BMWイセッタ・・・リアエンジン・リアドライブの名車特集
今回ピックアップするのは、いまやすっかり少なくなった「エンジンを一番後ろに積むクルマ」。軽自動車からスポーツカーまで、代表的なリアエンジン・リアドライブのモデルを紹介します。
BMWイセッタ
戦後のヨーロッパに雨後のたけのこのごとく生まれ、庶民の足として活躍した超小型車。マイクロカー、あるいはその姿からバブルカーなどと呼ばれたその種のモデルのうち、最も成功した例が1955年にデビューしたBMWイセッタである。
イタリアのイソが開発した三輪乗用車のイセッタをBMWがライセンス生産したものだが、本家よりもはるかに生産台数が多く知名度も高いため、BMW版がオリジナルと思われることも少なくない。
全長2.3m未満のフレーム付きボディーの最大の特徴は、ステアリングホイールおよびシャフトを付けたまま、まるで冷蔵庫の扉のように開く車体前面の1枚ドア。イソがもともと冷蔵庫のメーカーだったことが関係しているのかもしれない。
リアに積まれたパワーユニットは、オリジナルの空冷2ストローク236cc単気筒に代えて、BMWの二輪車用の空冷4ストローク245cc単気筒を採用。1956年にはバブルウィンドウと呼ばれたオリジナルのボディースタイルから、生産性を高めるべくパネル構成を単純化して、スライド式サイドウィンドウを備えた仕様に移行し、エンジンを298ccに増強したモデルも加わった。1962年までに16万台以上が造られ、イセッタとそれから発展した小型車のほかは大型高級車しか持たなかったBMWの屋台骨を支えた。
[ガズー編集部]







