【連載全13話】第5話 BMW 750i・・・12気筒エンジン搭載の名車特集

電動化の波が押し寄せるなか、その存在が危ぶまれる大排気量の多気筒モデル。今月は、その象徴ともいえる世界の12気筒エンジン搭載車をピックアップ。週替わりで紹介します。

BMW 750i

1986年にフルモデルチェンジして2代目となった、メルセデス・ベンツのSクラスに対抗するBMWのフラッグシップである7シリーズ(E32)。4ドアサルーンボディーは標準とロングホイールベース版の2種類が存在したが、後者でもSクラスの標準タイプとほぼ同じ全長5m超という、ライバルに対してはやや小ぶりなサイズで、Cd値(空気抵抗係数)0.32という優れた空力性能を誇っていた。

当初のパワーユニットは、シルキーシックスと呼ばれ滑らかさでは定評のあった3リッター/3.4リッター直列6気筒SOHC。翌1987年にBMW史上初にして、戦後のドイツ車では初めてというV型12気筒エンジン搭載の750i/750iLが追加された。V12ユニットは3シリーズに搭載されている2.5リッター直6 SOHCユニットを60度の挟み角で組み合わせた構成で、5リッターの排気量から最高出力300PS、最大トルク45.9kgf・mを発生。大柄なボディーをスポーティーに走らせる動力性能もさることながら、完全バランスが生む回転感覚は圧倒的にスムーズと称賛された。

これを見たメルセデスは、従来どおり直6とV8エンジン搭載で開発されていた次期Sクラス(W140)において、デビュー予定を遅らせてまで、V12エンジンを搭載すべく開発計画を変更した。なおBMWのV12ユニットは、その後6リッターのDOHC 4バルブ化を経て最終的に6.5リッターDOHCツインターボにまで進化し、2022年までラインナップされた。またBMWモータースポーツ社から最高出力627PSを発生する6.1リッターの自然吸気版がマクラーレンF1用に供給された。

[GAZOO編集部]

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