いきなり「父」になった元アメフト選手が、マツダ CX-8に見出した「最高の妥協案」

  • マツダ・CX-8と笑顔の家族


赤堀広平さん、37歳。人生の途中までは、車にはまったく縁も興味もないまま生きてきた。高校生でアメリカンフットボールを始め、大学を経てXリーグ(日本におけるアメリカンフットボールのトップリーグ)1部の「ノジマ相模原ライズ」でランニングバックとして活躍。現役引退後は1年間のオーストラリア留学を経て、保険会社に転職。その間「自分の生活には自動車が必要だ」と感じることは一度もないまま、1200ccの大型バイクとともに、30歳を過ぎるまで自由気ままな独身生活を謳歌した。

だがあるとき、いきなり「2児の父」となった。

すでに女児2人の母であった女性、すなわち現在の妻である晃生さんと結婚することになったからだ。そしてすぐさま――と言ってしまうとやや大げさだが、まぁ比較的すぐさま三女がこの世に生を受け、広平さんと晃生さんにとって4番目の子どもである長男も、晃生さんのお腹の中で育ち始めた。

「3人目が生まれたときに、人生で初めて『……これは車がないとちょっと無理かも?』と思い始めましたね」

子どもは元気が良いため、目を離すと、すぐにどこかへ走っていってしまう。そして子どもは我々大人と比べて抵抗力が弱いため、ひんぱんに発熱したりもする。そういった子どもたちを連れながらの電車移動はひたすら大変であり、だからといって、小さな子どもたちを大型バイクの後席に乗せて走るわけにもいかない。そしてあと数カ月もすれば4人目の子どもも生まれてくる――という状況のなか、「家族全員が乗れる3列シート車」の導入は、赤堀家にとって喫緊の課題となっていたのだ。

だが問題もあった。赤堀広平さんが「ミニバンだけはどうしても嫌!」と、強く思っていたことだ。

「もちろん3列シートのミニバンが非常に便利な存在であることはわかります。でも、どうしても“自分が乗る車”としては嫌だったんです。もっとこうアメフトのランニングバックみたいな、ゴリゴリ突き進んでいけるイメージの車……それこそジープのラングラーみたいな車以外には、乗りたくなかったんですよね」

しかしジープ ラングラーには最大でも5人しか乗れないため、自動的に選択不可となる。そしてその他の「ゴリゴリ系SUV」も同様の理由により、必然的に購入候補から外れていった。

「そうなったときのほぼ唯一の選択肢というか妥協点が、僕にとってはマツダ CX-8でした」

  • マツダ・CX-8
  • マツダ・CX-8の運転席

流麗なフォルムの3列シートSUVであるマツダ CX-8には、赤堀さんが言うところの「密集する相手ブロッカーをものともせず、エンドゾーンを目指してゴリゴリ突進するランニングバックのようなイメージ」は伴っていない。だが3列目シートの広さにおいては類似車を圧倒しており、デザインやイメージの点においても「これならば俺も妥協はできる」と、赤堀さんに思わせるものはあった。

そうして今から約3年前。赤堀広平さんにとっては「妥協の産物」である1台の車が、赤堀家にやってきた。

  • マツダ・CX-8の右サイド
  • マツダ・CX-8の車内で楽しむ家族

家族全員で出かける買い物や旅行のほか、広平さんがコーチを務め、長女と次女も所属しているフラッグフットボールチームの練習や試合のための移動車として、そして毎日の仕事の足としても2021年式のマツダ CX-8は現在、フル稼働している。納車からの約3年間で走行距離は早くも7万kmを超えた。

そんななか赤堀広平さんは今、CX-8のことをどう思っているのか? 依然としてマツダ CX-8は、広平さんにとっては「妥協の産物」であり続けているのだろうか?

  • マツダ・CX-8のラゲッジルーム
  • マツダ・CX-8の運転席でほほ笑むオーナーさん
  • マツダ・CX-8のフロントフェイス

「依然としてジープ ラングラーみたいな“ゴリゴリ系”の車に乗りたいという個人的な欲望はあります。でも『これはこれでかなりイイじゃないか』というのが、今の僕の率直な思いです。車に詳しいわけではないのですが、アクセルワークというのでしょうか? そういうのがすごくやりやすいから運転が楽しく、長距離を走っても疲れません。そして3列目シートがめっちゃ広いから、子どもたちも満足しているようですしね」

家族全員で乗る際の配列は、まず1列目に広平さんと晃生さんが座り、中学生の長女と小学5年生の次女(写真下)が2列目と3列目に分散して座る。そしてそれぞれの横に、まだ幼い三女と長男が座るというレイアウトを採用している。SUVとしては異例に広い3列目シートを有するマツダ CX-8だからこそ、為せる技と言えるだろう。

  • マツダ・CX-8の3列目
  • マツダ・CX-8を運転するオーナーの奥様

「この車のそういった便利さも、僕が『これはこれでかなりイイじゃないか』と感じる理由であることは間違いありません。でもそれ以上に『子どもたちにさまざまな体験をさせてあげられる』というのが、CX-8という『家族全員が乗れる車』を手に入れてみたことの、最大の価値なのかもしれません」

広平さんも晃生さんも、4人の子どもたちには「健康で、幅広い視野を持ち、誰かに言われて動くのではなく『自分で考え、自分で動く人間』に育ってほしい」と強く願っている。そしてそのためにも、家族でさまざまなところへ行き、さまざまなことをまずは知り、自身で体験してほしいと思っている。

子どもたちにそういった“体験”を積ませるうえで車は、決してこの世で唯一のツールではないだろう。だが「ないよりはあったほうが何百倍も(?)いいモノ」であることは間違いない。

「そういった意味では『じゃあ3列シートのミニバンでも良かったんじゃないか?』という話にもなるのですが、そこはほら、僕にも好みや意思というものがありますから(笑)。だからこそマツダ CX-8は、僕にとっては『最高の妥協点』なんです」

  • マツダ・CX-8の前で腕を組むオーナーさん

「妥協」という日本語には、今ひとつよろしくないイメージもあるかもしれない。自分の本当の気持ちを抑えつけ、何らかの行動を嫌々ながら、あきらめながら選択する――というのが、一般的な「妥協」のイメージであるはずだ。

しかし赤堀広平さんがマツダ CX-8を通じて行った妥協とは、手元の「新明解国語辞典」が定義している以下の内容に近いのではないだろうか。辞書の内容を、そのまま引用する。

だきょう【妥協】
両方の意見が対立している場合、互いに折れ合って穏やかに話をまとめること。

赤堀広平さんという、1人の男であり父でもある人間の中にある「車あるいは自身の人生に対する願い」と「家族に対する思い」が互いに折れ合い、穏やかに話がまとまるためには、確かに2021年当時、車としての選択肢は「マツダ CX-8」以外にはほぼなかった。

そして逆に言うならば、マツダ CX-8という稀有な3列シートSUVがこの世に存在していたからこそ、赤堀広平さんとそのご家族は、ドライバーを含めた全員が、余すことなくシアワセになれたのだ。

(文=伊達軍曹/撮影=阿部昌也/編集=vehiclenaviMAGAZINE編集部)

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