主流です。では、これまでどんなモデルがあったでしょうか? 自動車史に名を残すFFの日本車を週替わりで紹介します。

スズキ スズライトSF

日本初の市販FF車は、戦前の1930年代に約130台がつくられたという小型乗用車の筑波号。現在につながる戦後のパイオニアが、スズキがバイクモーター(自転車用補助エンジン)によって自動車業界に進出してからわずか3年後の1955年にリリースしたスズライトSFである。車名はスズキの“スズ”+光明を意味する“ライト(light)”の造語、SFはSuzuki Four wheel carの略で、スズキ初の四輪車であると同時に現存する自動車メーカーの製品では最古の軽自動車となる。

FFを採用した理由は、研究車両だったドイツの小型車であるロイトLP400を手本にしたからといわれている。前後ともダブルウイッシュボーン/コイルの四輪独立懸架を備えたシャシーに、やはりロイトに倣った最高出力15.1PSを発生する空冷2ストローク並列2気筒359ccエンジンを搭載し、3段MTを介して前輪を駆動。最高速度はセダンのSSで85km/hとうたわれた。

ボディーは3ボックスセダンのSS(写真)、横開きのテールゲートを持つハッチバック風だが実は商用登録のライトバンであるSL、ピックアップのSPの3種で、遅れてデリバリーバンのSDも加えられた。だが軽とはいえSSで42万円という価格(同年デビューの初代トヨペット・クラウンRSは96万5000円)の高さもあって販売は伸び悩み、4種類のつくり分けも合理的ではなかったことから、1957年には需要の多かったバンのSLのみに絞られた。

[GAZOO編集部]

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