16年間連れ添う1998年式日産・スカイライン25GT TURBO(ER34型)への熱いこだわり

去る7月16日に発表された新しい日産・スカイライン、記憶に新しい人も多いはずだ。1957年の誕生から62年もの間、多くのファンを魅了し続けてきた名車のDNAは、これからも受け継がれていくと期待したい。

今回登場する42歳の男性オーナーも、スカイラインを心から愛するファンのひとりだ。愛車の日産・スカイライン25GT TURBO(ER34型)は、2003年に手に入れてから今年で16年目を迎えた。納車時のオドメーターはわずか2万1000キロだったが、現在は12万キロを刻んでいるという。まずはオーナーに「スカイラインの魅力」について尋ねてみた。

「ひとことでは言えないですが、4灯の丸テールは魅力ですね。このデザインがあるからこそスカイラインだと思います。そして直6のRBエンジン。歴代モデルが受け継いできたそれぞれのエンジンに魅力を感じます」

日産・スカイライン(ER34型/以下、25GT TURBO)は、1998年5月にシリーズ10代目のスカイラインとして登場した。セダンとクーペがラインアップされていて、オーナーの25GT TURBOは1998年式の2ドアクーペだ。ボディサイズは全長×全幅×全高:4580×1725×1340mm。搭載される2500ccの直列6気筒DOHCエンジン「RB25DET」は進化した「NEOストレート6」となり、最高出力280馬力を誇る。駆動方式はFRだ。

オーナーの愛車遍歴は、ほぼ「スカイラインひとすじ」と言ってもいいかもしれない。2000年から2003年まではR33型スカイライン。2003年から現在は25GT TURBO(R34型スカイライン)。そして、2017年からセカンドカーとしてスズキ・ツインを同時所有している。まずは愛車遍歴から、オーナーの人物像にせまってみたい。

「私が初めての愛車であるR33型スカイラインを手に入れたのは、20代前半だった2000年でした。最初はS13型シルビアを検討していましたが、年式的な問題や経年劣化、サーキットなどで酷使された個体が多かった割に高値で取引がされていたため、手が届くクルマではありませんでした。そんなとき、R33型スカイラインに偶然出逢ったんです。2000ccでMTというマニアックな個体だったため、かなり割安で購入できました。このクルマは3年間大切に乗りました」

そして2003年、現在の25GT TURBOを手に入れるわけだが、どんな馴れ初めだったのだろうか?

「次に乗り換えるなら『2ドア・2500cc・ターボ・MT・サンルーフ付き・ボディは赤か青のR34スカイライン』という、具体的なイメージがありました。特にFRは、私のこだわりです。ハンドルの軽さと、スピードを出さなくても曲がるところが楽しいですね。ある日、私がR33を買った店に、イメージ通りのR34が入庫したと情報を得て問い合わせたところ、付き合いの長い担当者がわざわざ実車を取り寄せて持って来てくれたそうです。ボディカラーは黒でしたが、この色もなかなか良いと思いました。実際に試乗をしてみると、R33の延長上のような感覚でシフトフィールも違和感なく、気持ちよくドライブできたんです。今が手に入れるチャンスだと思いました」

実際に乗ってみて感じた、R33型とR34型の違いを尋ねてみた。

「同じRBエンジンなので、R33型との違いはそれほど感じません。でも、内装は洗練されました。シートの質感やデザインもR33型より向上していました。そして何より、走りも軽快になりましたね。私の乗っていたR33型は2000ccのNAだったので、2500ccのターボでは、なおさら速くなったのを感じましたし、ボディ剛性が向上したことも体感できました。当時のキャッチコピー『ボディは力だ』を実感しました」

この25GT TURBOを所有して、オーナー自身に変化はあったのだろうか。

「休日は必ず、25GT TURBOとドライブをするようになったことですね。2000年代初頭は、インターネットが急速に普及し始めた頃でもあったので、SNSで他のオーナーとの交流や情報交換もできるようになりました。自分でも、小規模ながら全国規模のオフ会を開くことができたんです。クルマという趣味の楽しさや世界が、とてもひろがりました。ですから、本当の意味で人生を変えた1台だと思います」

あらためてオーナーの25GT TURBOを眺めてみると、独特な迫力と存在感を醸し出している。続いて、オーナーこだわりのモディファイについて伺った。

「購入当初から装着されていたマフラーはNISMO製。バンパーの『豚鼻』はMine's製です。ラジエーター前のオイルクーラーダクトもNISMO製で、中古品を手に入れました」

BBS製のホイールで引き締められた足もとにも視線を注いでしまう。足回りのこだわりも伺ってみた。

「このホイールは、BBS製のF1レーシングホイール供給記念モデルなんです。タイヤは、友人がヨコハマタイヤに勤務している関係でネオバを選んでいますね。ブレーキキャリパー・ローターは、R34型GT-Rの部品を流用しています」

エンジンにも手が入っているようだ。

「エンジンは2500ccのオリジナルの良さを生かしています。それから、タービンが壊れたので、ショップオリジナルのものに交換しました。施工は、スカイラインの専門店に依頼しています。ER34スカイラインオーナーの間では有名なショップです」

愛車でもっとも気に入っているポイントは?

「内装をカーボン調にした点ですね。内装はシート・天井・ドアの内張の張り替えを行ったとき、同時に大好きなカーボン調に変えました。ダッシュボードカバーは市販されていますが、他はワンオフです。張り替えは、シートの張り替えをしてもらったショップに依頼しました。これからも可能な限り、内装のカーボン調化はすすめていきたいところです」

愛車でもっともこだわっているポイントは?

「『ER以上BNR未満』のスカイラインであるところです。BNR34(R34型GT-R)ではないグレードのなかで、こだわった1台という位置付けで考えています」

オーナーは、決してGT-Rの部品を手当たり次第に移植しているわけではない。GT-Rを敬愛しながら、あくまで「GT-Rに近いスカイラインを楽しむ」というスタイルなのだ。あえてGT-Rのエンブレムを装着しないのも、リスペクトの証なのだ。

最後に、今後愛車とどう接していきたいかを伺った。

「今後は、モディファイよりも、コンディションの維持へ力を注ぎたいです。16年の間に本当にさまざまなできごとがありましたが、思い出の詰まったクルマなので、可能な限り所有していたいですね。さまざまなクルマに乗り換えるのも楽しいと思いますが、私は、すぐ乗り換えるような気持ちでは購入しません。この先も、1台に永く乗ることを大切にしていきたいです」

25GT TURBOのような、価格が手頃でモディファイを楽しめて維持できるクルマは、この先登場することはないだろう。安易に「古き良き」という言葉は使いたくないが、25GT TURBOは良心的な価格、手を加える余地を残す「古き良き」時代の最後のクルマかもしれない。オーナーには、この貴重な1台と、この先も充実したカーライフを満喫してほしいと願いながら、取材を終えた。

(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)

[ガズー編集部]

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