【連載全12話】第2話 イソ・イセッタ/BMWイセッタ・・・個性的なドアのクルマ特集

「前開き」に「跳ね上げ式」、なかには「上下スライド式」なんてクルマも……。今回は、ドアの開閉方式が個性のひとつとなっている世界の名車を週替わりで紹介します。

イソ・イセッタ/BMWイセッタ

第2次世界大戦後の復興期の欧州諸国で、庶民の足として普及したのがまずスクーター。次いで登場したのがバブルカー、マイクロカー、キャビンスクーターなどと呼ばれる超小型車だった。その代表的なモデルのひとつがイセッタで、開発したのはイタリアのイソ社。後に大型高級スポーツカーも手がける同社はもともと冷蔵庫をつくっていたが、戦後にスクーター製造に転じて成功し、続いて1953年に送り出したのがイセッタである。

前身が冷蔵庫メーカーだったことから思いついたのか、最大の特徴が前開きのドア。大人ふたりと子供ひとりが乗れる広さを持つキャビンの前面全体がドアになっており、ダッシュボードやステアリングホイールを備えたまま大きく開く。四輪だが、ごく狭いトレッドを持つ後輪の前に搭載された空冷2ストローク236cc、ダブルピストンの単気筒(シリンダーとピストンは2本ずつで燃焼室はひとつ)という独特なエンジンで後輪を駆動した。

そんな力作にもかかわらずイタリア国内での販売台数は1500台程度にすぎなかったが、イソは欧州諸国に製造権を販売した。そのうち最も成功したのが、ドイツで1955年に登場したBMWイセッタである。同社の二輪用の空冷4ストローク単気筒OHV 245cc/300ccエンジンを搭載したBMW版は、二輪で鍛えたエンジンの性能と信頼性の高さ、つくりのよさで人気を博す。1957年には後輪を通常の2輪とし、ホイールベースを延長して右側にリアドアを設け4人乗りとしたボディーに、582ccの空冷フラットツインを積んだ拡大改良版の600(写真)も加えられた。BMWイセッタは1962年までに約16万台がつくられ、四輪は少量生産の高級車が中心で財政が悪化していた同社の屋台骨を支えた。

[GAZOO編集部]

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