【連載全9話】第9話日産スカイライン(ダイレクトアダプティブステアリング)・・・日本発の技術やアイデアのあるクルマ

工業製品として時代の先端を行く自動車は、さまざまな技術を生かしてつくられています。今回は、なかでも日本発祥のアイデアやテクノロジーが注がれた、注目すべき日本車を週替わりで紹介します。

日産スカイライン(ダイレクトアダプティブステアリング)

2013年のフルモデルチェンジで登場した、1957年の初代から数えて13代目にして現行モデルとなるスカイライン(型式名V37)。北米市場ではインフィニティQ50を名乗る、エンジンを直6からV6に転換したG35以来のコンセプトを受け継ぐアッパーミドルサルーンである。かつてのようにスポーティーな雰囲気を前面に打ち出すことはなかったが、量産車としては世界初となる機構が採用されていた。

それが何かといえば、ダイレクトアダプティブステアリング。従来のステアリングシャフトに代えて電気信号を介して前輪を操舵する、いわゆるステア・バイ・ワイヤである。ステアリングホイールとタイヤとの機械的な締結を断つことで、不整路面によりステアリングがとられたり、不快な振動をステアリングホイールに伝えることなく、応答性に優れたシャープなハンドリングと高い直進安定性を実現したとうたわれていた。

ただしフェイルセーフ(非常時の安全性確保)のために、一般的なステアリング機構のようにステアリングシャフトは残されていた。3つのECUがシステムを常時相互監視しており、ダイレクトアダプティブステアリングが機能しない信号を検出すると、瞬時にクラッチが作動してステアリングシャフトを物理的に締結。バックアップモードに移行して、万が一の際にも安全な走行を可能としていた。

[GAZOO編集部]

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