AW11型MR2、1/1プラモデル感覚で自作した“なんちゃってストラトス”

2017年12月10日、富士スピードウェイで開催された『TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL』。そのなかで開催されたオーナーズクラブミーティングには、今年もクルマ好きオーナーたちが思い思いの形で愛情を注ぎ込んだ350台以上の『愛車』たちが集まった。
ここでは、ミーティング参加車からピックアップした自慢の愛車と、そのヒストリーをご紹介!!

このクルマを見て「ランチア・ストラトス? でもちょっと違う?」と思った人は、おそらくラリーファンかスーパーカーブーム世代だろう。
たしかに、このクルマのオーナーである椎野さんも、子供の頃に訪れたスーパーカーブームの影響を受けてクルマ好きとなり、WRCのために作られたホモロゲーションマシンであるストラトスに心を奪われたファンのひとり。
しかし、このクルマはストラトスではなく、トヨタが日本初の市販ミッドシップ車として発売したAW11型のMR2だ。

「免許取得当時に憧れていたけど高くて買えなかったMR2に、たまたま巡り合ってセカンドカーとして購入したのが1999年でした。乗り始めて少し経ったころから『大好きなストラトスに似ているな』と感じはじめ、衝動を抑えきれずにリヤテールまわりを自作したのがはじまりで、フロントバンパーやリヤゲート、ウイング、エアインテークなど、20年近くかけて“なんちゃってストラトス”として進化させ続けてきました」という。

驚くべきは、この大掛かりな外装モディファイを自作で、しかも自宅のベランダで行っているというところ。
「以前、キャンピングカーの設計をする仕事をしていて、その時に覚えたノウハウを注ぎ込んでFRPで製作しています。パートごとに交換すれば純正に戻せることや、ちゃんと普段使いできる設計にもこだわっています。休日にしか作業できないということもありますが、ひとつのパーツを作るのに1年くらいはかかってしまいますし、完成後に手直ししたり作り直したりすることもあります」とのコメントどおり、パーツの完成度の高さはシロウトの工作レベルとは次元が異なっている。
たしかに、おなじミッドシップだし、サイズ感や車重も近い。しかも、これまでにかかった改造費は20万円くらいというから、インパクトに対する費用対効果はかなりのもの!?
また、看板屋さんの仕事をしていた時期もあり、ステッカーデザインや貼り込み作業などはその時の知識が生かされているという。

特に秀逸なのがリヤハッチ一体型ルーバーで、このように開閉も普通に行える。一緒にミーティングに参加していたほかのMR2オーナーから「そろそろ売ってくれる気になった?」と市販化を望む声も上がるほどの仕上がりなのだ。
ちなみに、ルックスばかりに目がいってしまうが、ベースはスーパーチャージャー仕様のエンジンを搭載し、サスペンション特性の変更やリヤスタビライザー装着などが施された「Gリミテッド ADパッケージ」だ。

なんちゃって化の足掛かりとなったリヤまわり。ミラクラシックのリヤテールを流用して製作しているという。今後はリヤバンパーも製作して、さらにルックスをストラトスに近づけたいそうだ。

今回は外してきたけれどフロントにはライトポットも装着可能。バンパーには配線用の穴が空いているが「イベントに参加するのに穴だらけじゃはずかしいので、シールを貼って隠してきました」。どこにいってもお目立ち度は抜群で、有名テレビ番組でも取り上げられたことがあるという。

「免許取得後の若い頃はスプリンターGTやマークIIバン、ロードスターなどを乗り継ぎました。ジムカーナなどにもチャレンジしましたが、ドライバーとしての才能はなかったようで(笑)最近はイジる専門です」とオーナー。
インテリアは外装に比べてノーマル然としているが、ホーンボタンにはランチアのロゴマークに『TOYOTA』を組み合わせる細かな遊び心も。
MR2自体の性能ももちろん気にいっていて「ミッドシップならではの乗り味が楽しいですね。最近はメンテナンスの為の部品が出ないのが悩みです」

もともとセカンドカーとして購入したけれど、今では普段からこの1台で生活しているそうで、行く先々でストラトスと間違えられることも少なくないとか。
TGRF会場でも、足を止めて「これってランチアじゃない!?」と言いながらカメラのシャッターを押す観客を、少し離れたところからうれしそうに眺めていた。
きっとその頭の中では、次なる“なんちゃって”化の構想が広がっているに違いない。

<ガズー編集部>