【連載全13話】第1話 フェラーリ275GTB・・・12気筒エンジン搭載の名車特集

電動化の波が押し寄せるなか、その存在が危ぶまれる大排気量の多気筒モデル。今月は、その象徴ともいえる世界の12気筒エンジン搭載車をピックアップ。週替わりで紹介します。

フェラーリ・275GTB

1947年につくられた第1作となるレーシングスポーツ、125SからV型12気筒エンジンを採用していたフェラーリ。車名の数字は1気筒あたりの排気量で、すなわち125Sはわずか1.5リッターだった。その後1970年代半ばまでは、ロードカーに関しては12気筒エンジン搭載車のみにフェラーリの名をあたえていた。

1964年に登場した275GTBは成功した250シリーズの後継モデルとなる。まだレーシングスポーツとロードスポーツ/GTの基本設計が共通だった250に対して、時代的に純レーシングカーはミドシップに移行したがために、275GTBはロードスポーツ/GT専用設計となった最初のモデルといえる。

伝統にしたがってピニンファリーナがデザインしてスカリエッティが製作したボディーの、ロングノーズにおさまるパワーユニットは、275cc×12=3.3リッターの60度V型12気筒SOHC。最高出力280PSを発生し、フェラーリとしては初めてデフの直前に配置したトランスアクスル方式の5段MTを介しての公称最高速度は250km/h。トランスアクスルの採用に伴い、リアサスペンションもそれまでの半楕円(だえん)リーフでつった固定軸からダブルウイッシュボーンの独立式となってロードホールディング性も向上した。

1966年にはパワーユニットがフェラーリのロードカーとしては初めてDOHC化され、同時に潤滑方式はこれまた初めてドライサンプを採用し、最高出力は300PSに向上。名称は275GTB/4(4カムシャフトの意味)となった。1968年、後継モデルとなる通称デイトナこと365GTB/4にバトンタッチした。

[GAZOO編集部]

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