【連載全12話】第1話 メルセデス・ベンツ300SL・・・個性的なドアのクルマ特集

「前開き」に「跳ね上げ式」、なかには「上下スライド式」なんてクルマも……。今回は、ドアの開閉方式が個性のひとつとなっている世界の名車を週替わりで紹介します。

メルセデス・ベンツ300SL

1952年、メルセデスが戦後モータースポーツに復帰するのに際して選んだのがスポーツカーレースで、そのためにつくられたのが300SLプロトタイプ(W194)だ。SLとはドイツ語で「Sport Leicht」、すなわち軽量スポーツカーの略で、細い鋼管によるスペースフレームにアルミ製のボディーをかぶせ、サスペンションやパワーユニットは基本的に当時の市販車から流用していた。

300SLプロトタイプが1952年のルマン24時間での1-2フィニッシュなど好成績を挙げた後、1954年に市販型(W198)が登場した。ボンネットとトランクリッド、ドアを除いてボディーパネルはスチール製となったが、基本構造はプロトタイプのままで、ルーフにヒンジを持ち上方に開くドアも継承された。これはサイドシル部分に鋼管スペースフレームが通っているため、通常の横開きドアが設けられないためだった。市販車としては世界初採用となるこの形式のドアを、左右同時に開けるとカモメが翼を広げたような姿になることから、以後“ガルウイング”と呼ぶようになった。

パワーユニットは既存のモデルから流用した3リッター直6 SOHCだが、機械式インジェクションによってガソリンを吸気ポートではなく燃焼室に直接噴射する方式を採用。この世界初のガソリン直噴エンジンは、ベースユニットの最高出力125PSに対して215PSを発生。4段MTを介しての最高速度は260km/hに達するといわれ、文句なしに当時世界最速のスーパースポーツだった。

約1400台を生産したところで、1957年にはボディーをクーペからロードスターに変更。フレームに手を加えて極力サイドシルを低め、通常の横開きドアを設けたロードスターは、車重の増加もあって性格的にもクーペよりマイルド化。スーパースポーツから、今日まで続くSLの系譜の元祖ともいうべき高級スポーツカーとなった。

[GAZOO編集部]

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