突然のケガや病気!運転免許証はどうなる?

“足を骨折してしまった” “病院で統合失調症と診断された”、そんな場合、クルマを運転することはできる?運転免許証はどうなるの?ケガや病気のときにどうするべきか、万一に備えてきちんと確認しておきましょう。

運転できるケガとできないケガ

​​​ケガをしたときに運転してもいいかどうかについて、実は具体的な決まりはありません。「正常な運転ができるかどうか」がポイントになります。

注意が必要なのは、運悪くケガの治療中に更新期間になってしまった場合です。たとえ元通りになるケガであっても、更新時点の状態で判断されてしまいます。場合によっては運転免許証の更新ができなかったり、AT限定などの条件がついたりすることも。もしケガが更新期間中に治るようであれば、治ってから更新を行うといいでしょう。

またケガの治療が長引いて更新期限が過ぎてしまっても、期間によっては申請だけで更新が可能。ただし、期限切れの間は無免許扱いになるので、クルマの運転は絶対にしないでくださいね。​

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左足を骨折していると、AT車の運転も違反?
左足の骨折であれば、AT車を運転しても問題になることはまずありません。ただしMT車の場合、クラッチ操作が必要なため「正常な運転ができないおそれがある」とされることがあります。
左足骨折中に運転免許証を更新することも可能ですが、「左足に障害がある」と判断され、AT限定の条件がついてしまいます。

片目をケガして眼帯(もしくは失明)をしたら、運転はできない?
運転免許証の取得条件を満たしているかどうかが判断基準となるでしょう。片目の場合、視力に加えて視野角についての基準もあります。ただし大型、中型、けん引や第二種運転免許の場合は、片目での運転はできないのでご注意を。

耳が聞こえないと運転免許証はとれない?
現在では聴覚に障害があっても、運転免許証を取得することは可能です。ただし聴覚障害者のドライバーは聴覚障害者マークを表示し、視認性を高めるワイドミラーを装着することになっています。また周囲の車も幅寄せや割り込みなどが禁止されるほか、車間距離を十分にとるなど配慮が必要です。​

病気によって運転免許証が効力停止や取り消しに?

病気を抱えている場合、運転免許証が取れないことがあります。特に「一定の病気(※)」として定められた病気であれば、運転適性相談を受けてみましょう。

しかし病気の残遺症状があっても、運転に必要な能力が欠けていなければ、運転免許証の取り消しとはなりません。また一定期間(最長1年)は再発する恐れがない場合も同様です。診断によって再発の恐れがないと定められた期間が過ぎたら適性検査が行われ、個別に運転ができるかどうかを判断されます。
適性検査では、ドライブシミュレーターでの審査やアクセル・ハンドル・クラッチ操作、書面での運転性格検査​などを行います。

では具体的にどんな場合に運転免許証が取り消し、または効力停止になるのか、チェックしてみましょう!

取り消しになる場合
一定の病気で、医師が6ヵ月以内に安全な運転ができる状態に回復する見込みがないと判断した場合、運転免許証は取り消しとなります。

一定期間、効力停止になる場合
6ヵ月以内に安全な運転ができる状態になると見込まれる場合は、その間は運転免許証の効力停止となります。
運転免許証の効力停止中でも、回復して適性検査を受けるか医師の診断書を提出することで効力を戻すことができます。

上記の基本ルール以外にも病気によって様々な取り決めがあります。
例えば認知症。認知症の種類によっては、6ヵ月以内に回復の見込みがあると医師が判断した場合に一定期間効力が停止となりますが、即座に運転免許証が取り消しとなる場合もあります。​

さらに平成25年6月14日に改正された道路交通法では、運転免許証の取得・更新時に、一定の病気等の症状に関する「質問票」の提出義務が定められています。質問票の虚偽の記載をすると罰則があるので、正確に記載しましょう。
質問票の内容で直ぐに運転免許証の取り消し等にはなりません。たとえ質問票の記載事項を踏まえて運転免許証取り消しとなった場合でも、病状が回復して再取得できる状態になれば、試験の一部が免除されます。(取り消しとなった日から、3年以内に限る)

また、一定の病気等にあたると診断されたとき、診察した医師が任意で届け出する制度があり、運転免許証の効力が暫定停止になることがあります。

病気の種類、個人の病状によって一律に判断できないので、自分では運転できると思っていても、もしも病気の症状が出て事故を起こしてしまったら取り返しがつきません。必ず医師の診断を受け、警察の判断を仰ぎましょう。

※一定の病気とは、統合失調症、てんかん、そううつ病、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害、脳卒中、認知症など、安全な運転に支障のあるもの。​

  • 運転免許証の条件は更新時の状態で決まってしまいます。一度条件がついてしまうと限定解除の手間がかかってしまうので、一時的なケガであれば、治ってから更新に行くようにしましょう。
  • ちょうちょマークなどとも呼ばれる聴覚障害者マーク。規定の聴覚がない人が表示します。他にも肢体が不自由な人が表示する身体障害者マーク(四葉マーク)や、70歳以上の人が表示する高齢運転者マーク(もみじマーク)もあります。

運転免許証を返納する勇気を持とう!

ケガや病気だけでなく、様々な理由で運転に自信がなくなることがあるかもしれません。そんな場合には、運転免許証を自主返納することも考えてみましょう。

運転免許証を返納した人は、「運転経歴証明書」を申請するのがおすすめ。運転免許証がなくなると身分証明書に困るという人も少なくないはず。運転経歴証明書は、返納からさかのぼって5年間の運転に関する経歴を証明するもので、身分証明書としても使うことができます。運転免許証の返納申請を行った日から、5年以内であれば交付を受けられます。

また、身分証明書としてだけではなく、地域によって公共交通機関をはじめ、様々な施設やお店で割引などの特典が受けられるようになっています。申請手数料は1000円なので、どんな特典があるか確認をして、しっかり得しちゃいましょう。

  • 運転経歴証明書は銀行口座の開設や携帯電話の契約など、正式な身分証明書として使えるもの。運転免許証と同じ大きさで携帯にも便利なので、自主返納後には申請するのがおすすめです。
  • 運転免許証を返納して運転経歴証明書を取得すると、様々な特典があります。特に高齢者の場合には、高齢者運転免許自主返納ロゴマークのあるお店など、「高齢者運転免許自主返納サポート協議会」に加盟している団体や企業で様々なサービスが受けられます。​

ケガや病気を診断するのは医師ですが、運転免許証の取消・効力停止を決めるのはあくまでも警察。医師は診断書を作成するだけなので、大きなケガや一定の病気のときには警察で適性相談を受けましょう。また、たとえ病気が完治していても、自分のことを客観的に知り事故を起こさないようにするために、警察の適性検査を受けてくださいね。

[ガズー編集部]