愛車はノーマル派!? カスタム派!? 超運転マニア安東弘樹の愛車ヘのこだわりと愛車をカスタムする意味~「愛車」徹底討論 Vol.2~
自動車業界にとって「100年に一度の大変革期」と言われる現在、そしてカーボンニュートラルへの対応や自動運転、ソフトウェアファーストなクルマ造りが進む未来において、愛車とはどうかかわっていくべきか。
そんな壮大なテーマを語り尽くす座談会企画の2回目は、フリーアナウンサーでありながら極度の運転好きが高じて日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考員にも名を連ねる、安東弘樹さんの愛車遍歴をお届けしましょう。
さらに、第1回で愛車遍歴を語っていただいた自動車研究家の山本シンヤさんとプロドライバーの谷口信輝選手も加わり、カスタム談義も繰り広げられましたよ。
安東さんが忘れられないクルマは、シティターボⅡとルポGTI
――安東さんお待たせしました。安東さんも相当なクルマ好きで、買ったクルマもかなりの台数ですよね? はじめて運転した車は?
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元TBSアナウンサーで、現在はフリーアナウンサーとして活躍する安東弘樹さん。クルマ好きレベルは一般水準を遥かに超えていて、クルマについて語り出すと暴走気味になるのはここだけの内緒。
安東:はじめて運転したのはジェミニです。
――一同:おおっ!
谷口:ジェミニが熱いね。
安東:まだFRの時代。それが初めての運転体験でしたね。
初めて買ったクルマは「シティターボⅡ」。通称「ブルドッグ」ですね。48万円の中古車を48回払いで。
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安東さんが初めて所有したクルマはシティターボⅡブルドッグ。これは当時の愛車ではなく、イベントで見かけた車両。
谷口:おおっ、初代シティ。でもブルドッグならオレの初体験より相手が若いな(笑)
安東:シティターボⅡ時代は峠も走っていましたね。ハチロクよりも遅かったけど、いろんなことを教えてくれましたね。初デートもこのクルマだったし。
当時は、このクルマが世の中で一番カッコいいと信じていましたよ。信号待ちでとなりにどんなクルマが並んでいようとも、「オレのクルマのほうがカッコいい」って思っていたくらいですから。
――人生を変えたクルマってどうでしょ?
安東:フォルクスワーゲンの「ルポGTI」ですね。今にして思えば、ボクはずっとターボⅡの幻影を追っていたんですよ。
ルポGTIは120psのテンロク(1.6Lエンジン)で速さは大したことない。だけど、車体の剛性感とか走りの骨太感がまあ凄かった。6MTでシフトフィールも最高。「このクルマ凄いなー」って衝撃でした。シートのつくりまでやたらとよかった。完全ノーマルなのに、高速巡行性能も凄かったですね。
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ルポGTIは安東さんを虜にした愛車の1台。(写真:フォルクスワーゲン)
――他には?
安東:アルピナを3台乗り継いだんですよ。最後にたどり着いたのはE46型時代の「B3 S」ですね。MTを用意した最後の世代です。どこまで運転しても楽しいので走る時間が増え、「日本一走行距離が多いアルピナ」とも言われました。
今にして思えば、クルマの良し悪しがまだよくわからないうちに乗っちゃったのが残念だったかな。あんなにいいクルマだったのに。直6のNAで素晴らしく気持ちいいエンジンですし、足の動きも素晴らしいですね。
このアルピナB3 Sはボクが手放してから18年くらい経っているのですが、次のオーナーさんがずっと乗ってくださっているんですよ。雑誌の企画で対面したのですが、綺麗なまま乗ってくれていて、本当に感謝です。
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アルピナにふさわしい男になるために、筋トレにも励んでいた安東さん
――安東さんは自分が所有したクルマを数えてみたことあります?
安東:谷口さんにはまったく届かない、46台でしたね。
――とはいえ世間一般的にはかなりの数ですね。いまの愛車は?
安東:「スズキ・ジムニー」と「ロータス・エリーゼ」、そして「レンジローバー・ヴェラール」ですね。
ヴェラールはディーゼルですよ。
――エリーゼはディーラーの担当者から「日本一走行距離が多いエリーゼ」と呼ばれていますよね。
谷口:そんなに運転が好きなんですか?
