変化を楽しみ、変化に暮らしを合わせてきた結果たどり着いた、トヨタ ハリアーという選択

人生には何度か“節目”とも言える出来事がある。真っ先に思い浮かぶのは進学や就職、転職など。結婚や出産などが大きな節目だった人も多いはずだ。

そして、暮らしも大きく変わるタイミングでは、生活に密接に関わるクルマの選び方もこれまでとは違ってくるもの。今回お会いした山田慎二さんも、節目節目で乗るクルマがガラッと変わっていた。

山田さんの初めての一台は、22歳で手に入れたスズキ ジムニー。18歳で進学のために新潟県湯沢町から上京。その後、一度新潟に戻ることになり、新潟での暮らしに必要を感じて手に入れた。再び上京した後も実家に置いておき、帰省したときに乗っていたという。

2台目は真っ赤なフランス車。これは結婚を機に手に入れた。久しぶりのクルマということもあり、購入前は友人にいろいろと相談。予算などを考えて国産ハッチバックを勧められたものの、デザインを気に入り、コミコミ60万円でプジョー 206を買うことにした。

「結婚して郊外に一軒家を購入しました。自宅の駐車場にはカッコいいクルマが停まっていた方が気分がいいでしょう。この考え方は今も変わっていません。206は古かったのでメンテナンスは大変でしたが(笑)、それでもかなり気に入っていました」

そして1年ほど経ち、山田さん夫婦は子どもを授かる。2人のときはハッチバックでも楽しめたが、子どもが生まれると荷物が増えるだろうからハッチバックではきつくなるかもしれない。山田さんはクルマの買い替えを決意。そして2011年に先代日産 エクストレイルを購入した。

「子どものためにクルマを選ぶ場合、多くの人はミニバンや軽ハイトワゴンなど、スライドドアのクルマが頭に浮かぶはず。僕もそれを考えました。でも一度スライドドアの利便性を経験してしまうとそこから離れられなくなる。スライドドアが本当に必要になったらそのときに乗ればいいと思い、SUVを選びました」

山田さんがSUVを選んだのにはもう一つ理由がある。山田さんが10代の頃、世はバブル絶頂期。山田さんが育った湯沢町は当時、雑誌などで“東京都湯沢町”とも呼ばれ、週末になると都内からリゾートマンションや高級ホテルに多くの人が訪れていた。彼らの間で流行していたのはハイラックスサーフ・テラノ・パジェロなどのクロスカントリー4WD。山田さんは日常としてその光景を見ているうちにクロカン4WDに憧れるようになり、どうせ買い替えるなら当時の夢を叶えたいと、4WDらしいタフさを感じられる2代目エクストレイルを購入した。

しばらくして男の子が誕生。父親になり、山田さんの価値観、そしてライフスタイルはごく自然に大転換を遂げる。

音楽が好きだった山田さん。独身時代、そして子どもが生まれる前は、週末になると都内のクラブで朝まで遊ぶことが多かった。夏はフェスにも行くが、ビッグフェスだと多くの屋台が出ているし、ほとんどの時間をライブ会場で過ごすので、アウトドア装備はテントと寝袋さえあればよかった。

しかし息子さんが生まれ、一緒に公園などで遊ぶようになると、もっと濃密な時間を過ごしたいと思うようになる。そして、山田さんはキャンプを始めることに。保育園で知り合ったパパ友たちと自然の中で数日間過ごすと、より快適にアウトドアを楽しむために新しい道具が欲しくなる。気づけば荷室に道具を積みきれなくなり、ルーフボックスも使うようになった。

そして、キャンプに行かない休日は荷室にスケートボードを積んで、近所の公園にあるスケートボードパークでスケボーを楽しんでいる。

「息子を寝かしつけるとき、一緒にYouTubeでエクストリームスポーツの動画を観ていたんです。すると息子はハードなスケボーの動画を食い入るように観て『カッコいい!』と言う。『やってみるか?』と聞いたら『うん!』と。それで5年ほど前から一緒にスケボーをやるようになりました」

