【ハチマルミーティング2020 愛車紹介】ダートラ経験者の父が英才教育!? はじめての愛車にGTI-Rを選んだハタチの主張
『若者のクルマ離れ』という言葉をよく耳にするいっぽうで、コアでディープな愛車を選ぶ若者も存在する。そんなマニア好みのするパルサー・GTI-R(N14)を、はじめての愛車として選択したのが、現在20才になるオーナーさんだ。
1990年、日産がWRC参戦を目指して投入した4代目パルサーのハイパワーモデルがこのGTI-R。シルビアなどにも搭載されるSR20DETを心臓部に持ち、4連スロットルや大型インタークーラーを組み合わせた最高出力は230ps に設定。さらに駆動系はアテーサ4WDを採用し、コンパクトでハイパワーな設計から当初は強力なラリーウエポンとして注目を集めていた。外観もダクトを設けたボンネットや大型リアスポイラーを装備した専用パッケージングを投入し、当時は「ラリーの日産」復活を印象付ける1台だったのである。
そんなホットなモデルを、免許取得後すぐに愛車として選んだ理由は、ファミリアGT-Rなどで国内のダートライアル選手権に長らく出場していたという経歴の持ち主であるお父さんに、幼い頃からクルマの魅力を徹底的に刷り込まれたことにあるという。
さらにお母さんも、競技には出場していなかったもののシビックSIR(EG6)を愛車にしていたというから、モータースポーツへの理解は通常の家庭以上! 与えられるオモチャもそのスジのミニカーが大半だったというから、その後のクルマ選びに大きな影響を与えたのは間違いないだろう。
「免許が取れる年齢になってすぐに取得したんですが、その時はどんなクルマに乗ろうか決まっていなかったんです。でもディーラーの中古車として偶然このGTI-Rが売りに出ているのを見かけ、これだ!って即決しましたね。しかもワンオーナー&フルノーマルのGTI-Rなんて、この先探しても見つからないんじゃないですかね」
納車されてからは嬉しくなって走り回る日々を送ったのは当然のことながら、長く乗り続けられるように純正パーツの確保もスタート。同時にネットやSNSを通じてGTI-Rオーナーとコミュニケーションを計りながら、メンテナンス情報やパーツ情報なども収集しはじめたというオーナーさん。
しかも、フルオリジナルで保存を目指すのではなく、随所に好みのパーツを取り付けてカスタマイズも実行。「もともとはWRCを目指したクルマですから、ホイールはOZのラリーレーシングでマッドフラップの組み合わせは自分の中で絶対のアイテムですね。ちなみにこのマッドフラップは父が汎用のシートをカットしてNISSANのロゴをカッティングシートで入れてくれたものです。同様にリアガラスのNRS(日産ラリーサービス)のステッカーも、父が持っていたオリジナルを見本にレプリカを作ってもらったものです。だからどちらかといえば、父がカスタムを楽しんじゃっているって部分もありますが、自分もこんな仕様を目指していたので協力してくれて感謝していますよ」
WRC参戦を目指して設計されたGTI-Rの本質を考えれば、このスタイリングはまさに正統派。幼い頃からミニカーで親しんだフォルムを、父とともに1/1で再現を目指すあたりも、クルマ好きの血統を受け継いでいる証拠だろう。
また外装だけでなく、インテリアパーツもコンセプトに合わせて厳選。運転席にはレカロのバケットシートを装着し、サベルトの4点式ハーネスもプラス。さらにステアリングは今では絶版のMOMO・ラリー2をセット。大きなモデファイは行っていないものの、GTI-Rらしさを全面に押し出すこれらのアイテムは、納車されてすぐに自分で取り付けた思い出のパーツでもあるのだ。
こうした純正/社外パーツはネットを中心に探しているが、現在最も欲しいと思っているのがダッシュボード。現車では割れが目立ってしまっていることもあり、コンディションの良いものを日本だけでなく海外のサイトも日々チェックしているという。
「ダッシュボードは補修を兼ねてアルカンターラなんかで張り替えることも考えていますが、まずはノーマル部品を見つけることが先決ですね。ほかにも色々やってみたいカスタマイズはありますが、GTI-Rのオリジナルも好きなのでノーマルパーツを手に入れてすぐにノーマルに戻せるようになってからカスタマイズを進めていこうと思っています」
はじめて手に入れた愛車を長く乗り続けていきたい。その思いはカスタマイズ一辺倒ではなく、オリジナルを大切にしたいという気持ちにも表れているというわけだ。
GTI-Rオーナーになって1年半。ネオクラシックに分類されるクルマながら、基本的には普段の通勤や買い物といったデイリーユースでフル活用。はじめての愛車がGTI-Rだったからこそ父との会話も増えたし、ハチマルミーティングやGTI-Rオーナーの集まりなどのイベントにも出かけたりと、クルマを核にした楽しみはどんどん広がっているという。
オーナーにとってこのGTI-Rは、単なる移動手段としてだけでなく、日々の満足感を高め、さらに人との繋がりを楽しむための必須アイテムというわけだ。
(テキスト:渡辺大輔 / 写真:平野 陽)
[ガズー編集部]
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