安東:そうなんです。どこへ行くにもクルマです。いまこの瞬間もクルマを運転したいし、アナウンサーの仕事だって運転しながらしたいくらい。とにかく運転が好きなんですよ。
サーキットを走るのも楽しいし、林道を走るのも楽しい。渋滞だって楽しい。
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「一生手放したくない」と安東さんが言うロータス・エリーゼ。
――安東さんはあまりチューニングしない派ですよね?
安東:今は違いますが、かつては日本のクルマって原石だったじゃないですか。そのまま乗ると欧州車には敵わない部分が多かったけれど、チューニングして磨けば光る。
ただ、原石ではあるんだけどそれを磨くお金も時間もなかったから、磨かなくても満足感が高い欧州車に走っちゃった部分はありますね。
ルポGTIなんて当時200万円もしなかったのに、ずば抜けた完成度でしたからね。
そういう意味では、チューニングして楽しんでいる人がうらやましいとずっと思っていました。
カスタマイズを楽しむ派? それともノーマル派?
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話が盛り上がりすぎて暴走気味。まるでクルマ好きのファミレス談義のよう。
――山本さんや谷口選手はカスタマイズを楽しむ派ですよね?
谷口:もちろんカスタム派です。
山本:たくさんやってきました。
安東:ボクは、いま乗っているジムニーが初めての本格カスタマイズですね。
――それはなぜですか?
安東:やりたいとは思いつつ、今まではクルマを買うだけでカツカツだったんですよ。だけどジムニーは軽でパワーが足りなくて、まずそこを何とかしたいと。林道を走るにはタイヤも本格オフロード用がいいし、車高も自分好みにしたい。
――目指す方向が出てきて、それにあわせてクルマを調整する感じですかね。
安東:まさにそうですね。
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これまで100台以上のクルマを所有したという谷口信輝選手
谷口:基本的に自動車メーカーは、老若男女問わず、場所を問わず、季節を問わず、だれが乗っても安心して乗れるようにストライクゾーンを広げているわけじゃないですか。
でも、ひとりのユーザーとしては、もっと自分に合った仕様にしていけばさらに気持ちよく使えたり、愛着が湧いたりしますよ。
ラーメン食べている時にコショウをかけたりするのと同じですよね。自分の好みにするのは悪いことじゃない。
――なるほど。
谷口:最近は自動車メーカーも想定ユーザーを絞ったクルマも発売したりするようになったけどね。「GR」とか「ルノースポール」とか。自動車メーカーはデパートとして、売れ筋だけじゃなくいろんな人の使い方にマッチするいろんな車があっていいと思うんです。
山本:ボクもいろいろ改造してきましたけど、最近思うのは自動車メーカーが「本当はこうしたい」と思うようなカスタムをしたいってこと。
自分がやったカスタムと同じ仕様をメーカーが出したら、「ボクのほうが早かった」って心の中でガッツポーズしている。
たぶんメーカーはボクのカスタマイズを参考にしたわけではないと思うけど(笑)。だから自己満足です。
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自動車研究家の山本シンヤさん
谷口:でも自動車メーカーも、アフターマーケットからインスピレーションすることもあるよね。
安東:たとえばハチロクだって、走り屋が好んで乗らなかったら名車にはなりませんでしたよね。漫画に取り上げられたりもしなかった。
それが今ではどうですか? 時代を作り、伝説となり、多くの人がリスペクトするクルマになった。そういう文化ってこれからもずっと大切にしたいと思うんです。
谷口:「頭文字D」の貢献は大きいね。何度も言うけど、ボクのほうが先ですが(笑)
(何のことを言っているのか分からないという人は、ぜひ第1弾をご覧ください)
まだまだ話は終わる気配はありません。なぜかといえば、この3名とも話すのが大好きで、しゃべり始めると終わらないから。というわけで、次回の第3弾「東京オートサロンや最近話題のクルマについて」に続きます。それにしても、このままだと座談会が終わらないうちに朝になっちゃいますってば。
(司会/まとめ:工藤貴宏 写真:堤晋一/安東弘樹/フォルクスワーゲン )
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