実は、山田さんも小学生の頃からスケボーに夢中になっていた。一つの技をメイクできるようになるととても気持ちよく、ますますのめり込んでいく。だが10代の終わり頃にいわゆるストリートカルチャーの中でスケボーが全盛期を迎えた。そのノリが肌に合わず、スケボーから離れてしまったという。

息子さんの思いもよらない言葉に嬉しさを感じ、すぐに2人でお台場にあるスクールに入会。休日には首都高速を使い40分ほどドライブしてお台場まで通った。

「まさか息子とスケボーをやるようになるとは考えもしなかったので不思議な感覚でした。でもこうやって一緒に遊ぶ時間はとても楽しいですよ。もし、子どもが生まれてもクルマは必要ないと考えていたら、ここまでいろいろなことに挑戦することはなかったと思います」

そんな山田さんの現在の愛車は先代のトヨタ ハリアー。同じSUVだが、エクストレイルとはガラリと雰囲気が変わった。

「3年くらい前に家族でキャンプに行ったとき、息子から真剣な顔で『パパ、たまには屋根のあるところに泊まりたい』と言われました。それがショックで……。もしかしたらキャンプやスケボーを一緒に楽しんでいるのは親のエゴなのじゃないかと。同時にすごく悔しくなり、『よし。次はメチャメチャいいホテルに泊まろう!』と啖呵を切りました(笑)。そして会員制のリゾートホテルを予約したのですが、駐車場にはメルセデス・ベンツのSクラスをはじめ、高級車ばかり停まっている。初めて自分のクルマが浮いているという感覚を味わいました」

2代目エクストレイルは初代のタフなアウトドアギアというイメージを引き継いだモデル。それが人気の理由でもあるが、停まっているクルマを含めたリゾートホテルの雰囲気の中では、やや異質な存在と感じたのかもしれない。黒いクルマが並ぶ中で真っ赤なボディカラーも目立ったのだろう。

この経験から、山田さんは次に乗るならアウトドアとフォーマルな場所、どちらも様になるクルマだと思ったという。そして頭に浮かんだのがハリアーだった。

「ハリアーで驚いたのは積載能力の高さです。ボディが流線型でリアのガラスもデザイン重視でかなり傾斜しているのに、エクストレイルに積んでいたキャンプ道具をすべて積むことができました。実は、ハリアーを買うときに他のSUVも何台か比較したのですが、荷物を全部積めなかったんですよね」

もちろんアウトドア用の荷物はかさばるので、ハリアーでも同じようにルーフボックスを使っている。

3年前、息子さんは「屋根のある場所がいい」と言ったが、もちろん今でもキャンプを楽しんでいる。そして休日は自宅近くのパークに出かけスケボーで汗を流す。

山田さんに話を伺ったのは、緊急事態宣言解除後、間もなく県をまたいでの移動自粛も緩和されるというタイミングだった。「数ヶ月のステイホームはストレスが溜まったのでは?」と尋ねると、言葉を選びながらこう答えた。

「もちろんこの数ヶ月は大変だったし、世の中がコロナ前と同じ形に戻ることはないと感じています。でも僕はわりとそこを前向きに捉えています。県外移動の自粛期間があったことで、逆にクルマで少し走ると楽しめる場所が地元にたくさんあることに気づくことができました。リモートワークが進んで働き方が変われば、例えばキャンプ場で息子が友だちと遊んでいる間に僕はクルマの中で仕事をして、終わったら一緒に自然を楽しむ。そんなこともできそうですよね」

山田さんは自身でも認めるように、根がユルい性格なのかもしれない。しかし話を聞いていると、気負わず流れに身を任せながらも、人生の節目や子どもの成長に合わせて、自分が進む道に合わせて気持ちを切り替えているように感じた。そして、スタイルにこだわりつつ自分に一番ピッタリなクルマを選んでいる。

子どもが成長し、やがて独り立ちしたときは、どんなクルマで人生を楽しんでいるのか。笑顔でスケボーを楽しむ山田さんを眺めながら、そんなことを考えてみた。でもその答えは本人にもわからない。きっと次の節目でも自然に、その時の自分がもっともしっくりくるクルマを選ぶだろうから。

(取材・文/高橋 満<BRIDGE MAN> 撮影/柳田由人)

[ガズー編集部]

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